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私説 水滸伝一〇八編の鎮魂曲  作者: 光闇居士


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18/41

〇壱七:花和尚、単(ひとり)にして二龍山を打ち、青面獣、双(ふたり)して宝珠寺を奪う

挿絵(By みてみん)

ケンタ(20代後半、エネルギッシュな映像作家):「いやー、タケル、この絵、やんな。」

っぱすげぇよな!」

タケル(20代前半、冷静沈着な分析家):「うん、ケンタさん。これ、今回使うメインビジュアルとして完璧っすね。特にこの水墨画の表現、ヤバい。」

ケンタ:「ヤバいよ、「なわかる!ほら、見てみろよ、この魯智深の迫力!坊。で主なのにこの筋肉!背中の蓮の刺青もちゃんと滲んだ表現になって、対する楊志のこの鋭さ。顔の青痣もインパクトあるけど、この朴刀の『一閃』感がすごい。大刀じゃなくて朴刀ってて、なんか皮膚の上で本当に生きてるみたいじゃん?」

タケル:「分かります。あの禅杖の重厚感も、墨の塊で描かれてるから、振り下ろす瞬間の『ゴォン!』って音が聞こえてくるみたいっすもんね。」

ケンタ:「そうそう!で、対する楊志!ところが、またリアルな感じあの『青面獣』の青痣がさ、ただがしていいの青じゃなくて、深い藍墨で沈んでるのが、彼の内に秘めた執念とかプライドを感じさせるんだよな。」

タケル:「朴んだよな。あの、ちょっと長めの刀の表現もバッチリっすね柄と。あの『一閃の、しなやかな刃の感じが、ちゃんとこの雷』っていう指示が、本当に光の残像絵から伝わってくる。」


【二人の若い映像作家は絵感に訴えを見上げ、熱かけてくるっていうか。肌意に満ちた表情で殺気を感じるで頷き合うし、風の音も聞こえてくるようだ。】

挿絵(By みてみん)

ケンタ: 「マジで、この絵一枚で、何分でも語れそうっすね。これをどうやって映像に落とし込むか…腕の見せ所っすわ。」

タケル: 「ああ。この『静と動』、『剛と鋭』のコントラストを、いかに映像で表現するか。この絵が持つ『運命の交差』ってテーマを、最大限に引き出すのが俺たちの仕事だ。」

ケンタ: 「くぅ~、燃えてきた!今回の作品、絶対バズらせようぜ!」

タケル: 「もちのろん。この絵に負けないくらいの、最高の映像を作りましょう!」



【しおの】 ふっふ、ふっふふ、わたしの指とキーボードの間で踊るがいい (笑

 さて、物語を進めよう。楊志は黄泥岡にて「生辰綱」を奪われ、もはや梁中書へ合わせる顔もないと絶望し、岡の上から身を投じて死のうとした。しかし、ふと思いとどまって足を踏ん張り、考え直した。

「俺は両親から五体満足な体を授かり、幼い頃から十八般の武芸を身につけてきた。それが、このような不覚で終わってよいものか。今日ここで死ぬくらいなら、いっそ後日捕らえられた時にでも、その始末をつければよかろう」

 振り返って十四人の従者たちを見れば、彼らはただ楊志を見つめるばかりで、起き上がる気力すら失っているようであった。楊志は彼らを指差して罵った。

「貴様らが俺の忠告を聞かなかったからこそ、このような事態を招いたのだ。俺まで巻き添えにしおって!」

 楊志は木の根元に置かれていた朴刀を手に取り、腰刀を帯びると、あたりを見回したが、他に持ち出すべき物は何もない。一つ大きなため息をつくと、そのまま岡を下り、どこへともなく去っていった。

 残された十四人の者たちは、二更(午後九時過ぎ)になってようやく痺れが抜け、一人また一人と這い起きると、口々に不平をこぼし始めた。老都管は嘆いて言った。

「お前たちが楊提轄の言葉を軽んじたばかりに、わしまでこのような無残な目に遭ってしまったわ!」

 皆は口を揃えて言った。

「旦那様、起きてしまったことは悔やんでも仕方がありません。皆で相談しましょう」

「何か良い案でもあるというのか」

「悪いのは我々です。しかし、古人の言葉にも『火が我が身に迫れば払いのけ、蜂が懐に入れば衣を脱ぐ』とあります。もし楊提轄がここにいれば言い逃れはできませんが、幸い、奴は行方をくらましました。我々が戻って梁中書様にお目にかかった際、すべてを彼に擦りつければよいのです。『楊志は道中、我々を罵り虐待し、身動きが取れぬようにしました。そして賊と共謀し、我々に痺れ薬を盛って縛り上げ、金品を全て奪って逃走したのです』と報告するのです」

