〇弐八:武松、安平寨に威を振るい、施恩、義をもって快活林を奪わんとす
「天仰ぎ 投げし巨石の 影ぞ濃き 我が世の重荷 軽くなしとて」
武松が天に投げ上げた巨大な石の様子を詠んでいます。
その石が落とす「影」は、物理的な影だけでなく、彼の存在感や、これから始まる運命の重さも暗示しています。
武松が軽々と石を投げ上げる姿とは裏腹に、彼が背負う罪や苦難(「我が世の重荷」)は決して軽いものではない、という悲壮な覚悟や、宿命への挑戦の姿勢を表しています。
【しおの】
さて、張青は武松に向き直り、切々と語りかけた。
「都頭、決して悪気があってのことではござらぬ。これから牢獄でいわれなき苦しみを受けるよりは、いっそここで役人二人を片付けてしまい、しばらく拙宅に身を寄せられてはいかがか。もし都頭が、俗世を捨てて『落草(山賊に加わること)』をお望みとあらば、この私自ら二龍山の宝珠寺までお送りいたしましょう。あそこにおられる魯智深殿の仲間入りができるよう、万事計らいましょうぞ」
武松は深く頷き、静かに答えた。
「兄貴のその親切、身に染みる。だが、この武松、平生より天下の強者と渡り合うことはあれど、この役人たちは道中、俺のために細やかな気遣いを見せてくれた者たちだ。俺を害そうとしなかった者を殺せば、それは天理に背くというもの。もし俺を思ってくれるなら、どうか毒を解いて彼らを救ってやってくれ。殺してはならぬ」
張青は感銘を受けた様子で言った。
「都頭がそれほどの義侠心をお持ちなら、すぐさま救い出しましょう」
張青は手下を呼び寄せ、二人を解体台から下ろさせた。孫二娘が手際よく解毒薬を調合し、二人の耳を引っ張って流し込むと、半時もしないうちに役人たちは、まるで深い夢から覚めたように起き上がった。
「おや、なぜ我々は見知らぬ場所で酔い潰れていたのだ? 驚いた、ここの酒はなんと旨いことか。少し舐めただけで、この体たらくだ! 帰りにまた立ち寄って、土産に買っていくことにしよう」
武松は思わず吹き出し、張青と孫二娘もつられて笑ったが、役人たちは何が起きたのか分からず、ただ首を傾げるばかりであった。その間に手下たちが鶏やガチョウを捌いて丹念に煮込み、見事な酒宴の膳を整えた。
張青は裏手の葡萄棚の下に涼やかな席を設け、武松と役人たちを招き入れた。武松は役人たちを上座に据え、張青と自らは下座に、孫二娘はその横に座った。手下たちが代わる代わる酒を注ぎ、湯気の立つ料理を運ぶ。張青は武松に幾度も杯を勧めた。
夜が更けると、張青はあの二口の戒刀を捧げ持ち、武松の前に差し出した。それは見事な鑌鉄(ダマスカス鋼)で打たれた名刀であり、一朝一夕の鍛錬では決して成し得ぬ、凄みのある輝きを放っていた。
二人は、江湖を渡り歩く英雄たちの、ある時は血で血を洗う死闘、またある時は火を放ち悪を討つといった逸話に花を咲かせた。武松はしみじみと語った。
「山東の『及時雨』こと宋公明殿は、義に篤く財を惜しまぬ稀代の豪傑だが、今は事情あって柴大官人の屋敷に身を寄せている」
その名を聞いた役人たちは、名だたる豪傑たちの威光にただ圧倒され、平伏するばかりであった。武松は彼らを安心させるように言った。
「お前たちが俺をここまで送り届けてくれた恩を、仇で返すような真似はせぬ。我ら江湖の好漢の言葉に怯えることはない。我々は決して善人を害しはしない。安心して飲むがいい。明日、孟州に着いた折には、しかと礼をいたそう」
その夜は張青の館に宿を借りた。翌朝、武松が出立の挨拶をすると、張青はさらに三日の間、彼を引き留めて手厚く歓待した。武松夫妻のその深い情愛に、武松は心から感謝した。張青は武松より五歳年上であったことから、二人は義兄弟の契りを結び、固い絆を誓い合った。
