入学式
2140年4月7日。
爽やかな日差しが窓から差し込んで___
「うわぁ〜! 寝坊したぁ〜!」
来ていなかったのか、目覚めが悪かった。
「ちょっと虹子奈。今日は入学式でしょ?何寝坊してるのよ」
「ご、ごめんなさい!」
と、頭を下げもせずに家から飛び出した。
外は厚い雲に覆われていて、太陽の光さえ入ってこない。
「はぁ…今日は曇りか…」
虹子奈は走りながら溜め息をつき、上を見た。
その時、太陽の光が入ってこないのに虹子奈の髪が光始め___
ドンッ。
「いたっ⁉︎」
突然、自分より大きなものにぶつかった。虹子奈はそれに弾かれ、地面に倒れる。
「ご、ごめん! 大丈夫?」
上から声がする…さっきぶつかったのは人だったのか。それに声が低い男の声だ。
虹子奈は恐る恐る顔を上げる。
そこには背の高い自分より、10cm高そうな白髪の男子がいた。
「あ…はい、大丈夫です!」
「そう…良かった」
少年はニコッと笑う。
「君、見たことないけど1年生?」
少年は虹子奈をじーっと見る。
よく見てみればこの少年は、自分と同じ虹蓮高校の制服を着ている。
そして、制服の上にチェック柄のケープを羽織っている。
しかし、周りにも虹蓮高校の生徒は少々いるが、ケープを羽織っている人は誰もいない。
ただの…防寒着だろうか。春だけど。
「は、はい! そうです!」
「そっか、入学式あともう少しで始まるよ。俺も遅れそうだから、一緒に走って行こうか」
入学式に…?ということは、この人も1年生なのだろうか。しかし、【見たことない】って言葉は、1年生のいう言葉ではない。
不思議な人だ。白髪だし。
「は、はい」
虹子奈は、不信に思いながらゆっくりと立ち上がり、白髪の少年と一緒に走り出した。
「(ははっ、やっと見つけた…)」
白髪の少年はクスッと笑った。