俺は死んでいく
今、俺は死にかけている。
どうしてこうなったか?
まあ簡単に言えば、撃たれたのだ。
その前のRPGロケットも結構、効いた。頭がガンガンしやがる。
「順番はちゃんと守れよ。それだけは父さんと約束してくれ」
うん? これはいつの記憶だ?
意識が消えかけている中で、俺は考える。
これは確か……。
俺が家を出たときだ。別に家族が嫌いだったわけじゃない。
あの頃はとんだ甘ちゃんで、自分を探したいとか思ってたっけ。
自分の力で生きていかなきゃとかさ。
結局、最後は海兵隊に入って、戦地に送られた。
その結果がこれだ。
砂漠に横たわって血を流し続けている。
おっと、やっと衛生兵が来たぞ。
ジェロームじゃねえか。やばいな、これは。
部隊で一番、使えない衛生兵だ。
おいおい首を振るなよ。まだ目は見えてるって。大丈夫だって顔してくれよ。
急に痛みが消えてきて、気持ちよくなってきた。
モルヒネを打ちやがったな。
多分、このまま死んじまうんだろうなあ。
まあ、しょうがねえ。心残りは……。
全然、ある!
すまない、ジュリア。愛する妻よ。
我が祖国よ、彼女にたっぷりと弔慰金を払ってやってくれ。
後は、父さん、母さん、兄貴、姉ちゃん、じいちゃん、ばあちゃん。
おじさんとおばさんと……。
駄目だ、もうわからない。
ジュリアだけにしとこう。
ジュリア、ごめんな。ジュリア、ありがとう。
ジュリア。
俺の名はダニエル・ガーランド。通称、ダニー・G。
今から死ぬが、その先が天国だろうが地獄だろうが名前くらいは必要だろう。
ヘリの音が聞こえたと思ったら、目の前が真っ暗になった。
さよなら、ジュリア。