〇四〇:梁山泊の好漢 法場を劫(おびや)かし、白龍廟(はくりゅうびょう)の英雄 小に聚義(しゅうぎ)す
「黒旋風 - 十字路の血煙」
(Intro - ドラムの重低音とシンセサイザーの不穏な響き)
Yo、闇夜を裂くは黒い影、その名は李逵
天地を揺るがす咆哮、魂を震わすReal Deal
十字路の混沌、鮮血と墨痕の乱舞
地獄絵図を塗り替える、俺が黒旋風だ!
(Verse 1)
見ろ、中央に鎮座するは漆黒の巨人
筋肉隆々、墨を纏った鬼神
両手に握るは双の板斧、刃は白く閃く
切り裂く殺気、この場の全てを支配する
(Hook)
黒旋風、吼える! 嵐呼ぶ、その名は李逵!
鮮血と墨痕! 乱舞する、これが俺の美学!
大地を蹴り、空を舞う、破壊のダンス
俺の視線の先、恐怖に染まるすべてがチャンス!
(Verse 2)
処刑台の露と消えそうな宋江と戴宗
細い筆致で描かれた、儚い命の象徴
だが、俺は黙っちゃいねぇ、義の斧を振り上げる
この世の不条理、全てを叩き潰すまで!
(Bridge)
薄墨で霞む群衆、舞い上がる土煙
パニック状態、地獄の業火が燃え盛る
それでも俺は止まらねぇ、心臓が高鳴る
朱色の鮮血、黒いキャンバスに咲き誇る!
(Hook)
黒旋風、吼える! 嵐呼ぶ、その名は李逵!
鮮血と墨痕! 乱舞する、これが俺の美学!
大地を蹴り、空を舞う、破壊のダンス
俺の視線の先、恐怖に染まるすべてがチャンス!
(Outro)
ドラの音が響き、悲鳴がこだまする
俺のラップが、お前の魂を揺さぶる
忘れるな、この名を、李逵、黒旋風
永遠に語り継がれる、最凶のLegend!
(重いビートとシャウトでフェードアウト)
【しおの】
ことの次第を聞き及んだ晁蓋ら一同は、軍師・呉用に尋ねた。
「その手紙の、一体どこに不備があったというのだ」
呉用は答えた。
「今朝、戴院長(戴宗)に持たせた返書のことですが、私がうっかりして浅はかな印を使ってしまったのです。あれは『玉箸篆文』で『翰林蔡京』と彫られた四文字の印ではなかったか。あの印のせいで、戴宗は役所に捕まることになりましょう」
金大堅が口を挟んだ。
「私は蔡太師の手紙や文章をよく目にしますが、いつもその印を使っておられます。今回も寸分違わず彫り上げたのに、なぜそれが綻びとなるのです」
呉学究(呉用)は言った。
「皆は知らぬだろうが、今の江州の蔡九知府は蔡太師の息子だ。父親が息子に手紙を書くのに、どうして自分の諱や官職入りの印を使うだろうか。これこそが間違いの元だ。私の配慮が足りなかった。彼が江州に着けば必ず詰問され、実情を白状させられてしまう。これは一大事だ」
晁蓋は言った。
「すぐに人をやって彼を呼び戻し、書き直させたらどうだ」
呉学究は首を振った。
「どうして追いつけましょうか。彼が神行法を使えば、今頃すでに五百里は先に行っている。もはや手遅れです。こうなれば、我々もこうするしかありますまい。そうすれば二人を救えるでしょう」
晁蓋は身を乗り出した。
「どうやって救うのだ。何か良策はあるか」
呉学究は晁蓋に近づき、声を潜めて耳打ちした。
「これこれ、しかじか。主将が密かに号令を下し、皆に知らせて、このように行動すればよいのです。決して期日を誤ってはなりませぬぞ」
多くの好漢たちは将令を受け、各々旅支度を整え、夜通し山を下りて江州へと向かった。語り手がここで計略を明かさないのは、後で自ずと知れるからである。
