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私説 水滸伝一〇八編の鎮魂曲  作者: 光闇居士


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〇参壱:張都監(ちょうとかん)、血は鴛鴦楼(えんおうろう)に濺(そそ)ぎ、武行者、夜に蜈蚣嶺(ごこうれい)を走る

挿絵(By みてみん)

つき蜈蚣嶺ごこうれいを照らし かぜまつえしむ 行者ぎょうじゃ戒刀かいとうり じゃたんとす いまざるやいば しもごとひややかに 今宵こよいほとけわりて 修羅しゅららん


【しおの】

 さて、張都監は張団練ちょうだんれんの甘い言葉に乗り、蒋門神しょうもんしんへの義理立てとして復讐を企て、武松の命を狙いました。しかし、放たれた四人の刺客は、飛雲浦ひうんほの橋の上で、ことごとく武松の返り討ちに遭って果てたのです。

 武松は橋の上に佇み、しばし沈思黙考に沈みました。その胸に渦巻く怒りは天を突き、恨みは骨の髄まで徹しています。

「張都監をこの手で葬らぬ限り、この胸のつかえは一生晴れることはない」

 彼はむくろの側から腰刀を拾い上げ、質の良いものを選んで腰に差し、朴刀ぼくとうを携えて、再び孟州もうしゅうの城内へと引き返しました。城に辿り着く頃には、すでに黄昏の刻も過ぎ、家々は固く門を閉ざしていました。

【詩に曰く】

十字街には灯火が煌々と輝き

九曜寺からは香の煙と鐘の声が流れる

一輪の明月は青天に静かに掛かり

碧漢へきかんには数多の星がまたたく

六軍のいとなみには角笛の音が低く響き

五鼓のたかどのには銅壺どうこの滴りが刻を刻む

佳人は刺繍のとばりへと帰り

士子は書斎のとばりを静かに閉ざす

 武松は張都監の屋敷の裏庭、馬小屋のあたりに音もなく忍び寄りました。暗がりに身を潜めていると、角門すみかどもんが開き、提灯を手にした馬丁ばていが姿を現しました。刻は一更四点(午後八時頃)。馬丁が馬にまぐさをやり、ようやく床に就こうとしたその時、武松が静かに戸を叩きました。

「誰だ、こんな夜更けに。泥棒ならもっと早く来い」

 馬丁が不用心に戸を開けた瞬間、武松が飛鳥のごとく飛び込み、その喉元を鷲掴みにしました。冷たい刃を突きつけられ、腰を抜かした馬丁は「命だけは、命だけはお助けを……」と地を這って許しを乞います。

「張都監はどこだ」

「蒋門神様、張団練様とお三方で、鴛鴦楼の上で酒を酌み交わしておられます」

「嘘ではないな?」

「もし嘘なら、疔瘡ちょうそうを患って果てても構いませぬ」

「ならば、生かしてはおけぬ」

 武松は手起しゅき一刀の下に馬丁を斬り伏せました。彼は施恩しおんから贈られた新しい綿入れに着替え、腰周りを引き締めると、馬丁の布団の中から路銀を包んで肩に掛け、朴刀を手に壁を越えて、屋敷の奥深くへと忍び込みました。

 月明かりが照らす中、武松は厨房へと足を向けました。中では二人の下女が不平をこぼしていました。

「一日中こき使われて、この期に及んでまだ茶を持ってこいとおっしゃる。あのお客さんも、あんなに泥酔していながら、よくもまあお帰りにならないことだわ」

 武松は戸を押し開き、有無を言わさず下女たちを斬り捨てました。亡骸をかまどの前に転がし、灯火を消すと、月光を頼りに鴛鴦楼の階段を一段ずつ昇っていきました。

 二階からは、三人の親密な話し声が漏れ聞こえてきます。蒋門神が都監に媚びるように語っていました。

相公だんなさまのおかげで、ようやく長年の恨みを晴らすことができました。このご恩、必ずや幾重にもお報いいたします」

「わしの兄弟分である張団練の頼みゆえな。金はかかったが、あの武松も今頃は飛雲浦で無惨な死体となって転がっておろう。明朝になれば、待ちわびた吉報が届くはずだ」

 武松はその言葉を聞くや、怒りの炎が天を焦がさんばかりに燃え上がりました。

【詩に曰く】

暗室の中、欺くべからず

古今の奸悪かんあく、ことごとく誅せられん

金風きんぷういまだ動かざるに蝉はやかましく

無常むじょうの使いを送りて死を知らず

 武松はたかどのに踏み込みました。

 蒋門神が驚愕して立ち上がろうとした瞬間、武松の刀がその顔面を容赦なく叩き割り、椅子ごと斬り倒しました。次いで張都監が逃げようとしましたが、その首筋を深々と斬られて床に伏しました。

 武官出身の張団練は椅子を盾に抗戦を試みましたが、武松の神力には遠く及ばず、突き飛ばされたところを鮮やかに首を跳ねられました。武松は蔣門神と都監の首をも落とすと、たくに残された酒を悠然と飲み干し、血を浸した衣の端で、白壁に八文字、大きく書き記しました。

