遅い到着 - THA sun to illuminate the darkness -
辺り一面は真っ赤に染まっていた
赤く変色した体は返り血を浴び深紅に染まる
ライムはその光景の惨さに込み上げる嗚咽を手で押さえ止める
-ザッザッ-
静かな足音に顔を上げると片膝を突き覗き込まれる
それがリュウトなのかという不安と恐怖に声が出ず、竦んだ体も動かない
「アァァァ・・・」
吐息と共に伸ばされた手がライムへ向かう
その手はライムの左胸に押し当てられた
「うっ……!?」
不安と恐怖で体に力が入り目を閉じ俯いた
だがその手は鼓動を確かめる様で優しく、返り血で一瞬冷たかったがゆっくりと体温が伝わった
暗い林にゆっくりと昇る太陽の光が照らされ始めた時だった
「ライムー!!リュウトー!!」
2人の名を呼ぶ声と共に大勢の兵士が押し掛けて来た
「ライム!?無事だった……!?なんだソイツは!?!?」
驚愕の表情のウェンズ
後ろにいた兵士達が一斉に前に出て武器を構える
それに反応するかのようにライムの胸から手を退けバケモノは立ち上がった
「貴様が一連の犯人か!?諸君!攻撃態勢だ!!ライムから化け物を引き離せ!!」
ウェンズの指示に進み出す兵士達だったが化け物の体の異変に気付き足を止める
登り切った太陽の光がバケモノの体を照らすと、蒸気の様な煙を出しながら腐った様に流れ落ちる
殆どが流れそれが何なのか判別できない姿になり膝からガクンと地面に倒れた
「なっ……!!これはいったいどういう事なんだ!?」
ウェンズが驚くのも無理はない
さっきまで悪魔の姿をしたバケモノの肉の中からリュウトの姿が現れた
ウェンズは追及するのを後にし安否を案ずるライムの元へと走り寄る
「大丈夫かライム?」
「はい……」
小さく返事をするライムに自分の羽織っていたローブを掛ける
両手を縛る縄を解き、優しく肩を抱きながら体の傷を確かめる
鎖骨から左胸にかけて小さな3本の傷はあるが大した怪我では無い
「無事でよかった……少し話せるかい?」
声は出さず頭だけコクンと頷くライムを抱え引っ張って来た馬車の元へ連れて行く
水の入ったコップを渡し飲む様に言うが拒否するライム
ウェンズはコップを置き話を始める
「リュウト君のこと、聞いてもいいかい?」
「ごめんなさい……今は一人にしてください。城へ戻ったら全て説明します……」
「そうか、すまない。いろいろあって疲れているよね?城へ着くまでゆっくりと休むといいよ」
そういうと場所を降り兵士達の元へ戻る
「諸君、今はまだ状況が掴めない。外見は間違いなくリュウト君だが一応念の為檻車へ運んでくれ。警備も万全に頼む。前方と後方に4人ずつ配置してくれ!!」
兵士達はリュウトを檻へ閉じ込め、指示通り警備兵を配置する
そして一行は隊を組み城へと帰路を辿る