さて、戴宗は期日通りに江州へ戻り、役所の庁舎で返書を提出した。蔡九知府は戴宗が期限通りに戻ったのを見て大いに喜び、まず酒を三杯賞与し、自ら返書を受け取って言った。
「太師にお会いできたか」
戴宗は答えた。
「小人は一晩泊まっただけで戻りましたので、恩相(太師)にはお目にかかれませんでした」
知府が封を開けて読むと、前半には「贈り物の数々は受け取った」とあり、後半には「妖人・宋江は、天子様が自らご覧になりたいとのことゆえ、頑丈な檻車に載せ、厳重に護送し、信頼できる役人を付けて夜通し京師へ送れ。道中決して逃がしてはならぬ」とあった。さらに追伸として「黄文炳のことは近いうちに天子へ奏上するので、必ず昇進の沙汰があるだろう」と書かれていた。
蔡九知府は読み終えて喜びを抑えきれず、花銀二十五両の錠を取り寄せて戴宗に与えた。一方で檻車を作らせ、護送の人員を手配するよう命じた。戴宗は礼を述べ、宿に戻って酒肉を買い、牢の宋江を見舞いに行った。
蔡九知府が檻車の完成を急がせ、一、二日が過ぎて出発しようという時、門番が報告に来た。
「無為軍の黄通判(黄文炳)様がご機嫌伺いに参られました」
蔡九知府は後堂へ招き入れた。黄文炳はまた旬の酒や果物を贈り物として持参した。知府は礼を言った。
「いつも厚意をいただき、恐縮です」
「田舎の粗末な品ゆえ、お気になさらないでください」
「おめでとうございます。近いうちに必ず栄転の慶びがありましょうぞ」
「公相(閣下)、なぜそれをご存知で」
「昨日、手紙の使いが戻りましてな。妖人・宋江は京師へ護送せよとのこと。通判のことは近々天子へ奏上するので、高位に昇進するだろうと、父の手紙に詳しく書いてありました」
「そうでございますか、恩相の推薦に深く感謝いたします。それにしても、手紙の使いは真に神行法を使うのですね」
「もし信じられぬなら、家書をお見せしよう。私の言葉が嘘でないと分かりますぞ」
「小生が家書を勝手に見るわけにはまいりません。もしお許しいただけるなら、拝見したいものです」
「通判とは心腹の交わり、見るのに何の差し障りがありましょう」
知府は従者に家書を持ってこさせ、黄文炳に渡した。
黄文炳は手紙を手に取り、最初から最後まで読み通した。裏返して封筒を見直し、印判が鮮やかなのを見て、首を振って言った。
「この手紙は偽物です」
知府は言った。
「通判、それは違う。これは父の直筆、正真正銘の書体だ。どうして偽物だと言うのだ」
「公相、お聞きください。今まで家書が来た時、このような印判が押してありましたか」
「以前の手紙には、確かにこの印判はなく、ただ手書きであった。今回はたまたま印判が手元にあったので、封筒に押したのだろう」
「相公、小生の多言をお許しください。この手紙は何者かが相公を欺いたものです。今、天下では蘇・黄・米・蔡の四大家の書体が流行しており、誰でも習い覚えることができます。ましてやこの印判は、ご尊父の恩相が翰林学士であった頃に使われていたもので、法帖(手本)や文章などで多くの人が目にしています。今や太師丞相に昇進されたお方が、どうして翰林時代の印判を使われましょうか。それに、父が子に送る手紙に、諱入りの印判を使うはずがありません。ご尊父の太師恩相は、天下の事情に通じ、高明遠見なお方です。どうしてそのような軽率な間違いをなさいましょうか。もし小生の言葉が信じられぬなら、使いの者を詳しく尋問し、屋敷の誰が出てきたか聞いてみなされ。もし答えが食い違えば、それは偽の手紙です。小生の多言を咎めないでください。厚いご愛顧をいただいているからこそ、敢えて申し上げたのです」