いよいよ別れの時、張青は送別の宴を催し、預かっていた行李や路銀を返しただけでなく、さらに銀十両余りを武松に、小銀二、三両を役人たちに贈った。武松はその銀十両をそのまま役人たちに差し出し、再び自ら枷をはめ、封印を貼り直させた。張青と孫二娘の熱い見送りを受けながら、武松は孟州へと向かって歩み出した。
【詩に曰く】
義を結ぶ情は 実の兄弟の如く深く
落草の誘いにも なお己の道を貫く
姦淫の徒を憤り殺したれど
むやみに法の条を犯す 野卑な男にはあらじ
正午を待たずして、一行は孟州の街へと辿り着いた。州知事の役所へ出向いて東平府からの公文書を提出すると、知事は武松を収監し、役人たちに受領書を渡して労をねぎらい帰らせた。武松はそのまま、地元の囚人収容所である「牢城営」へと送られた。
門の前には「安平寨」と大書された看板が掲げられていた。武松は一人の男に導かれ、薄暗い独房へと案内された。
そこには既に十数人の囚人たちがおり、新入りの武松を囲んで口々に言った。
「好漢よ、ここに来たばかりなら、まず行李の中に紹介状や賄賂の銀があるか確かめなさい。じきに『差撥(看守長)』がやってくる。それを差し出せば、初回の『殺威棒(見せしめの百叩き)』も手加減してくれるだろう。もし何も渡さねば、恐ろしい目に遭うぞ。同じ罪の身、他人事とは思えず教えてやっているのだ」
武松は泰然と答えた。
「ご親切に痛み入る。銀なら少しばかり持っている。もし奴が礼儀正しく求めてくるならくれてやってもよいが、力ずくで奪おうとするなら、一文たりとも渡す気はない」
囚人たちは慌てふためき、「好漢、滅多なことを言うものではない。古人も『役人より、役人を管理する者を恐れよ』と言っている。人の屋根の下では、頭を低くするのが身のためだ」と諭した。そう言い合っているところへ、「差撥様のお出ましだ!」という鋭い声が響き、囚人たちは蜘蛛の子を散らすように去っていった。
武松が行李を解いて静かに座っていると、一人の男が傲慢な足取りで入ってきた。
「新入りは誰だ?」
「俺だ」武松は短く答えた。
差撥は鼻で笑って言った。
「貴様、その面構えなら道理くらい分かりそうなものだが、この俺にわざわざ口を開かせる気か。景陽岡で虎を打った都頭だというから、さぞかし察しが良いかと思ったが、なんと世間知らずな。ここは俺の庭だ。猫一匹、俺の許しなく鳴くことさえできんのだぞ!」
武松は鋭い眼光で言い返した。
「賄賂を期待して吠えているようだが、あいにく貴様にやる金はない。代わりにこの拳を二つ、くれてやろうか。銀はあるが、それは俺が酒を飲むためのものだ。俺を陽穀県へ追い返せるとでもいうなら、やってみるがいい!」
差撥は激昂し、捨て台詞を残して立ち去った。囚人たちが駆け寄り、「なんてことを! 奴は所長に言いつけて、あんたを殺しにかかるぞ!」と身を案じたが、武松は平然としていた。
「構わん。文で来るなら文で返し、武で来るなら武で返すまでだ」
間もなく、数人の男たちが現れて武松を点呼した。武松は「ここにいる、逃げやせん。そう騒ぎ立てるな」と応じ、検閲所へと引き立てられた。そこには管営(所長)が威厳を正して座っていた。
枷を外された武松に、管営は命じた。
「太祖皇帝が定められた旧制によれば、新入りの配流兵には初めに『殺威棒』百回を食らわせることになっている。者共、こいつを縛れ」
武松は悠然と言った。
