函館!!え、箱館?
明治15年
「いっや~あの頃は若かったからね」
葵が恥ずかしそうに前を歩いいた。
その前になぜ歩いているかと言うと今日は藤田家と杉村家と共に函館へ旅行に来ているのである
函館といえば戊辰戦争の最終の地でもあり、何かわかるのではないかとわくわくしていた
「そういえば、穂香ちゃんって霊感あるんだね~どうせ今も紅と藍先輩ついて来てるでしょ」
蛍が面白そうに言ってくるので穂香が目を滑らせて辺りを見るとやはりいた
「ぐっわ!!!だ、誰!?膝カックンやってきたの」
穂香が葵の後ろを見ていたことに気付いていた義衛と五郎、蛍は驚かなかったが、二人の子供は面白そうにしていた
「みなさん見てみます?」
穂香が何かを唱えた瞬間―――――――
「え!?か、佳織!?」
葵を見て楽しんでいる少女が四人いたのである
『あれ?見えてるの?葵~』
下の方で一つに髪を縛っている女性が葵の前に立つと葵はとても驚いたような顔をした
「彩?」
『正k!?いった~!!!』
喜ぼうとした途端、彩とよばれた少女は後ろから紅に殴られてしまった
『葵に蛍ちゃん、久しぶり。一君に新八さんしっかり愛してあげてる?』
紅がニヤリと笑いながら聞くと五朗は顔を真っ赤にした
『まぁ、そんなことどうでもいいんだけど…僕と藍先輩の死体……どこにあるか知ってる?』
突然、真剣な表情で空気が変わった面々を見て穂香は住んでいた環境が違うと改めて思った
しかし、蛍と葵よ義衛と五朗は気まずそうな顔をしていた
『私と紅ちゃんの体は剥製されてそれぞれの貴族のものになってる』
“剥製”その言葉に驚いた。
剥製って動物にだけするものだと思っていたがそれ以前になぜ土村紅と斎田藍の死体をそのようなことにしたのか……
『まぁ、死体だからどうでもいいけどね♪それより碧血碑にきて、ここじゃあ思うように動けない』
真剣に言いながら姿を消してしまった紅たちを見ながら沈黙が続いたが
「土村が呼んでいるからな」
「副長命令じゃあ、従わないとね」
葵たちは首をあげ函館山を見つめているのを見て穂香も眩しいが函館山を見つめた
絶壁と呼ばれ天然の要塞で旧幕府軍が信頼していた山だったが箱館総攻撃の日、新政府軍が登ってきたことで箱館山はただの高い山となってしまっている
その山にあるのが碧血碑、旧幕府軍兵士を弔って作られたものだ
「子供たち~行くよ~」
蛍と葵が子供を抱えて登り始めた
「普通、こんなとき夫に甘えるもんなんだけどな」
「あいつらは無理だろ」
そんなことを言いながら登りだした
穂香も高さを見て溜め息をつきながら登りだした
これからあんなことに巻き込まれるなんて思ってもいなかった