蔡九知府はこれを聞いて頷いた。
「それは難しくない。あの男は東京へ行ったことがない。一問すれば虚実が明らかになるだろう」
知府は黄文炳を屏風の裏に座らせ、すぐに庁舎へ昇り、戴宗を呼び出した。公用があると言われ、役人たちは命令を受けて四方へ探しに行った。
【詩】
反詩と偽信、事は相牽がり、
梁山の盗と結連するが為なり。
これ黄蜂の痛き処を鍼すにあらずんば、
蔡亀は大なりといえども総て徒然ならん。
(黄文炳の鋭い指摘がなければ、蔡九知府の権威も無駄になっていたであろう)
さて、戴宗は江州に戻ると、まず牢の宋江に会い、耳打ちして事の次第を告げた。宋江は心の中で密かに喜んだ。
翌日、酒に招かれて酒場で飲んでいると、役人たちが四方から探しに来た。戴宗が庁舎へ連れて行かれると、蔡九知府が尋ねた。
「先日はご苦労だった。実によくやってくれた。まだ十分に褒美をやっていなかったな」
戴宗は答えた。
「小人は恩相の命を受けた者、どうして怠ることがありましょう」
「連日忙しくて詳しく聞けなかったのだが、先日お前が京師へ行った時、どの門から入った」
「小人が東京へ着いた時は日が暮れておりましたので、何という門か分かりませんでした」
「我が屋敷の門前で、誰が応対した。どこに泊まったのだ」
「屋敷へ着きますと、一人の門番を見つけて手紙を渡しました。しばらくして門番が出てきて、信籠を受け取り、小人に客宿を探して泊まれと言いました。翌朝五更に門前で待っていると、その門番が返書を持って出てきました。小人は期日に遅れるのを恐れ、詳しく聞くこともできず、急いで戻ってまいりました」
「お前が会った門番は、いくつぐらいだった。色黒で痩せていたか、それとも白くて太っていたか。背は高いか、低いか。髭はあったか、なかったか」
「屋敷へ着いた時は暗く、翌朝戻る時も五更で薄暗うございました。あまり詳しくは見えませんでしたが、それほど背は高くなく、中肉中背で、少し髭があったように思います」
知府は激怒して叫んだ。
「庁下へ引きずり下ろせ!」
横から十数人の獄卒牢番が出てきて、戴宗を目の前に引き倒した。戴宗は訴えた。
「小人に罪はございません」
知府は怒鳴った。
「この死に損ないめ! 屋敷の老門番の王公は何年も前に死んでおり、今は小王という若者が門番をしているのだ。どうして年配で髭があるなどと言うのだ。それに、門番の小王は屋敷の奥へは入れぬ。外からの書状はすべて張幹弁を通し、李都管に伝えられ、それから奥へ知らされて初めて贈り物が受け取られるのだ。返書をもらうにも三日は待たねばならぬ。私の籠二つ分の贈り物を、どうして腹心の者が出てきて詳しく尋ねもせずに、いい加減に受け取るはずがあるか。昨日は急なことで貴様に騙されたが、今は洗いざらい白状しろ! その手紙はどこで手に入れた!」
戴宗は言った。
「小人は気が急いており、先を急ぐあまり、よく確認できませんでした」
蔡九知府は喝した。
「戯言を! この骨の髄まで腐った奴め、打たねば白状せぬか。左右の者、こやつを力任せに打ち据えろ!」
