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第03斬 "世の中には、色々足りない物がある。運とか実力とか……"


どこの世界にも運が悪い者や、実力の足りない者はいる。


これは、そんな余りにありきたりな一例に過ぎない……








「テンペストぉ〜♪ 濃い口の一番絞りぃ(はぁと)」


朝から全力全壊なドワーフっ娘の"アハト"に、


『貴女という人は……』


思い切り呆れる人工知性結晶体のアガシオン(使い魔)の"レイ"。


「……まあ、良いか」


『マスターは、この口と頭の中身と下半身が緩い腐れドワーフに甘過ぎます』


「頭はともかく、口と下半身は寧ろキツイぐらいだぞ?」


そして結局は、アハトにダダ甘な二剣二刀のソーディアン、"テンペスト"。

追記すると意外に天然か?


『きゅっくる〜♪』


そして、アハトの相棒、使役竜のニーくんこと"ニーズヘッグ"。


これが冒険者の間でも良く言って"風変わり"、悪く言って"変人集団"のテンペスト・パーティー、


疾風怒涛(シュトゥルム・ウント・アングリフ)


の今のところのメンバーであった。




☆☆☆




さてさて宿屋を引き払い、テンペストと愉快な仲間達は街道を通りながら一路、この辺では様々なギルドが集まり大きな市場が立つ


【レパント・シティ】


へと向かっていた。









**********




レパント・シティ……


波の静かな豊穣の海"レパント海"に面した自由交易都市で、様々な情報にヒト/モノ/カネが飛び交う交通の要所たる港街。




しかし反面、豊かな街だけに犯罪発生件数も多く、また街自体を狙い乗っ取りや侵攻を企てられたのは、一度や二度じゃない。


特に海賊が大挙して押し掛けた


【レパント沖の海戦】


は吟遊詩人達がその様子をを歌いついだせいもあり、かなりその名を広めていた。


無論、負けたからではない。

圧倒的不利と思われた戦いに勝ったからこそレパント・シティは残り、更に評判を高めた。


実は、そのレパント沖の海戦においては、我らがテンペストも少なからず関わっているのだが……


それはいつか語られるかもしれない。




☆☆☆




さて……表稼業であれ裏稼業であれ、人が集まれば競争が起き、ならば食って行ける者が選別されるのは必然だ。


まだ集権大型国家より圧倒的に都市国家が主流の"この世界"、


【かおてぃっく†わーるど】


では、法の庇護は特に弱者になるほど小さく、純然たる弱肉強食が社会通念のデフォ仕様だ。


要はまだまだ法は社会維持が優先され、人道的弱者救済の概念が生まれるのは遥か先。


だからこそ、少なくとも弱者救済を建前にした色々な教会が人心を集め、一定の勢力を持つに至った。




☆☆☆




とまあこんな調子だから、表以上の実力主義な裏社会は、かなりシビアな格差社会で、特にレパント・シティのように犯罪件数が多い故に警察/治安機構に力が入れられてる大都市で成功しようと思えば、それなりの才覚はいる。


では、そこから爪弾きにされた者達はどうするかと言えば……


「へっへっへっ!」


「兄ちゃん、お嬢ちゃん有り金全部置いてきな」


「おっと金目の物もだぜ!」


「ついでにお嬢ちゃんもおいてって貰おうか?」


「お、おではこの兄ちゃんが、よ、良いんだな」




余りにも絵にかいたような、あるいは判で押したような


【都市治安部隊の目が届かない街道にしか出没できない実力の、三下チンピラ盗賊】


とのエンカウントに、思わず軽い目眩を感じるテンペストだった。


実は今、ちょいとしたクエストをこなしてきたばかりで懐は暖かい。


だから、無理に戦う必要はないが……


「レイ、今の盗賊の"首相場"はいくらだ?」


小言で訊ねるテンペストに、


『そうですね……』


レイから告げられた値段はせいぜい下級魔獣の駆除値段と同じ程度。


まあ、賞金首でもないチンピラは、扱いから言えば討伐でも狩りでもなく"駆除"

の対象なので、妥当と言えば妥当な値段だった。




「数日は飯が心持ち豪華になるかな?」


「ああん? 兄ちゃん何を言って……」


"ヒュオン!"


それは鋭い風切り音……


テンペストが二剣二刀の内で、左腰に差した刀、"雷属性"の妖刀【ライキリ】を、何の予備動作もなく居合抜きをした音だった。

そして一瞬の後……


"ごろん"


テンペストの一番近くにいた男の首が、何の前触れもなく落ちた。


"グチャ!"


テンペストは何の躊躇いもなくついさっきまで生き物だった筈……今は、ただのパーツに過ぎないそれをブーツの踵で無造作に踏み潰し、


「ここはレパント・シティの法も届かない。お前らの首が落ちた所で誰も気にしない……」


片手で握るライキリをスゥ〜と流れるように動かし、


「だから……」


ピタッと切っ先を盗賊達に向けたまま止めると、


「心置き無く殺り合おうじゃないか?」


"ニヤリッ"




断言しよう。

テンペスト・ホーカーシドレーという漢、間違っても"堅気(かたぎ)"な生き方をしていた者なんかではない。


明らかにその刃で人を切ることに躊躇いのない眼光は、


"人斬り"


のそれなのだから……









次回へと続く……可能性はあると言っておこう。







皆様、ご愛読ありがとうございましたm(__)m


とにかく短いですね~(汗)


いや、ストレス溜まる前にアップするのがこの作品のコンセプトだったりするのでご容赦を(^^;


久しぶりに肉弾戦を書いてみましたが、如何だったでしょうか?(;^_^A




次回はいよいよ戦闘パートかな?


では、また次回にて皆様にお会いできる事を祈りつつ(__)





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