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私説 水滸伝一〇八編の鎮魂曲  作者: 光闇居士


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25/49

〇弐四:王婆、賄いを貪って風情を説き、鄆哥、忿りに不えず茶肆に騒ぐ

挿絵(By みてみん)

「雪夜雷鳴」

雪は静かに舞い落ちて、

窓の外は白く閉ざす。

部屋に満ちるは凍てつく空気、

されど内には嵐の予兆。

武松、巨岩の如く立つ、

墨の筆致、鋼の肉体。

正義の炎、眼に宿し、

虎をも砕く、気迫漲る。

潘金蓮、細き線で描かれ、

雪中の毒花、婀娜あだな姿。

差し出す杯、酒は零れ、

墨の染み、運命の汚れ。

火鉢の赤、頬の紅潮と重なり、

理性を蝕む、危うい情熱。

酒を叩きつけ、衝撃は走る、

掠れた墨、砕ける静寂。

陽谷の街は墨に沈み、

降りしきる雪、刃の如し。

狭き部屋、されど天地を呑む、

個の葛藤、神話へと昇華。

静と動、純潔と欲望、

雪の白と、墨の黒。

武松の咆哮、耳に轟き、

悲劇の幕開け、今、ここに。


【しおの】

 さて、武松がふと背後を振り返れば、そこには一人の男が立ち尽くしていました。武松はたまらずその場に膝をつき、地に伏して拝礼しました。その男こそ、武松の嫡親の兄、武大に他なりませんでした。

「兄上、一年以上もお会いできませなんだが、なぜこのような場所におられるのですか」

「二郎、ずいぶん長いこと音沙汰がなかったではないか。お前のことを恨みもしたが、それ以上に恋しくも思っていたのだぞ」

「なぜ恨み、なぜ想ってくださったのですか」

「恨んでいたのはな、お前が清河県にいた頃、酒に酔っては誰彼構わず喧嘩をふっかけ、そのたびに官憲に捕まって、私まで役所へ呼び出されたからだ。ひと月として心が休まる暇もなかった。想っていたのはな、近頃私は妻を娶ったのだが、清河の連中は私を侮って嫌がらせを繰り返す。お前さえいてくれれば、誰がそんな真似をできようか。あそこには居られず、この陽谷県へ移り住んで借家暮らしをしているのだ。だからこそ、お前が恋しかったのだよ」

 読者諸君、ここでお聞きいただきたい。この武大と武松は、同じ母から生まれた兄弟でありながら、その姿はあまりに違っておりました。弟の武松が身長八尺(約百九十センチ)、堂々たる風采で千斤の怪力を持ち、猛虎をも打ち殺す英雄であるのに対し、兄の武大は身長五尺(約百二十センチ)に満たず、容姿は醜く、その佇まいはどこか滑稽でさえありました。清河県の不届き者たちは、その短躯を嘲笑い、三寸丁の穀の木の皮、すなわち三寸釘のようなちびで、肌はカサカサの男という不名誉なあだ名を付けていたのです。

 さて、清河県のある富豪の家に、潘金蓮という小間使いがおりました。二十歳を少し過ぎたばかりで、なかなかの器量良しでした。その家の主人が彼女に手を出そうとしましたが、彼女はそれを毅然と拒み、女主人にありのままを言いつけました。主人はこれを深く根に持ち、仕返しとして持参金まで付けて、一銭の結納金も取らずに、あろうことか武大へ彼女を押し付けたのです。

 ところが、武大がこの女を娶ってからというもの、清河県のならず者たちが家へ押しかけては、卑劣な嫌がらせをするようになりました。金蓮は武大が背も低く風采も上がらず、色事にも疎いことをひどく疎ましく思っていました。彼女は万事に器用ではありましたが、何より浮気心が盛んな質だったのです。

(詩に曰く)