「なるほど、それが良かろう。夜が明けたら、まずは地元の役所へ届け出よう。二人を虞候として残して捜査に協力させ、残りの者は夜通し北京へ戻って梁中書様にご報告するのだ。公文書を作成し、太師様へもご報告申し上げれば、済州府へ命令が下り、賊を捕らえさせることになろう」

 翌朝、老都管と一行は済州府の管轄役所へ訴え出たが、その話はしばらく置いておこう。

 一方、楊志は朴刀を提げ、重苦しい気分のまま黄泥岡を離れた。南へ向かって半日歩き、さらに夜半まで歩き続けて林の中で野宿をした。

「路銀も尽き、頼れる知人もいない。これからどうしたものか……」

 空が白み始めると、涼しいうちにと再び歩き出した。二十里(約十一キロメートル)ほど進んだところで、一編の詩がある。

 面の青痣、毒気を含み豪傑を気取れど、

 むざむざと金珠十一担を送り出す。

 今日なにゆえ道を急ぐや、

 知らずや、誰が鞭打たれる身となるかを。

 歩き疲れた楊志の前に、一軒の酒屋が現れた。

「酒でも飲まねば、やっていられん」

 店に入ると、桑の木の机と椅子に腰を下ろし、傍らに朴刀を立てかけた。竈のそばから一人の婦人が声をかけた。

「お客さん、お食事ですか?」

「まず酒を二角持ってこい。それから飯を炊いてくれ。肉があれば少し炒めてくれ。代金は後でまとめて払う」

 婦人は若い男を呼び、先に酒を注がせ、飯を炊き肉を炒めて楊志に出した。楊志はそれらを一気に平らげると、立ち上がって朴刀を掴み、そのまま店を出ようとした。

「お客さん、お代を頂いておりませんよ!」

「戻ってきた時に払う。それまでツケにしておけ」

 そう言い捨てると、楊志は足早に歩き出した。

 酒を注いだ若い男が追いかけてきて楊志を掴んだが、楊志の一撃によってあっけなく殴り倒された。婦人が「人殺し!」と叫び声を上げる。楊志は構わず進んだが、背後から誰かが追いかけてくる気配がした。

「そこのお前、どこへ行く!」

 振り返れば、上半身裸の男が棒を引きずりながら、飛ぶような速さで走ってくる。楊志は心中で毒づいた。

「運がない時は、とことん重なるものだ。俺に喧嘩を売るとはな」

 楊志は足を止めた。見れば、先ほどの若い男も鋤を手にして追いかけてくる。さらに二、三人の農夫も棒を手に殺到してきた。

「最初の一人を片付ければ、残りは追って来まい」

 楊志は朴刀を構えて男に向き合った。男もまた、棒を振るって迎え撃つ。二人は二十から三十合ほど打ち合ったが、男は楊志の敵ではなく、次第に防戦一方となり、逃げ回るばかりであった。

 後続の若い男や農夫たちが加勢しようとしたその時、男は戦いの輪からパッと飛び退いて叫んだ。

「待て! 手出しは無用だ。おい、その朴刀使いの大男、名を名乗れ」

 楊志は胸を叩いて豪快に言った。

「俺は行くも座するも名を隠さぬ。青面獣せいめんじゅう楊志とは俺のことだ!」

「もしや、東京殿司の楊制使ではございませぬか?」

「なぜ俺が楊制使だと知っている」

 男は手にしていた棒を投げ捨て、その場に平伏した。

「私には泰山を見分ける目がございませんでした」

 楊志は男を助け起こして尋ねた。

「貴殿は何者だ?」

「私はもともと開封府の者で、八十万禁軍都教頭・林冲の弟子、姓は曹、名はせいと申します。先祖代々の屠殺業で、家畜を捌くのが得意なため、筋を切り骨を削ぐ腕前から、人は私を操刀鬼そうとうきと呼びます。ある富豪から五千貫を預かって商売に来ましたが、失敗して故郷へ帰れなくなり、この農家に婿入りしたのです。先ほどの婦人は私の妻、鋤を持っていたのは妻の弟です。手合わせをして、まさに林師匠と同じ腕前であると感じ、到底敵わぬと悟りました」