獄卒牢番たちは状況が悪いと見て、顔なじみだからと手加減もできず、戴宗を縛り上げて皮が裂け血が流れるほど打ち据えた。戴宗は拷問に耐えきれず、ついに自白した。
「確かにこの手紙は偽物です」
「貴様はどうやってこの偽手紙を手に入れた」
「小人が梁山泊のそばを通った時、あの一味の強盗どもが現れ、小人を襲って山へ縛り上げ、腹を割いて心臓を取り出そうとしました。懐の手紙を見つけられ、信籠を奪われましたが、命だけは助けられました。郷里へ戻るに戻れず、山で死を乞いましたが、彼らがこの手紙を書いて小人に渡し、戻って言い訳できるようにしてくれたのです。罪に問われるのが怖くて、恩相を欺いてしまいました」
「なるほど、辻褄は合うが、まだ嘘があるな。貴様が梁山泊の賊徒と結託し、私の信籠を奪わせたに違いない。なぜそんな言い訳をする。もっと打て!」
戴宗はいくら拷問されても、梁山泊と通じていることだけは白状しなかった。
蔡九知府は何度も戴宗を拷問したが、証言は変わらなかったため、「もうよい。大きな枷をはめ、牢へぶち込んでおけ」と命じた。
そして庁舎を降り、黄文炳に礼を言った。
「通判の明察がなければ、危うく大事になるところでした」
黄文炳は言った。
「見たところ、この男も梁山泊と結託し、謀反の一味となっているのは明らかです。除いておかねば後患となりましょう」
「では、この二人(宋江と戴宗)の罪状を確定させ、文書を作成し、市曹(処刑場)へ連行して斬首し、それから朝廷へ上奏しよう」
「相公のご高見、極めて賢明でございます。そうすれば、一つには朝廷が相公の大功をお喜びになり、二つには梁山泊の草賊が牢破りに来るのを防げます」
「通判の見識は深遠だ。必ず文書を送り、自ら通判を保挙いたそう」
その日、知府は黄文炳をもてなし、門まで見送った。黄文炳は無為軍へと帰っていった。
翌日、蔡九知府は庁舎へ昇り、担当の孔目(書記官)を呼んで命じた。
「すぐに文書を整え、宋江と戴宗の供述書を添付せよ。一方で犯由牌(罪状札)を書き、明日市曹へ引き出し、斬首刑に処せ。古来、謀反人は時を待たずに処刑するものだ。宋江と戴宗を斬って後患を断つのだ」
担当は黄孔目といった。彼は戴宗と親しかったが、助ける手立てがなく、ただ心の中で嘆くばかりだった。彼は進言した。
「明日は国家の忌日、明後日は七月十五日の中元の節句で、どちらも処刑は行えません。その翌日もまた国家の祝日です。五日後でなければ執行できません」
これは一つには天が宋江を救おうとしたことであり、二つには梁山泊の好漢たちがまだ到着していなかったからである。
蔡九知府はこれを聞き、黄孔目の言葉に従った。
そして第六日の早朝、まず人をやって十字路の法場(処刑場)を掃除させ、朝食後に土兵と刀を持った جل子(処刑人)ら約五百人を大牢の門前に待機させた。巳の刻(午前十時頃)、獄官が知府に報告し、知府自らが監斬官(処刑監督官)となることになった。
黄孔目は仕方なく犯由牌を堂上に提出し、庁舎で二つの「斬」の字が判決として書き入れられ、芦席が貼られた。江州府の多くの節級や牢子たちは戴宗・宋江と親しかったが、どうすることもできず、ただ嘆くばかりだった。
準備が整うと、大牢の中で宋江と戴宗は縛り上げられ、髪に膠水を塗って「鵝梨角(がりかく・髷の形)」に結い上げられ、それぞれ赤い造花を挿された。青面聖者の神棚の前に連れ出され、「長休飯(最後の飯)」と「永別酒(別れの酒)」を与えられた。飲み終わると神棚に別れを告げ、振り向いて背中に死刑囚の目印(利子)を付けられた。