「騒ぐに及ばん。打つなら打て、縛る必要はない。一発でも避けたなら俺は男じゃない。それどころか、以前打たれた分は数に含めず、最初から打ち直してくれ。俺が一度でも悲鳴を上げたら、これまた男じゃない!」
周囲の者たちは「この狂った死に損ないめ、いつまで虚勢を張れるか見ものだ」と嘲笑った。
武松はさらに畳みかけた。
「打つなら毒々しく(手加減なしに)打て。加減された棒など、ちっとも気持ちよくねえ」
見守る者たちはどっと沸いた。軍兵が棒を振り上げたその時、管営の傍らに立つ一人の若者が目に留まった。身長は六尺を超え、二十四、五歳。色白の肌に整った三筋の髭を蓄え、額に白い手拭いを巻き、青い紗の衣を纏っている。
その若者が管営の耳元で何事か囁くと、管営は表情を変えて言った。
「新入りの武松よ。貴様、道中で病にかかったことはないか?」
武松は正直に答えた。
「病などしたことがない。酒も肉も飯も食える。いくらでも歩けるぞ」
管営は無理に言葉を繋いだ。
「いや、道中の疲れで病んでいるように見える。顔色が良くなってから打ち直すことにしよう。この殺威棒は一時預かりとする」
棒を持った軍兵が武松に耳打ちした。「早く病気だと言え。お上が助けてやると仰っているんだぞ」
だが武松は一蹴した。
「病気じゃないと言ったら、病気じゃない。さっさと打て! 借りを作ったままじゃ寝覚めが悪い。いつ返せるか分からんからな!」
また皆が笑った。管営も苦笑いしながら、「こいつは熱病でうなされているようだ。早く独房へ連れて行け」と命じた。
独房へ戻ると、囚人たちが驚いて聞いた。「管営に紹介状でも出したのか?」
武松は首を振った。「そんなものはない」
「ならば、その『預かり棒』は恐ろしいぞ。今夜中にあんたを始末するという合図だ」
「どうやって殺すというのだ?」
「夜中に旨い魚と飯を食わせ、満腹になったところを土牢へ連れて行き、縄で縛って藁の中に巻き、顔の穴をすべて塞いで壁に立てかける。半時もしないうちに事切れる。『盆弔』という恐ろしいやり方だ。あるいは『土布袋』、砂袋を体の上に乗せて圧死させる。どちらも証拠を残さず、あっという間だ」
話し終わらぬうちに、一人の男が重箱を運んできた。
「新入りの武都頭はどちらですか?」
「俺だ」
「管営様から点心のお届けです」
見れば、上等な酒、肉一皿、麺一皿、たっぷりのスープ。武松は冷ややかに考えた。
(これを食わせてから殺す気か……。まあいい、飢えて死ぬよりはマシだ)
武松は酒を飲み干し、肉も麺も平らげた。男は食器を片付けて静かに去った。
夜になると、また同じ男が豪華な晩飯を運んできた。
(これを食えば、いよいよ最期か……。よかろう、飽食の鬼となって死んでやるまでだ)
武松が食い終わると、今度は二人の男が風呂桶と湯を持ってきた。
「都頭、お湯をお使いください」
(身を清めてから殺すというわけか……。受けて立ってやる)
武松は湯を浴び、体を拭いて着替えた。すると今度は藤のござと蚊帳を吊り、枕を置いて「お休みなさい」と言って立ち去った。
武松は戸を閉め、考え込んだ。(一体どういうつもりだ? まあいい、夜が明ければ分かることだ)
そのまま眠りに落ちたが、一夜は何事もなく過ぎた。
翌朝、洗顔の湯が運ばれ、髪を結い直す理髪師までやってきた。さらに豪華な朝食が並ぶ。武松は出されたものをすべて平らげた。食後、男が言った。
「ここは安息には向きませぬ。あちらの部屋へお移りください。食事を運ぶのも楽になります」
(いよいよ本番か……)
武松がついて行くと、そこは独房とは比べものにならないほど清潔で、立派な家具の揃った部屋であった。武松は自問した。(土牢へ入れられると思いきや、なぜこれほどの優遇を受けるのだ?)