金蓮が容貌、語るに足る。笑えば春の山のごとき眉が動く。

もし風流な若者に遭えば、等閑に愛を交わさん。

 嫁いでからの潘金蓮に対し、武大はどこまでも臆病で、本分を守るだけの男でした。ならず者たちが門前で「良い羊肉が犬の口に落ちたものだ」と囃し立てるため、ついに清河県に居られなくなり、この陽谷県の紫石街へと越してきたのです。武大は毎日、炊餅(蒸しパン)を天秤棒で担いで売り歩いておりました。

 この日、役所の前で商売をしていた武大は、偶然にも武松を見つけたのでした。

「兄弟、先日街で評判になっていた景陽岡の虎殺しの壮士、名字が武だと聞いてもしやと思っていたが、やはりお前だったか。今日はもう商売はやめて、一緒に家へ帰ろう」

 二人は連れ立って、紫石街にある武大の家へと向かいました。

 路地を曲がった茶房の隣、武大が「お前さん、開けておくれ」と声をかけると、葦の簾がしなやかに上がり、一人の女が姿を現しました。

「おや、今日は随分とお早いお帰りですね」

「叔父御が来られたぞ。さあ、挨拶をしなさい」

 武松が部屋に入り、兄嫁である金蓮と対面しました。金蓮は丁寧に「叔父御、万福を」と挨拶し、武松は地に膝をついて深く拝礼しました。金蓮は驚いて彼を抱き起こしました。

「叔父御、私を殺すおつもりですか。そんなに丁寧にしないでくださいな。さあ、楼上へお上がりください」

 武松がその女を改めて見れば、それはまさに絶世の美女でありました。

(詩に曰く)

眉は初春の柳の葉の如く、雨の恨みや雲の愁いを湛える。

顔は三月の桃の花の如く、風情と月意を秘める。

柳腰のしなやかさは、眠れる燕や鶯を誘い、

小さな唇は、狂った蜂や乱れた蝶を惹きつける。

花も語る美貌、玉も香る窈窕たる姿。

 三人は二階へ上がりました。金蓮は武大に酒食の用意をさせ、自分は武松の相手を務めました。金蓮は武松の堂々たる体躯をじっと見つめ、心の中で嘆息しました。

(同じ兄弟で、これほどまで違うものかしら。武松のような男に嫁げたなら一生の誉れ。私の夫は三寸丁の化け物のようで、なんと運の悪いことか。……そうだ、彼に家へ住んでもらうようにすれば、素晴らしい縁になるのではないかしら)

 金蓮は艶やかな笑みを浮かべて武松に話しかけました。

「叔父御、おいくつになられますか」

「数えで二十五になります」

「まあ、私より三つ年上ですね。これまでどちらにいらしたの?」

「滄州に一年余り。兄上がここにいるとは露ほども知りませんでした」

「色々あったのですよ。お兄さんがお人好しすぎて、方々からいじめられて。叔父御のような立派な方がいてくだされば、誰もそんなことは言わせませんわ」

「兄は本分を守る人ですが、私は至らぬ乱暴者ですから」

「そんな。男に骨がなければ家は立ちませんわ」

 武大が酒と料理を買って戻ると、隣の王婆に手伝わせて宴の用意を整えました。金蓮は武松の隣に陣取り、甲斐甲斐しく料理を取り分けました。彼女の目は終始、武松の体に注がれていました。純朴な武松は、あくまで実の兄嫁として接していましたが、金蓮の熱い視線に居心地を悪くし、ただ下を向いて酒を飲んでいました。武松は十数杯を飲み干すと立ち上がり、役所へ戻ると告げました。金蓮は「必ずこの家へ引っ越してきてください。身内が別に住むなんて、他人に笑われますわ」と熱心に勧め、武大も「私に大きな顔をさせてくれ」と頼みました。武松はついに承諾しました。

 武松は荷物をまとめ、部下の兵に担がせて武大の家へと移りました。金蓮は宝でも拾ったかのように喜び、二階の一室を丁寧に整えました。それからというもの、金蓮は武松のために湯を沸かし、毎日三食を心を込めて用意しました。武松もその礼として銀を渡し、近所に挨拶の茶を配らせるなどして、兄弟の絆を深めていったのです。

