心の弱さ 3
「え…?」
さすがの澄桃からも笑顔が消え、どこか悲しそうな眼で美碧を見つめる。
…今の生徒会だったら…絶対にあの悪魔には勝てない…
というか手も足も出せない。
全く歯が立たない。
今日の戦闘では前線に立っていた男子たちが少しは対応していたが…
あの悪魔…まだ本気を出していない…
まだ本当の強さを出していない。
なら一体、あの悪魔の強さはどれくらいなんだ?
この世界を滅亡させるくらいの…強さがあるのか?
そんなの歯が立つわけない。
ただその悪魔の闇に飲み込まれて行くだけだ。
それを思うと、不意に寒気が襲ってくる。
…でもこの生徒会に新たな希望がやってきた。
「今の生徒会だったら歯が立たないかもしれない…でも…」
あの虹の魔法使いなら。
あの虹の魔法使いが生徒会に入ってくれたら…
「美碧さん? どうしました?」
いつの間にか膝の上で拳を握っていたことに気付き、美碧はハッとして顔を上げた。
顔を上げたすぐ目の前には澄桃の顔が。
「な、何でもないわ! 澄桃、手当ありがとう」
ぎこちない笑顔を作った美碧は負傷した左肩を押さえながら【回復治療室】を出て行った。
ーーーダメだわ。
あの虹の魔法使いばかりに頼ってたら…何も強くなれない…!
私がなんとかしなくちゃ…!
【回復治療室】に1人取り残された澄桃は、治療道具を片付けた。
「美碧さん…どうしたんだろう…」
いつものあの覇気がない。
いつもならば強気で、落ち込んだ時は笑顔で励ましていたのに…
今回だってそう思ってた。
前線に立ってても全く歯が立たなかった男子たちは今回の闘いで相当なダメージを受けたはずだし、美碧さんも男子たちに加わって戦っていた。
でも美碧さんならこの位のダメージはへっちゃらだと思ってた。
だけど………
その他にも…自らダメージを負わせた傷があったのかもしれない…。
体の傷ではなく…心の傷だ。
「美碧さんにもやっぱり【弱さ】っていうものがあるんだな…」




