生徒会の一員
体育館の舞台袖…。
腕を大きく伸ばしながら歩いている青髪の少年がいた。
「白馬お疲れー! いやー、やっぱり緊張するもんだな、こういうの」
青髪の少年の前を歩いていた白馬はくるりと笑顔で振り向く。
「藍、人前に出るの苦手だもんn…」
「白馬」
「うわっ⁉︎」
白馬の前を歩いていた赤髪の長身の少年は言葉を発した途端、歩くのをやめた。
白馬は気づかず、そのままぶつかり、続けて青髪の少年も白馬にぶつかる。
「麗遠どうしたの?」
白馬はぶつけて赤くなった鼻を抑え、鼻が詰まったような声で赤髪の少年に問いかける。
「お前が言っていた新しい魔法使いは本当にあの女なのか?」
麗遠と呼ばれた少年は、少し殺気を帯びた目付きで白馬を見る。
白馬はそれに恐怖を感じ、ゆっくりと後ずさりながら苦笑いをする。
「あはは…う、うん、そうだと…思うよ」
「も〜、しっかりしてよ! 生徒会長!」
白馬の後ろからピンク色の髪の少女が、ひょっこり顔を出す。
「もたもたしてると…私が生徒会長の座を奪うわよ?」
「いや…美碧さん…それは勘弁してください…」
そんな生徒会長の座を奪う云々の会話の中、紫色の髪が腰まで伸びている長髪の少年が、恐る恐る口を開く。
「あ、あの…」
すると、少年のすぐ近くにいた麗遠が声に気づく。
「紫苑、どうした?」
紫苑はまるで怒られた子犬のような顔をしていた。
「新しい魔法使いを見つけるのはいいんですけど…見つけてどうするんですか…?」
「それは決まってるでしょう?」
舞台袖の壁に寄りかかっていた黒髪の少女が無表情で言う。
「黒川さん…」
「もし本当に魔法使いだったら…この生徒会に入ってもらう。それしかないわ」
すると突然、紫苑の肩をポンポンと藍の姿が。
「そーそー! 黒川の言うとおりだ!
もし、あの子が生徒会に入ったら、紫苑と同じ会計になると思うから、世話頑張れよー!」
藍は、ハハッと楽しそうに笑い、紫苑から離れた。
紫苑は肩をすくめ、小さく、誰にも聞こえない位のため息をつく。
「とにかく、あの子のことを少し監察してみましょうか。何か分かるかも…」
すると、麗遠がカチャッとメガネを掛け直す。
「つまり美碧…それはストーカーか?」
「なっ⁉︎ 違うわよ‼︎
何カッコつけたように言ってるのよ⁉︎ 少し黙りなさい‼︎」
眉間にしわを寄せて、美碧は麗遠を睨む。
それはまるで、的を狙う獣のようだった。
「ま、まぁまぁ、2人とも…」
白馬は2人の間に入って、美碧をなだめるように落ち着かせる。
「とりあえず、あの子のところに行ってみよー‼︎」
ピンク色の髪の澄桃は、麗遠と美碧の背中をバンバン叩く。結構な威力だった。
麗遠は肺に突き刺さるような打撃を受け、少し咳き込む。
「あぁ…そうだな…」
「行きますか…」