 ひと月余りが過ぎた十一月。冷たい風が吹き荒れ、あたりには大雪が降り積もりました。

(詩に曰く)

柳絮の如き雪、風に舞いて泥を濡らす。

世界を白く惑わせど、巫山の雲雨には及ばず。

 ある日のこと、武大が売り歩きに出た後、金蓮は隣の王婆に酒肉を買ってこさせ、武松の部屋に炭火を用意して彼を待ちました。

(今日こそは、あの人の心を試してやろう……)

 雪の中を帰ってきた武松を、金蓮は満面の笑顔で迎え、上着を脱ぐのを手伝おうとしました。武松はそれを丁寧に断り、火のそばに腰を下ろしました。金蓮は戸締りを厳重にし、酒を温めて武松の部屋へ運びました。

「お兄さんを待ってから飲みましょう」

 武松がそう言うのを、金蓮は「あの人はいつ帰るか分かりません。二人で三杯だけ飲みましょう」と強引に勧めました。

 酒が数杯入ると、金蓮の内に秘めた情欲は抑えられなくなりました。彼女は胸元をわざと覗かせ、髪を少し乱して微笑みました。

「叔父御、街で歌い女を囲っているという噂を聞きましたが、本当?」

「嫂さん、でたらめを言ってはいけない。私はそんな男ではありません」

「信じられませんわ。本当の心の中はどうかしら?」

 三杯、四杯と重なるうち、金蓮は立ち上がり、酒を注ぎ足しに来て武松の肩をそっと掴みました。

「叔父御、そんな薄着で寒くはないの?」

 武松は不快に思いましたが、黙っていました。金蓮はさらに火箸を取り上げ、「火の起こし方も知らないのね。私がずっと熱いままにしてあげましょう」と誘いかけるような言葉を吐き、ついには自分が一口飲んだ酒を武松に差し出したのです。

「貴方に心があるなら、私の飲み残しを飲んでちょうだい」

 武松は激怒し、その酒を奪うなり地にぶちまけました。金蓮を突き飛ばさんばかりに押し退け、目を見開いて叫びました。

「嫂さん! 恥を知りなさい! この武二は天地に恥じぬ男だ。家畜のような不道徳な真似は断じて許さん。もし変な噂が立てば、私は嫂さんだと思って容赦はしない。この拳が黙ってはいないぞ! 二度とこのような真似はするな!」

 金蓮は顔を真っ赤に染め、這うように杯を片付けて厨へ逃げ込みました。

(詩に曰く)

酒を媒に色胆張るも、綱常を壊すを顧みず。

雲雨を求むるつもりが、雷霆の怒りを招く。

 武松は怒り心頭に発していましたが、そこへ武大が帰ってきました。金蓮は先手を打って、目を真っ赤にして泣きつき、武大に「武二の野郎が、私をからかったのです!」と嘘をつきました。武大は驚きましたが、「私の弟がそんなことをするはずがない。近所に聞こえたら笑いものだ」と言って妻をなだめるばかりでした。

 その夜、武松は兵を連れてきて、荷物をまとめて出ていってしまいました。武大が必死に引き止めましたが、武松は「兄上、何も聞かないでください。それが貴方の面目のためです」とだけ言い残し、役所の宿舎へ戻ってしまいました。金蓮は「いい気味だわ。親戚面して噛みつくなんて!」と罵りましたが、武大はただ悲しみに暮れるばかりでした。

 それから十数日が過ぎた頃。陽谷県の知県が、二年以上かけて貯めた金銀を東京の親戚へ送ろうと考えました。道中の賊を恐れ、武勇に優れた武松を護衛に選んだのです。武松は知県への恩を返すため、二ヶ月ほどの旅に出ることを決意しました。

