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第30話 晴れと雨と曇りと

 シャインとレイニルが正式に結婚式を挙げてから5年以上の月日が流れた。



 今日もシャインの自室のキングサイズのベッドの上では二人の甘い声が交わされている。


「レイニル。愛している。愛しているぞ」

「ん……シャイン、愛してる……けど、だめ、もう朝……」


 毛布の中で素肌を触れさせてくるシャインに抵抗できずに、レイニルは朝から全身を愛でられていた。

 二人が交わった日は、なぜか雨が降る。しかし雨のコントロールというのは口実で、シャインは単にレイニルを抱きたいだけだった。

 それにしても、なぜ朝に欲情するのか……理由はいくつかあるが、シャインは太陽の化身だから夜よりも燃えるのだろう。


「そろそろ交わらんと、サンディ国が水不足になるぞ。オレもレイニル不足になる」

「なんですか、それ……」


 そうは言うものの、雨女の能力がなくてもサンディ国は深刻な水不足に陥る事はなくなった。

 その原因となる人物が今、まさにこの寝室のドアを開けて侵入してきた。


「おとーさま、おかーさま、おはよー」


 その小さな侵入者は、レイニルとシャインの息子。銀髪に青い瞳、現在5歳のイケメン王子様である。

 レイニルは慌てて毛布をかぶるが、シャインは上半身を起こしてベッドの上から息子に言葉を投げる。逞しい胸筋が丸見えだ。


「おぉ、クラウド。父さんと母さんは今、裸だから外で遊んでろ」

「お着替え中なの? はーい」


 素直なクラウドはベッドに近付かずに部屋の外へ出てドアを閉める。

 クラウドは幼児の割に朝が早い。夜は親子三人で一緒に寝るが、朝になると親よりも早く起床して中庭を散歩する。

 だからこそ、シャインが堂々とレイニルを抱ける時間は朝に限られてしまうのであった。


「さて、レイニル。クラウドを遊ばせている間に、さっさとするぞ」

「……やっつけ仕事みたいに言わないでください」


 クラウドが生まれてからはサンディ国に雨が降るようになった。今では晴れの日、曇りの日、雨の日が均等に訪れる。

 強すぎる晴れ男の能力は雨女だけでは抑えきれなかったが、曇り男のクラウドが加わってようやくバランスが取れて落ち着いた。

 水を輸入する必要もなくなったが、ヒナタが移住してからはアメリア国でなぜか次々と温泉が湧き出た。

 今のアメリア国は雨量の多さは以前と変わらず。さらに温泉の名所を売りにして観光業で成功を収めている。ある意味、ヒナタも雨女だった。

 ヴェルクはアメリア国の第一王子であり、数年前に王位を継いで国王になった。今のヒナタは軍人を辞めて王妃となっている。


 クラウドは階段を下りると城の一階の渡り廊下から中庭へと出る。

 早朝にも関わらず、花壇の前には若い夫婦の姿があった。クラウドは夫婦の前まで行くと全身を折り曲げるほどの丁寧なお辞儀をする。


「おじさま、おばさま、おはよーございます」

「おぉ、クラウド、おはよう。その呼び方、やめねぇか? 兄貴のやつ、わざと言わせてるだろ……」

「まったくですわ。私たち、まだ20代ですのよ。お兄様、お姉様とお呼びなさい」


 ヘリオスは苦笑いをして、ローサは本気で不快そうな顔をしている。そんなローサのお腹は大きく膨れていて今は第二子を宿している。

 クラウドは、奥の花壇の前で花を見ている小さな女の子の姿を見付けると駆け寄っていく。


「サニーちゃん!」

「あ、クラウドくん!」


 明るいオレンジ色の髪に金色の瞳。向日葵のような笑顔を咲かせる女の子の名はサニー。ヘリオスとローサの娘であり、クラウドと同い年の5歳。

 曇り男を眩しい太陽の笑顔で照らす晴れ女。相反する二人の未来には何が待っているのだろうか。


 晴れ男と雨女が交わり、天気雨となった後には虹が生まれるように。

 どんな天気でも交われば奇跡が起きる。きっと、この小さな曇り男と晴れ女の未来にも愛が生まれるのだろう。


―完―

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