【詩に曰く】
鶏鳴狗盗の故事 笑うことなかれ
かつて函谷関を孟嘗君が出でしが如く
今日の罪人は上客として迎えられ
孟州にその名を轟かさんとす
三日が過ぎても、変わらず上等な酒と食事が運ばれてくる。ある日、武松が収容所内を散策すると、他の囚人たちが炎天下で水汲みや薪割りに追われていた。
「なぜ、こんな猛暑の下で働いているのだ?」
囚人たちは力なく笑って言った。
「好漢よ、我々はここで働けるだけ幸せなのだ。運の悪い者は大牢に繋がれ、重い鎖に縛られ、死にたくても死ねない地獄を味わうのだから」
武松は守護神の天王堂の周りを歩き、紙を焼く炉のそばに大きな石の台座(石墩)があるのを見つけた。竿を立てるための穴が開いた、見事な大石であった。武松はそこに腰掛けて思索に耽り、また部屋へ戻って酒と肉を食らった。
数日が過ぎても、管営側が武松を害する様子は一向にない。武松はついに辛抱たまらず、食事を運んできた男を捕まえて問いただした。
「お前は誰の使いだ? なぜ俺にこれほど尽くす?」
「以前申し上げた通り、管営様の家の者です」
「それは分かった。だが、誰の命で、何の目的があるのだ?」
「管営様の息子、小管営様です。まずは三ヶ月から半年、何も言わずに召し上がっていただくように、と」
「怪しいな! 俺を肥えさせてから殺す気か。この『悶葫芦(口の割らないひょうたん)』、俺には解けん。素性が分からねば、俺はもう酒も飯も口にせぬ。小管営とは何者だ? どこで俺と会ったことがある?」
「あの日、庁の上で白い手拭いを手に巻いて立っていた若者が小管営様です」
「あの青い紗の衣を着ていた者か」
「はい。老管営様の息子です」
「殺威棒を免じてくれたのも、あの方か?」
「その通りです」
「俺は清河の人間、あの方は孟州の人間だ。面識もないのに、なぜこれほど目をかけてくれる。必ず理由があるはずだ。名はなんという?」
「姓は施、名は恩と申します。拳法に優れ、人は皆『金眼彪』施恩と呼びます」
「そうか、好男子に違いない。すぐにここへ呼んでくれ。顔を見せれば酒も飲もうが、会わぬというなら、一滴たりとも飲まぬぞ」
男は恐れて断ろうとしたが、武松の気迫に押され、中へ伝えに走った。
ほどなくして、施恩が駆け込んできて武松の前に平伏した。武松も慌てて答礼した。
「私はただの罪人。面識もないのに、棒を免じていただいたばかりか、毎日の豪華なもてなし。これでは功なくして禄を受けるようで、寝覚めが悪い」
施恩は言った。
「兄貴の勇名は雷の如く轟いておりました。今日こうしてお会いできて光栄です。ろくなもてなしもできず、お恥ずかしくて顔を出せなかったのです」
「さっきの男の話では、三ヶ月だか半年だか経ってから話があるという。俺に何をさせたいのだ?」
「あの者が口を滑らせたのですね。……兄貴はまことの大丈夫。実は頼みたいことがありますが、兄貴の体力がまだ完全ではないと思い、まずは数ヶ月養生していただこうと考えていたのです」
武松は呵々と大笑いした。
「小管営よ、よく聞け。俺は去年、三ヶ月の間マラリアを患っていた時ですら、景陽岡で酒に酔いながら大虎を三拳二脚で叩き伏せたのだ。今さら養生など必要ない!」
「いや、しかし、まだお疲れでは……」
「俺に力がないと言うのか。あそこにある天王堂の前の石墩、あれはどれほどの重さだ?」
「四、五百斤(約240〜300kg)はございましょうか」