 出発を前に、武松は酒と料理を持って武大の家を訪れました。金蓮はまだ彼を諦めきれず、精一杯着飾って出迎えました。武松は兄に酒を注ぎ、重い口を開きました。

「兄上、私は明日から東京へ赴きます。二ヶ月は戻りませぬ。兄上は人が良すぎるゆえ、私がいなくなってから誰かに欺かれないか心配でなりません。明日からは炊餅を作る量を半分にし、遅く家を出て早く帰り、帰ったらすぐに簾を下ろして門を閉めてしまいなさい。誰かと酒を飲んではいけません。もし理不尽なことがあっても争わず、私の帰りを待つのです。兄上、これを守ってくれるなら、この酒を飲んでください」

 武大は涙を流して、その約束を交わしました。

 武松は続いて、二杯目の酒を金蓮に注ぎました。

「嫂さんは利口な人だ。多くは言わないが、兄は実直な人、嫂さんが家をしっかり守ってくれれば心配はありませぬ。『垣根がしっかりしていれば犬は入らぬ』と言います。そう願いたいものです」

 これを聞いた金蓮は、耳まで真っ赤にして武大を罵り始めました。

「私は不届きな犬を通すような女じゃありませんわ! よくもそんな失礼なことが言えたものね!」

 金蓮は泣き喚きながら、階下へ駆け下りていきました。

(詩に曰く)

良言、耳に逆らえば仇となる。笑い顔は忽ちに涙と流る。

これぞ淫禍の水にして、悲しみにも羞じらいにも非ず。

 翌朝、武松は五人の一行と共に、遠き東京へと旅立っていきました。

 武松がいなくなって数日、金蓮は武大を罵り続けました。武大はただ黙って耐え、武松の教え通りに早く帰り、門を閉めて過ごしていました。しかし、ある穏やかな暖かい日の昼下がりのことです。

 金蓮が門前で簾を上げるため、叉竿を手にした時、偶然にも一人の男が通りかかりました。

 その時、手が滑り、叉竿が落ちたのです。それは不運にも、その男の頭巾にまともに当たりました。

 男は怒って振り返りましたが、金蓮の妖艶な姿を一目見るなり、怒りはたちまち霧散してニヤケ顔になりました。金蓮は手を合わせて丁寧に謝りました。

「失礼いたしました。わざとではございませんの」

 男は頭巾を整えながら、深くお辞儀をしました。

「いやいや、構いませんとも。お気になさらず」

 この様子を、隣の茶房の窓から王婆がじっと見ていました。

「おやおや、大旦那、ちょうど良いところに当たりましたねえ」

 男は金蓮を何度も何度も振り返りながら、八の字を描くようなだらしない足取りで立ち去っていきました。

(詩に曰く)

垣根が脆ければ犬が穿ち、簾を上げれば向かい合う。

王婆が引くのは釣り糸か、叉竿こそがその針なり。

 この男は一体誰か。陽谷県の破落戸の金持ちで、薬種問屋を営む西門慶という男でした。武芸を嗜み、役所とも通じる権力者でありました。

 西門慶はすぐに王婆の茶房に入りました。

「婆さん、隣にいるあの女は誰だい?」

 王婆はからかうように答えました。

「閻魔大王の妹か、五道将軍の娘かね。……冗談だよ。あれは街で炊餅を売っている武大の女房さ」

「あんな羊肉のような美人が、武大のような犬の口に落ちたというのか!」

 西門慶は悔しがりました。彼は王婆に何度も茶を注文し、金蓮との仲立ちを執拗に頼み込んだのです。

 王婆は、酸いも甘いも噛み分けた百戦錬磨の媒婆でありました。

(王婆の人物を讃えて曰く)