「殺人者、打虎たいご武松也」

(人を殺めし者は、虎を打ちし武松なり)

 さらに、異変に駆けつけた都監の夫人、下女の玉蘭ぎょくらん、そして幼き子供らまでも、武松は容赦なく手にかけました。

いつ不作せず不休やまず。百人殺そうと、死ぬのは一度きりだ」

 合計十五人の血を流した武松は、銀の酒器を奪い、朴刀を杖代わりにして城壁を軽々と越え、孟州の城を脱出しました。

【詩に曰く】

路上にて刃を開くを図り

楼中にて酒を飲むを喜ぶ

一人、多くの人を害せしも

殺意は殺し手よりもむご

しからざれば冤鬼えんきまつわられ

いずくんぞ身をき、便すなわち走り去らんや

 夜通し走り続け、四更三点(午前三時頃)。武松は極度の疲労と傷の痛みに耐えかね、林の中に佇む古い小廟で眠りに落ちました。しかし、不運にもそこを通りかかった村の搗子とうし・ごろつきたちに見つかり、捕らえられてしまったのです。

 彼らが武松を連れて行った先は、街道沿いの草深い一軒家でした。

 柱に頑丈に縛り付けられ、「良い肉の材料が手に入った」と喜ぶ搗子たち。武松は静かに覚悟を決めました。「こんな名もなき場所で果てるくらいなら、城内で潔く首を刎ねられ、名を残すべきであったか……」

【詩に曰く】

奸邪かんじゃを殺し尽くして恨みようやく平らぐ

英雄、なんを逃るるも名を逃れず

千秋の意気、生きて恥ずることなく

七尺の身躯しんく、死して軽からず

 ところが、現れた家の主人の夫婦を見て、武松は目を見開きました。

 そこにいたのは、十字坡じゅうじはの「菜園子さいえんし張青ちょうせいと「母夜叉ぼやしゃ孫二娘そんじじょうの二人だったのです。

 彼らは捕らえた男が武松であることを知るや、慌てて縄を解き、非礼を丁重に詫びました。張青が孟州の情勢を尋ねると、武松はことの顛末をすべて語って聞かせました。

「十五人の首を跳ね、城を越えて参った。だが傷が痛み、小廟で休んでいるところを、この者たちに捕らえられたのだ」

 張青の部下である搗子たちは平伏して許しを請いました。張青は、武松がいつか逃れてくる日のために、部下たちへ「動ける獲物は殺さずに捕らえておけ」と命じていたのでした。

 数日間、武松は張青の屋敷で傷を癒やしましたが、城内では三千貫の賞金が掛けられ、武松の人相書きが至る所に張り出されていました。

二哥あにき、ここももはや安全ではありません。青州の二龍山にりゅうざんへ向かい、魯智深ろちしん殿を頼りなされ。あそこならば官軍も容易には手出しできまい」

 しかし、武松の顔には流刑の罪人を示す「金印きんいん」の刺青がくっきりと残っています。

 そこで、孫二娘が妙案を差し出しました。

「二年前、ここを通った頭陀(ずだ・修行僧)を一人仕留めたことがありました。その者が残した衣、数珠、度牒(どちょう・身分証)、そして雪花せっか鑌鉄びんてつ戒刀かいとうが大切に残されています。二哥、髪を切り、この武行者の姿に身を変えなされ。そうすれば、顔の金印も隠せましょう」

【詩に曰く】

緝捕しゅうほ星火せいかのごとく急にして

顛危てんき風波ふうぱに似たり

もし災禍さいかを免れんと欲せば

まさに頭陀ずだと成るべし

 武松は髪を切り、鉄の界箍(かいこ・鉢巻き)を締め、黒の直裰じきとつを纏いました。その姿は、まさしく前世からの定めの如く、凛々しき修行僧そのものでした。

 張青は武松に路銀と魯智深への手紙を渡し、くれぐれも慎重に行動するよう諭して見送りました。

【描写に曰く】

前の髪は眉を覆い、後ろの髪はくびに及ぶ。

黒の直裰じきとつ烏雲ううんが体を覆うが如く

色とりどりのひもは錦の蛇が身に纏うが如し。

額の界箍かいこは燦然として

瞳は火の如く輝く。

戒刀かいとう二口、秋の殺気を帯び

数珠百顆、悲風ひふうみちに呼ぶ。

人を喰らう羅刹らせつも手をこまね

護法ごほうの金剛も眉をひそめん。

 武行者の姿となった武松は、夜道を急ぎました。十月の冴え渡る月明かりの下、蜈蚣嶺ごこうれい・むかでれいという険しい峠に差し掛かりました。

 すると、林の中に佇む古びたいおりから、男女の楽しげな笑い声が聞こえてくるではありませんか。覗いてみれば、一人の道士どうしが女を抱き寄せ、月を愛でながら戯れているではありませんか。