「よし、俺が持ち上げられるか試してみようじゃないか」
二人が天王堂の前へ行くと、囚人たちが興味津々に集まってきた。武松は石を少し揺らして見せて、わざとらしく大笑いした。
「おっと、俺も鈍ったな、動かせもしない」
施恩は「あれほどの石、無理をなさるな」と止めたが、武松は不敵に笑いながら「どいていろ、見てろよ」と、上着を脱いで腰に巻き付けた。
武松は石墩をがっしりと抱え上げると、軽々と持ち上げ、一度地面に叩きつけた。石は地中に一尺もめり込んだ。囚人たちは息を呑んだ。
武松はさらに右手でその石を地中から引き抜くと、空高く放り投げた。石は一丈も舞い上がったが、武松はそれを両手でしっかりと受け止め、何事もなかったかのように元の位置に据えた。
振り返った武松の顔は赤らむこともなく、鼓動も乱れず、息一つ切らしていなかった。施恩は驚愕し、駆け寄って武松に平伏した。
「兄貴は人間ではない、まさに天神だ!」
囚人たちも一斉に「神の如きお方だ!」と地に伏した。
【詩に曰く】
神力は人の心を驚かし 肝を冷やす
義勇の気が 体中に満ち満ちたればなり
天をも動かし地を揺るがす 英雄の手
石を抜くこと 鞠を弄ぶが如し
施恩は武松を私邸の広間へ招き入れ、礼を尽くした。武松は言った。
「小管営、もう隠し事はなしだ。俺に何をさせたい?」
「兄貴、まずは座ってください。父が参りましたら、すべてをお話ししましょう」
「頼み事をするのに、そんな女々しい態度はよせ。武松、首を刎ねられる仕事でも引き受けるぞ。だが、媚びへつらうような真似は御免だ」
施恩はついに、胸に秘めていた切実な願いを口にした。
これこそが、武松が再び殺人の腕を振るい、虎を打つ威風を再燃させる始まりであった。
その拳が上がれば雲雷が吼え、その足が飛べば風雨が驚く。
果たして、施恩が語るその頼み事とは。
【Vol.028:武松のムキムキ無双・獄中リゾート編】
1. 居酒屋「張青」での神対応
まず、人肉まん屋の張青が「都頭(武松)、監獄とかマジ無理ゲーだから、護送兵ぶっ殺して山賊になっちゃいなよ。コネあるし」とスカウト。でも武松は「この護送兵、道中マジでいい奴らだったから殺すのナシ。天罰くらうわ」とまさかのホワイト回答。毒を盛られてた兵士たちを解毒してあげて、みんなでどんちゃん騒ぎ。ついでに激レア武器(ダマスカス鋼の刀)も見せてもらって、張青と義兄弟の契りまで結ぶ爆速展開。
2. 刑務所ガチ勢、武松
孟州の刑務所(安平寨)に到着。古参の囚人たちが「あ、新入り? とりあえず看守に賄賂払っときな。じゃないと『殺威棒』っていう新人教育(ガチの100叩き)で死ぬよ」と親切にアドバイス。
でも武松は「金はあるけど、カツアゲには1円も払わねえ。文句あるなら拳で語るわ」と煽りスキル全開。看守長がキレて怒鳴り込んできても、「ああん? 打ち返してやるよ」と完全に逆ギレ状態。
3. 「病気(仮)」という名の強制キャンセル
いよいよお仕置きタイム。武松は「縛らなくていいよ、全力で打て。ついでに前の分もまとめておかわりしていいぞ」とドM……じゃなくて超強気。
ところが、そこに所長の息子・施恩が登場。親父(所長)に耳打ちして「こいつ病気っぽいから今日の叩きはナシで!」と強引に延期。武松は「病気じゃねえよ! 貸しにするの気持ち悪いから今すぐ打てよ!」とキレるけど、無理やりVIPルームへ連行。
4. 刑務所が5つ星ホテルに?