口を開けば名弁家をも凌ぎ、一言で独り身を夫婦に変える。

阿羅漢を比丘尼に抱かせ、天王に鬼女を抱かせる。

織女に恋をさせ、嫦娥に婿を求めさせる。

 西門慶は王婆に金を掴ませ、「何とかしてくれ」と懇願しました。王婆は不敵に笑い、潘・驢・鄧・小・閒の五条件を説きました。

潘:潘安のような美貌。

驢:驢馬のような逞しき持ち物。

鄧:鄧通のような莫大な財産。

小:針で刺されても耐えるような忍耐と気遣い。

閒:たっぷりとした暇な時間。

 西門慶はすべてに自信があると言い切り、王婆はついに十段階の計略を授けました。

 王婆が「自分の死装束を縫いたいから手伝ってほしい」と金蓮を茶房に招き寄せ、そこへ偶然を装って西門慶が現れる。酒を出し、頃合いを見て王婆が席を外し、二人を部屋に閉じ込める……。

 計略は完璧に進みました。

 三日目、王婆の部屋で金蓮が縫い物をしていると、着飾った西門慶がやってきました。王婆は彼を褒めちぎり、金蓮と引き合わせました。酒が振舞われ、二人の視線が熱く絡み合います。

 王婆が「酒が切れた」と外へ買いに出、その隙に扉に外から鍵をかけました。

 部屋に残された二人。西門慶はわざと箸を落とし、それを拾うふりをして金蓮の小さな足をそっと握りました。金蓮は艶然と笑って言いました。

「大旦那、私を口説くつもり?」

 西門慶は膝をつき、「貴女のためなら死んでもいい」と情熱的に愛を囁きました。

 二人は王婆のベッドで衣を脱ぎ捨て、むせ返るような情事に耽りました。

挿絵(By みてみん)

(情事の描写)

交頸の鴛鴦、水を戯れ、並頭の鸞鳳、花を穿つ。

朱の唇を密着させ、粉の面を寄せ合う。

山海の誓い、千般の美しき戯れ。

汗は玉と流れ、吐息は桜桃の如く。

正当な夫婦の交わりよりも、盗み合う蜜の味はかくも甘美なり。

 ことが終わった頃、王婆がわざとらしく部屋に踏み込んできました。

「とんでもないことをしてくれたね! 武大に言いつけてやるよ!」

 二人は慌てて許しを請いました。王婆はニヤリと笑い、「なら、毎日欠かさずここへ来て密会しなさい。そうすれば黙っていてやるよ」と条件を出しました。これこそが王婆の真の狙いだったのです。

 それからというもの、金蓮は毎日武大の目を盗んでは王婆の家へ通い、西門慶と溺れるような日々を過ごしました。

 だが、「良いことは門を出ず、悪しきことは千里を伝わる」と言います。半月もしないうちに、近所の誰もがこの密通を知るところとなりましたが、当の武大だけが何も知らずにいました。

 さて、ここに鄆哥という十五、六歳の少年がおりました。年老いた父を養うため、果物を売って歩いていました。彼は西門慶から小遣いを貰うことが多かったのですが、ある日、梨を売るために彼を探していました。

 近所の者が、からかって教えました。

「西門慶なら今、紫石街の王婆の茶房で、武大の女房と楽しんでいるぜ」

 鄆哥は茶房へ乗り込みましたが、王婆が行く手を阻みました。

「西門大旦那を出しておくれ。小遣いを貰いに行くんだ」

「そんな人はここにはいないよ、さっさと帰りな!」

 王婆は力任せに鄆哥を叩き出し、彼が売っていた梨も地面にぶちまけました。

 鄆哥は泣きながら梨を拾い、怒りに震えて叫びました。

「この糞婆! 見てろよ、今に武大にすべてをぶちまけてやるからな!」

 この少年の怒りが、狐と兎の巣を暴き、砂の上の鴛鴦を驚かせることとなります。

 果たして鄆哥は武大に何を語るのでしょうか。

【Vol.024:ガチムチ英雄の兄が「ジャガイモ」だった件と、不倫のプロが動く回】


1. 格差兄弟、奇跡の再会

タイガーキラー(景陽岡の虎を素手でボコった男)こと武松ぶしょうが街を歩いてたら、生き別れの兄・武大ぶだいにバッタリ。

この兄弟、遺伝子のガチャがバグりすぎ。弟の武松は190cmの超絶イケメンマッチョなのに、兄の武大は120cmの「歩くジャガイモ」みたいなビジュアル。地元じゃ「三寸釘のチビ公」ってバカにされてるけど、性格は超マジメ。