「出家の身でありながら、なんという破廉恥な真似を!」

 武松の正義の怒りが爆発しました。彼は腰から戒刀を静かに抜き放ちました。夜風に鳴るその刃は、まだ一度も血を吸ったことがありません。

「この不届きな道士で、刀の試し斬りをしてくれよう」

 武松が庵の門を石で激しく叩くと、一人の童子どうじが現れました。

「何奴だ、こんな夜更けに騒がしい!」

「童子、まずは貴様の首を祭壇へ供えてやろう!」

 武松の手が閃きました。そうという音と共に、童子の首が地を転がりました。

「誰だ、わしの弟子を殺したのは!」

 中から道士が二口の宝剣を手に、血相を変えて飛び出してきました。武松は大笑いし、ふた振りの戒刀を鮮やかに舞わせました。

 月明かりの下、寒光かんこうと殺気が激突します。

 その様は、まさに飛ぶ鳳凰ほうおうらんを迎えるが如く、角鷹くまたかうさぎを捕らえるが如し。十数合じゅうすうごうの死闘の果て、峠の林に鈍い音が響き渡り、一人の影が力なく倒れ伏しました。

 飛び散る血飛沫は、静かな月夜に降り注ぐ雨のようでした。

 果たして、地に伏したのはどちらか――。

【Vol.031:武松、闇堕ちから「最強の僧侶」へジョブチェンジ】


1. 復讐の鬼、深夜の「突撃!隣の晩ごはん」

飛雲浦で刺客を返り討ちにした武松、怒り値がMAX突破。そのまま孟州城へ逆走します。「元凶を仕留めなきゃ気が済まねえ」ってことで、ターゲット・張都監チョウ・トカンの屋敷に不法侵入。

まずは馬小屋の馬丁を脅してターゲットの居場所(鴛鴦楼)を吐かせ、「口封じ乙」でサクッと始末。 その後、厨房で愚痴ってた下女たちも巻き添えに。この時の武松、完全に「ジョン・ウィック」状態です。


2. 鴛鴦楼えんおうろうで「サプライズ皆○し」

楼閣の上では、張都監、蔣門神、張団練の悪徳トリオが「武松死んだかな?w」とか言いながら、おいしくお酒を飲んでました。そこに武松が「お待たせ!」と乱入。

蔣門神は椅子ごと斬られ、都監も団練も一瞬でデリート。武松はそこにあった酒を飲み干し、血をインク代わりにして壁に「犯人は俺(武松)だわ」と巨大なサインを残します。承認欲求の塊というか、潔すぎる犯行声明。


3. 殺害スコア「15」とまさかのピンチ

勢い余って都監の嫁さんも、ハニトラ娘の玉蘭も、子供まで皆○しにする武松。「中途半端にやめるくらいなら全員いくわ」という超極端な理論を展開します。

城壁を越えて脱出したものの、疲労コンパイルで小廟で爆睡してたら、地元の小悪党に捕まるというポカをやらかします。最強の男、スタミナ切れには勝てなかった。


4. 懐かしの「人間ミンチ屋」夫婦と再会

捕まった先で「いい肉が手に入ったw」と喜ぶ連中のボスは……なんと以前、武松を人間団子にしようとした張青チョウセイ孫二娘ソンニジョウ

「あ、武松の兄貴じゃん!マジ失礼したわ!」と急に同窓会モードに。武松はここでのんびり傷を癒やしますが、街中に指名手配書が貼られてて、賞金もヤバいことに。


5. 衝撃のイメチェン「武行者ぶぎょうしゃ」降臨

「刺青あるしバレるよね?」ってことで、孫二娘が提案したのが「僧侶(修行僧)のコスプレ」。

以前店で始末した修行僧の装備一式(黒い服、数珠、カッコいい戒刀)を装備し、武松は髪をバッサリ切って「武行者」にジョブチェンジ。これが驚くほど似合ってて、本人も「前世からこれだった気がするわ」と納得。


6. 深夜の峠で「不純異性交遊」を許さないマン

新しい刀の試し斬りをしたい武松、蜈蚣嶺むかでれいという峠で不穏な庵を発見。覗いてみると、道士(修行僧)が女の子とイチャついてお酒を飲んでる超絶リア充シーン。

「坊主のくせに女と遊ぶとか許せねえ(俺のハニトラの恨みを思い出させるんじゃねえ)」とブチギレ。まずは弟子をワンパンで倒し、飛び出してきたエロ道士と月光の下でガチバトル開始!


今回のポイント:

武松の闇が深い: 「1人殺すのも100人殺すのも一緒じゃね?」という無敵の人理論。

現場の書き置き: 「殺人者・打虎武松也」のフォントサイズが気になるレベルのドヤ感。

コスプレ(本気): 武松といえば「行者(修行僧)」スタイルですが、その誕生秘話は「死体からの剥ぎ取り装備」という意外な事実。

一言で言うと:

「復讐で15人抜きした武松が、指名手配から逃れるために僧侶にコスプレしてみたら、道中でチャラいお坊さんを見つけて試し斬りしちゃう回」です!

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