ここから謎の接待がスタート。個室完備、朝昼晩豪華フルコース、酒飲み放題、さらにはお風呂セットと理髪師までついてくる。武松は「え、これ『最後の晩餐』? 太らせてから殺すパターンのやつ?」と疑うけど、とりあえず全部完食。
5. 300kgの石で「いいね」稼ぎ
数日後、武松が「いい加減、誰の差し金か吐け!」と付き人を問い詰めると、例の施恩(金眼彪)が登場。「実は兄貴の力を借りたい件があるんですけど、まずは養生してほしくて……」とモジモジ。
武松は「養生? 舐めんな」と外へ。そこにあった約300kgの石の台座を、ひょいっと持ち上げ、地面に突き刺し、さらにそれを右手一本で引き抜いて3メートルくらい上にポーンと放り投げてキャッチ。
周りの囚人たちは「マジ神……」「天神降臨……」とドン引き。武松は息一つ切らさず「よし、じゃあ頼み事聞こうか。誰を殴ればいい?」
武松、護送兵との絆を大事にする意外な優しさ。
賄賂を拒否して煽り散らかすロックな姿勢。
「俺を打て」というパワー系逆接待。
300kgの岩をまりつきみたいに扱うフィジカルギフテッド。
さあ、この後、施恩が頼んだ「ヤバい仕事」とは!? 次回、武松が暴れまくる「快活林」編へ続く!
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主要人物図鑑(登場順)
039:金眼彪・施恩★梁山泊一〇八将★
彼を一言でいうなら、「実家が太すぎる二世オーナー、でも地元の半グレにボコられて、伝説の格ゲーマー(武松)を課金(接待)で雇った男」です。
1. 圧倒的な「親の七光り」属性
施恩のパパは、武松が入った刑務所(安平寨)の所長(管営)。つまり、彼は「刑務所長のお坊ちゃま」。自分もそのコネを使って、刑務所内の事務方エリート(小管営)として働いてます。見た目は白鉢巻に青い服を着こなす、シュッとした爆イケ若手格闘家風。
2. 地元の「顔」から一転、詰んでる経営者
実は彼、刑務所の仕事だけじゃなくて、副業で「快活林」っていう超巨大な歓楽街をプロデュースしてました。今でいう歌舞伎町のビルオーナー兼プロデューサーみたいな感じ。
「あそこを通る店は俺に挨拶(ショバ代)しなきゃダメだよ」って感じで、毎月数億円レベル(?)の不労所得を得ていた勝ち組。
3. 筋肉ゴリラ「蒋門神」にボコられる
ところが、最近になって蒋門神っていう、パワー系でバックに政治家がついてるヤバい半グレが襲来。「今日からここ、俺の場所ね」って言われて、施恩はタイマンでボコボコに返り討ちにあいます。
ショバは奪われ、体はボロボロ、メンタルも崩壊。まさに「詰んだ」状態で、リベンジできる最強の助っ人を探してました。
4. 武松への「神対応」と「推し活」
そんな時に流れてきたニュース。「あの虎を素手でシバいたレジェンド・武松がうちの刑務所に護送されてくるってよ!」
施恩は「これだ!!」と確信。武松が来た瞬間、速攻でVIP待遇を指示。
新人研修(100叩き)を無理やりスキップ
独房からスイートルームへアップグレード
毎日豪華なデリバリー(酒と肉)を差し入れ
風呂と散髪のサブスクまで完備
まさに、武松を「最強の推し」として神接待して、自分の代わりに蒋門神をボコってもらおうという、計算高いけど必死なムーブをかまします。
5. その後の人生(ネタバレ含む)
武松に蒋門神をぶっ飛ばしてもらい、無事に快活林を取り戻すことに成功! その後は武松とマジで仲良くなり、紆余曲折あって梁山泊(山賊連合)に合流。
108人の好漢の中では85位。立ち位置としては「歩兵軍の将校」だけど、正直、武松や魯智深みたいなガチ勢と比べると戦闘力は「まあまあ」レベル。最後の方の戦い(方臘の乱)で、船から落ちて溺死するという、あだ名の強そうな響きに反してちょっと切ない最期を迎えます。
【総評】
施恩は、「自分の限界を知っていて、最強のカード(武松)を切るタイミングを逃さない、世渡り上手なビジネスマン」。
虎を素手で殺すような規格外の男を、「メシの恩」と「義理」で完璧に味方につけた彼の営業力は、水滸伝の中でもトップクラスと言えるでしょう!