2. 絶世の美女、パン・ジンリェンの不満

で、この兄貴、なぜか潘金蓮パン・ジンリェンっていう「界隈最強」の美女と結婚してるわけ。実はこれ、金蓮が金持ちのセクハラを断ったせいで、腹いせに「一番冴えない男に押し付けられた」っていう胸クソな過去のせい。

金蓮は「なんで私がこんなジャガイモと……」って毎日メンヘラ化。そこにガチムチの義弟・武松が現れたから、さあ大変。金蓮の「推し変」どころか「ガチ恋」が始まっちゃう。


3. 「お義姉さん、マジで勘弁して」

金蓮は雪の日に「二人で飲もうよ」って武松を誘惑。「私が一口飲んだお酒、飲んでくれる?」って、今の時代なら即アウトなアプローチを仕掛けるけど、武松はガチの硬派。「ふざけんな! 兄貴を裏切るなら拳が黙ってねえぞ!」ってブチギレて家を出ちゃう。武松、マジでギガチャド。


4. 運命の「サカン(棒)」ドロップ

武松が仕事で出張に行った後、事件発生。

金蓮が窓のすだれを上げようとしたら、支え棒をうっかり下に落としちゃう。それが運悪く(?)、下を通ってた陽谷県のセレブ・西門慶さいもんけいの頭にクリーンヒット!

「痛えなコノヤロー」って見上げたら、そこには絶世の美女。西門慶、一瞬で沼落ち。「あの子、誰!? 詳しく教えて!」


5. 悪徳仲介人・王婆おうばのチート戦略

隣の茶店のババア・王婆がここで暗躍。西門慶に「落としたいなら『5つの条件パン・ルォ・ドン・シャオ・ジェン』が必要だよ」って説法。

イケメン

驢(馬並みの「モノ」)

鄧(札束攻勢)

小(究極の神対応・我慢強さ)

閒(暇な時間)

西門慶は「全部持ってるわ」って即答。そこから王婆の綿密な不倫プロデュースが始まって、結局二人は王婆の店で合体。不倫カップル爆誕。


6. クソガキ鄆哥うんか、ブチギレ

この不倫、街のやつらはみんな知ってるけど、旦那の武大だけが知らない「お花畑」状態。

そこに、梨を売ってる苦学生(?)の鄆哥が、小遣い稼ぎに西門慶を訪ねて王婆の店へ。でも王婆に塩対応されてボコボコに追い出され、梨もバラ撒かれちゃう。

「このクソババア、見てろよ! 全部武大にチクってやるからな!」


【今回のまとめ】

武松:正義感の塊。誘惑に負けない鋼のメンタル。

武大:優しすぎる社畜。

潘金蓮:不満爆発、不倫に全振り。

西門慶:金と顔で全てを解決するプレイボーイ。

王婆:最強のフィクサー(悪役)。

鄆哥:逆襲の梨売り少年。

ここから、ジャガイモ兄貴の悲劇が加速していくよ! 次回もお楽しみに!


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主要人物図鑑(登場順)


036:武松の人生を詰ませに来た「事故物件」な5人衆


この回は、まさに「英雄・武松が『まともな人生』から『アウトロー道』へ転落させられるためのドッキリ装置」みたいな回なんだ。


1. 武大ウー・ダー:【守りたすぎる遺伝子ガチャ失敗兄貴】

属性: 激甘お人好し、インフルエンサー弟を持つ地味メン

分析: 武松にとっての「唯一の弱点(守護対象)」。現代で言うなら「超絶イケメンでスポーツ万能な弟」を持つ「低身長・コミュ障・低収入な兄」。

詰ませポイント: 兄貴が「無力すぎる」からこそ、武松は「俺が守らなきゃ」って正義感とコンプレックスを爆発させちゃうんだよね。兄貴がもう少し強ければ、武松は復讐に走る必要もなかった。「守るべき対象が一番弱い」っていう、武松の人生を詰ませるための最強の重石。