六、七十人の獄卒が宋江を先に、戴宗を後にし、牢門の外へ押し出した。宋江と戴宗は顔を見合わせたが、言葉も出ない。宋江はただ地団駄を踏み、戴宗はうなだれて溜息をつくばかりだった。江州府の見物人は肩が触れ合うほどで、二千人を下らなかった。
【描写】
愁雲荏苒として、怨気氛氳たり。
頭上の日色は光無く、四下の悲風は乱れ吼ゆ。
纓鎗対々(つつい)、数声の鼓は響いて三魂を喪わしめ、
棍棒森森、幾下の鑼は鳴って七魄を催す。
犯由牌は高く貼られ、人は言う「此を去って幾時か回らん」と。
白紙花双つ揺れ、都て道う「這番再び活き難し」と。
長休飯、顙の内に呑み難く、
永別酒、口の中に怎でか嚥まん。
猙獰たる劊子は鋼刀を杖き、
醜悪なる押牢は法器を持つ。
皂纛旗の下、幾多の魍魎跟隨し、
十字街頭、無限の強魂等候す。
監斬官は忙わしく号令を施し、仵作子は屍を扛ぐるを準備す。
劊子(処刑人)たちは殺気立って声を上げ、宋江と戴宗を前後に押し立てて十字路の処刑場へ連行した。槍や棒でぐるりと囲み、宋江を南向きに、戴宗を北向きに座らせた。あとは午の刻三刻(正午過ぎ)、監斬官が到着して刑を執行するのを待つばかりである。
人々が見上げると、犯由牌にはこう書かれていた。
「江州府の犯人一名、宋江。故に反詩を吟じ、妄りに妖言を造り、梁山泊の強寇と結連し、通同して造反せんとす。律により斬に処す。犯人一名、戴宗。宋江と暗かに私書を遞し、梁山泊の強寇を勾結し、通同して謀叛す。律により斬に処す。監斬官・江州府知府 蔡某」
知府は馬を止め、報告を待った。
その時、処刑場の東側で、蛇使いの乞食の一団が無理やり中に入って見物しようとし、土兵たちが追い払おうとしても退かなかった。揉めていると、西側でも槍棒使いの薬売りの一団が強引に入り込もうとした。土兵が怒鳴った。
「お前ら分からず屋だな! ここをどこだと思っている、無理やり入ってくるとは」
薬売りたちは言い返した。
「田舎者め! 俺たちはあちこちの州や府を回って、どこでも処刑を見てきた。京師で天子が人を殺す時だって見せてくれるぞ。こんな小さな場所で二人斬るくらいで大騒ぎしやがって。ちょっと見せろよ! 何が悪いんだ!」
土兵と言い争っていると、監斬官が「追い払え、入れるな」と命じた。
騒ぎが収まらぬうちに、南側から荷担ぎ人足の一団が割り込もうとした。土兵が「ここは処刑場だ、どこへ行く気だ」と止めると、人足たちは言った。
「俺たちは知府相公へ荷物を届けるんだ。邪魔する気か」
「相公の屋敷の者でも、他を通れ」
人足たちは荷物を下ろし、天秤棒を持って人混みに紛れ込んで見物を始めた。
さらに北側から客商人の一団が車を二台押してやってきて、処刑場を通ろうとした。土兵が「どこへ行く」と止めると、商人たちは「先を急ぐんだ、通せ」と言う。「ここは通れん、他を回れ」と言っても、「都から来たから道を知らん、この大道を行くんだ」と笑って譲らない。土兵が止めようとしても、商人たちは車に寄りかかって動かず、四方で騒ぎが続いた。蔡九知府も止めようがなかった。
間もなく、処刑場の中央で人垣が割れ、「午の刻三刻!」と報告があった。監斬官は「斬ってから報告せよ」と命じた。
両側の刀を持った処刑人が枷を外し、法刀を構えた。
その時である。