2. 潘金蓮パン・ジンリェン:【界隈最強のメンヘラ悪役令嬢】

属性: 顔面偏差値カンスト、承認欲求モンスター、不倫沼女子

分析: 自分のポテンシャル(美貌)に対して、環境(夫がジャガイモ)が追いついてない「スペックミスマッチ女子」。武松にガチ恋してソッコーでフラれるあたり、プライドの高さも異常。

詰ませポイント: 彼女がただの「不倫女」ならまだしも、「武松の義姉」っていうのが最大の罠。武松の倫理観を一番キツい角度で殴りに来る存在。彼女の暴走が、武松から「平穏な公務員ライフ」を奪うトリガーになるんだ。


3. 西門慶シーモン・チン:【金と権力でNTRをキめるハイスペック・クズ】

属性: 地元のドン、薬局チェーン経営、イケメン、武闘派、女好き

分析: 現代なら「親が地元の名士で、自分も社長で、格闘技もかじってる港区系男子」。「パン・ルォ・ドン・シャオ・ジェン」っていう「モテの5条件」を全部コンプリートしてる、まさに「選ばれしクズ」。

詰ませポイント: こいつがタチ悪いのは、金だけじゃなくて「権力(役所)」とも繋がってること。武松が「法律」で解決しようとしても、こいつは「金」でそれを無効化してくる。武松を「法治国家の住人」から「暴力でしか解決できない修羅」へと強制アップデートさせるための天敵ラスボス


4. 王婆ワン・ポー:【不倫プロデュースの天才・銭ゲバP】

属性: 悪徳コンサルタント、最強のフィクサー、マニピュレーター

分析: 茶屋を経営しながら、裏では男女の仲介をする「闇のプロデューサー」。西門慶という「クライアント」の要望を、金蓮という「素材」を使って完璧にマネタイズする。

詰ませポイント: このババアがいなければ、金蓮と西門慶の不倫はただの「一過性の事故」で終わってたはず。それを「継続的な不倫ルート」に設計・施工したのがこのババア。武松の周囲にじわじわと「毒」を撒き散らして、逃げ場をなくすマキャベリストだよ。


5. 鄆哥ユン・ガ:【復讐劇をキックオフさせる毒舌リーク少年】

属性: 情報屋(非公式)、ストリートチルドレン、煽りスキルMAX

分析: 普段は梨を売ってるパシリ的な存在だけど、王婆にバカにされてブチギレる「スイッチが入ると怖いタイプ」。現代なら「ネット掲示板で執念深く特定班やってる少年」。

詰ませポイント: 彼はある意味「正義」側なんだけど、動機が「王婆への個人的な恨み」っていうのがまたリアル。彼が武大に「お前の嫁、不倫してるぞ」って暴露リークしたことで、武松不在の家が崩壊し始める。武松が戻ってきた時には、すでに「詰んでる」状態を作り出した影のMVP。


【まとめ:武松の転落シミュレーション】

武大という「守りたくなる重石」を武松に背負わせる。

潘金蓮という「爆弾」をその横に置く。

西門慶という「最強の火種」を近づける。

王婆という「プロ」が火を煽る。

鄆哥という「通報者」が導火線に火をつける。

この5人が完璧に連携した結果、出張から帰ってきた武松には「死んだ兄貴」と「逃げ場のない復讐」しか残されていなかった……というワケ。

まさに「正義感の強い真面目な格闘家(武松)が、いかにして国家反逆レベルのアウトローになるか」という壮大なドッキリ。このメンツ、キャラ濃すぎて武松の人生、マジで「詰み」確定なんだよね。

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