商人たちの中から一人が懐から銅鑼を取り出し、車の上でジャーン、ジャーンと二、三回打ち鳴らした。
それを合図に、四方から一斉に行動が始まった。
【詩】
閒かに乗りて興じ 江楼に入り、
渺渺たる煙波 素秋に接す。
酒を呼んで謾りに澆ぐ 千古の恨み、
詩を吟じて瀉がんと欲す 百重の愁い。
雁書は英雄の志を遂げず、
失脚して翻って狴犴の囚と成る。
梁山の諸義士を搔動し、
一斉に雲のごとく擁して江州を鬧がす。
十字路の茶店の二階から、虎のような黒い大男が、素っ裸になって両手に板斧(手斧)を握りしめ、雷のような大声で吼えながら飛び降りてきた。手斧を振り下ろし、瞬く間に二人の処刑人を切り伏せると、そのまま監斬官の馬前へと切り込んでいった。土兵たちが槍で突こうとしたが、誰も止められず、皆は蔡九知府を守って逃げ出した。
東側の蛇使いの乞食たちは、懐から尖刀を取り出して土兵に斬りかかった。
西側の薬売りたちは大声を上げ、手当たり次第に斬り込み、土兵や獄卒をなぎ倒した。
南側の人足たちは天秤棒を振り回し、縦横無尽に土兵や見物人を打ち倒した。
北側の商人たちは車から飛び降り、車を押して人を遮った。二人の商人が中へ飛び込み、一人は宋江を、もう一人は戴宗を背負った。残りの者たちは弓矢、石礫、投げ槍を取り出して応戦した。
実は、商人に扮していたのは晁蓋、花栄、黄信、呂方、郭盛。
薬売りに扮していたのは燕順、劉唐、杜遷、宋万。
人足に扮していたのは朱貴、王矮虎、鄭天寿、石勇。
乞食に扮していたのは阮小二、阮小五、阮小七、白勝。
梁山泊の頭領、計十七人が手下百人余りを連れて潜入し、四方から斬り込んだのである。
人混みの中で、あの黒い大男が二丁の板斧を振るい、ひたすら斬りまくっていた。晁蓋たちは彼を知らなかったが、誰よりも奮戦し、最も多く敵を殺している。晁蓋はふと思い出した。戴宗が「黒旋風・李逵という男が宋三郎と親しい」と言っていたことを。
晁蓋は叫んだ。
「そこの好漢、黒旋風ではないか」
男は答えもせず、火の玉のように斧を振るい、人を斬り続けるばかりだ。晁蓋は宋江と戴宗を背負った手下たちに、その黒い男について行くよう命じた。
十字路は軍官も民衆も見境なく殺され、死体は野を覆い、血は川となって流れた。頭領たちは車や荷物を捨て、全員で黒い男に従って城外へ殺出し(きりだし)た。背後からは花栄、黄信、呂方、郭盛が弓矢を雨霰と射かけ、江州の軍民は誰も近寄れなかった。
黒い男は江辺まで殺到したが、返り血で全身真っ赤になってもなお斬り続けている。晁蓋は朴刀を構えて叫んだ。
「民百姓には関係ない、むやみに人を傷つけるな!」
男は聞く耳持たず、斧で次々と切り伏せていく。
城から江沿いに五、七里ほど行ったところで、前方は滔々たる大江に阻まれ、陸路が尽きてしまった。晁蓋は「しまった!」と思った。
黒い男はようやく叫んだ。
「慌てるな、兄貴を背負って廟に入れろ!」
見れば、江辺に大きな廟があり、両扉は固く閉ざされている。黒い男は斧で扉を叩き割り、中へ押し入った。
両側には古檜や蒼松が茂り、正面の額には金文字で『白龍神廟』とあった。
手下たちが宋江と戴宗を降ろすと、宋江はようやく目を開け、晁蓋たちを見て泣いた。
「兄貴、夢ではないのですか」
晁蓋は慰めた。
「恩兄が山へ来なかったから、こんな苦しみに遭ったのだ。あの奮戦していた黒い男は誰だ」
「あれが『黒旋風』李逵です。何度も牢破りをしようと言ってくれましたが、私が逃げきれぬと断っていたのです」
「なんと得難い男だ。誰よりも働き、矢玉も恐れぬとは」
花栄が言った。「まずは兄貴たちに服を着せましょう」
その時、李逵が斧を提げて廊下から出てきた。宋江が呼び止めた。
「兄弟、どこへ行く」
「廟守を探して殺してやる。俺たちを迎えもせず、扉を閉めてやがった。血祭りに上げてやるつもりだったが、見当たらねえ」
「まずはこっちへ来て、俺の兄貴分たちに挨拶しろ」
李逵は斧を捨て、晁蓋に跪いた。
「鉄牛(李逵)の無礼をお許しください」
皆と挨拶を交わし、朱貴と同郷だと分かって喜び合った。
花栄が言った。
「兄貴、李大哥について来ましたが、ここは行き止まりです。船もなく、もし城内の官軍が攻めてきたら、どう防ぎ、どう逃げますか」
李逵が言った。
「慌てるな。もう一度城へ殺入って、あの蔡九知府をぶった斬ってから逃げようぜ」
戴宗がようやく意識を取り戻して叫んだ。
「兄弟、無茶を言うな。城内には五、七千の軍馬がいる。戻れば全滅だ」
阮小七が言った。
「対岸に数隻の船が見える。俺たち兄弟三人が泳いで行って、奪ってくるというのはどうだ」
晁蓋は言った。「それが最善だ」
阮氏三兄弟が服を脱ぎ、尖刀を口にくわえて水に飛び込んだ。半里ほど泳いだところで、上流から三隻の早船が口笛を吹き鳴らし、飛ぶように近づいてきた。船上には十数人ずつ武器を持った男たちが乗っている。皆は慌てた。
宋江は嘆いた。「私の命運もここまでか」
廟の前に出て見ると、先頭の船に一人の大男が座り、明晃晃たる五股の叉を逆さに持ち、頭には赤い紐を巻き、白絹の水褌を締め、口笛を吹いている。
宋江が見ると、それは他でもない……。
【詩】
東に去る長江万里、内中の一個の雄夫。
面は粉を傅けるが如く体は酥の如し、水を履むこと平土の如し。
胆大にして能く禹穴を探り、心雄にして驪珠を摘まんと欲す。
波を翻し浪に跳ぶこと性は魚の如し、張順 名は千古に伝う。
張順が船頭から叫んだ。
「白龍廟に集まっているのは何奴だ!」
宋江が身を乗り出して叫んだ。「兄弟、助けてくれ!」
張順たちは宋江を見て「よかった!」と叫び、飛ぶように岸へ近づいた。三阮もそれを見て戻ってきた。
一行は上陸して廟へ来た。張順は十数人の壮漢を連れている。張横は穆弘、穆春、薛永と十数人の庄客を連れて二隻目に。三隻目には李俊が李立、童威、童猛と塩売りの手下十数人を連れていた。
張順は宋江を見て喜び、拝礼した。
「兄貴が捕まってから心配でなりませんでしたが、救う手立てもなく、戴院長まで捕まったと聞いて、兄の張横を訪ねて穆太公の屋敷へ行き、仲間を集めました。今日これから牢破りに行くところでしたが、まさか仁兄が既に好漢たちに救出されているとは。……失礼ですが、こちらの豪傑たちは梁山泊の義士、晁天王ではありませんか」
宋江は上座を指して言った。
「こちらが晁蓋兄貴だ。皆、挨拶してくれ」
張順ら九人、晁蓋ら十七人、そして宋江、戴宗、李逵。合わせて二十九人が白龍廟に集結した。これを『白龍廟の小聚会』と呼ぶ。
二十九人の好漢が挨拶を終えた時、小嘍囉が慌てて報告に来た。
「江州城内でドラや太鼓が鳴り響き、軍馬が出撃してきました。遠くに旗が空を覆い、刀剣は林の如く、先頭は甲冑の騎兵、後ろは槍を持った歩兵、大刀や斧を持った大軍が白龍廟へ殺到しています!」
李逵はこれを聞いて大叫した。
「殺しに行こうぜ!」
両手の斧を提げて廟を出て行った。
晁蓋が叫んだ。
「一に不作、二に不休。乗りかかった船だ、徹底的にやるぞ。好漢たちよ、晁某に力を貸してくれ。江州の軍馬を皆殺しにしてから、梁山泊へ帰ろうではないか!」
英雄たちは一斉に答えた。「命に従います!」
百四、五十人が一斉に鬨の声を上げ、江州の岸へと殺到した。
まさに、血は波を紅に染め、屍は山と積もる。
波に跳ねる蒼龍が毒火を噴き、山を這う猛虎が天風に吼えるが如し。
果たして晁蓋ら好漢たちは、いかにしてこの窮地を脱するのか。
【Vol.040:【悲報】呉用先生ガバる→処刑寸前で脳筋・李逵が全部壊した件www】
1. 呉用先生、痛恨のミス
梁山泊のみんな「手紙出したけど大丈夫そ?」
軍師・呉用「やべ、詰んだわ。戴宗に持たせた偽手紙、ハンコ間違えた。親子の手紙なのに『公的・フルネーム印鑑』押しちゃった。これ絶対バレるやつ」
晁蓋「マ? すぐ呼び戻せ!」
呉用「無理ゲー。あいつ神行法で爆速だからもう着いてる。こうなったら実力行使で奪還するしかねえ! 全員江州へGO!」
2. 戴宗、特定班に論破される
江州にて。知府(蔡京の息子)は偽手紙見て「パパからの手紙だ~昇進確実じゃん!」ってウキウキで戴宗にチップ渡す。
しかし、ここにやっぱり黄文炳っていう嫌味なインテリが登場。
黄「え、パパからの手紙に実名入り公印? ありえなくね? それ偽装工作っすよ。筆跡とか今は誰でも真似できるし」
知府「マジで? 戴宗呼んで問い詰めるわ」
3. 拷問→自白→死刑確定
知府「お前、門番の年齢とか髭の特徴言ってみ?」
戴宗「えっと…夜だったんでよく見えなくて(汗)」
知府「嘘乙。 門番若返ってるし、そもそもシステム違うから。ボコせ!」
戴宗、ボッコボコにされて「梁山泊の奴らに脅されて手紙奪われただけっす(嘘)」って言うけど、結局「宋江とグルだろ」ってバレて、二人まとめて処刑決定。
しかも「国家の祝日とか被るから、6日後に処刑な」っていう謎の猶予発生。これ完全に生存フラグ。
4. 処刑場、カオス化
運命の処刑当日。見物人多数。
いきなり「ドラ」が鳴った瞬間、客に化けてた梁山泊メンバー(花栄、黄信、阮三兄弟など総勢17人)が一斉蜂起!
中でもヤバかったのが黒旋風・李逵。
全裸で手斧二丁持って「うおおお!」って2階からダイブ。敵も味方も関係なく斬りまくるバーサーカー状態。
晁蓋「あの黒いの誰? 知らんけど強すぎワロタ。とりあえずあいつについて行こう」
5. 逃げ場なしからの…神展開
みんなで暴れまわって川岸まで逃げたけど、川幅広すぎ&船なくて詰みかける。
李逵「戻って知府殺そうぜ(提案)」
戴宗「無理。軍隊来てる」
そこに颯爽と現れたのが、水泳ガチ勢の張順、張横、李俊たち水軍メンバー!
船で迎えに来て合流成功。
白龍廟で「うぇーい! 久しぶり!」って小規模オフ会(29人集結)やってる場合じゃない。
6. そして伝説へ
官軍が大軍で追ってきた!
李逵「殺んのかコラ!」
晁蓋「おっしゃ、逃げるのやめた。全員返り討ちにしてから帰るわ。」
全員「了解!!!」
→ 次回、江州軍ボコボコ編へ続く。
【3行でまとめ】
偽造手紙のハンコミスで戴宗バレる。
処刑場襲撃! 李逵が暴れすぎてドン引きレベル。
川岸で水軍メンツ合流、ここから逆襲開始。