「なんと、林教頭の弟子であったか。お前の師匠は高太尉に陥れられ、今は梁山泊に身を寄せておられるぞ」

「噂には聞いておりましたが、やはり真実でしたか。まずは我が家でお休みください」

 楊志は曹正と共に店に戻った。曹正は楊志を奥座敷へ通し、妻と義弟に挨拶をさせると、改めて酒食を整えてもてなした。宴の最中、曹正が尋ねた。

「制使、どのような事情でこちらへ?」

 楊志は花石綱の失敗から、今回の生辰綱強奪に至るまでの経緯を包み隠さず語った。曹正は深く頷いて言った。

「ならば、しばらく拙宅に留まって、今後の策をお練りください」

「ありがたい申し出だが、役人の追手が恐ろしい。長居はできぬのだ」

「では、どちらへ向かわれるおつもりで?」

「梁山泊へ行き、師の林教頭を頼ろうかとも思う。以前、あそこを通りかかった時に彼と手合わせをし、首領の王倫にも引き留められたのだが、当時は断ってしまった。今さら顔に金印(流刑の刺青)を増やしてのこのこ出向いては、志がないと笑われそうで、迷っているのだ」

「制使のお考えは正解かと存じます。噂によれば、王倫という男は器が小さく、他人を受け入れぬ性格だとか。師匠も苦労されているようです。それよりも、ここから程近い青州の境に二龍山という山がございます。そこには宝珠寺という寺があり、山が寺を包み込むような地形で、道は一本しかありません。現在の住職は還俗して髪を伸ばし、僧侶たちを従えて四、五百人の手下を集め、強盗を働いております。頭目は金眼虎きんがんこ鄧龍とうりゅうと申します。落草されるおつもりなら、あそこへ行って身を寄せるのが良いでしょう」

「そのような場所があるなら、いっそ奪い取って自分の城にしてくれるわ」

 楊志はその晩、曹正の家に泊まり、路銀と朴刀を借りて別れを告げると、二龍山へと向かった。一日歩き続け、夕暮れ時に高く険しい山が見えてきた。

「今日は林で休み、明日になってから山を登ろう」

 林に入ると、驚くべきことに、一人の太った僧侶が素っ裸になり、背中の見事な刺青をさらけ出して松の根元で涼んでいた。僧侶は楊志の姿を見るや、禪杖をひっ掴んで跳ね起き、大喝した。

「おい、そこのクソ野郎! どこから来やがった!」

 ここに詩がある。

 平らかに珠宝の担を落とし空しくなり、

 却って宝珠寺に借りを問う。

 寺裏の強人に投ぜんと要し、

 先ず引出す 寺外の和尚。

 楊志はその言葉の訛りを聞いて、「こいつも関西の人間か。同郷だな」と思ったが、僧侶はいきなり禪杖を振り上げて打ちかかってきた。楊志も「無礼な坊主だ、鬱憤晴らしにしてやる!」と朴刀を構えて応戦した。

 二人は林の中で激しく打ち合った。その戦いを讃えて曰く、

 二匹の龍が宝を競い、二頭の虎が獲物を争う。

 禪杖は虎の尾や龍の筋のごとく唸り、朴刀は龍の髭や虎の爪のごとく舞う。

 天は崩れ地は裂け、黒雲が渦巻き、雷鳴と風の音が轟く。

 殺気の中に金光が閃き、肝を冷やすごとき激戦。

 目は光を放ち、野獣のごとく駆け巡り、山神さえも毛を逆立てて震え上がる。

 五十合ほど打ち合ったが、一向に勝負はつかない。僧侶は隙を見て飛び退くと、「休戦だ!」と叫んだ。楊志も手を止めて、内心で感心した。

(どこの坊主か知らぬが、大した腕前だ。俺と互角に渡り合うとは)

「おい、青い顔の漢、お前は誰だ?」

「俺は東京制使の楊志だ」

「東京でならず者の牛二を殺した、あの刀売りの楊志か?」

「この顔の金印が見えんのか」

 僧侶は豪快に笑った。「こんなところで会うとはな」

「師兄、失礼ながら貴殿はどなたか。なぜ俺のことを知っている」

「俺は延安府老種経略相公の軍官であった魯提轄だ。三発の拳で『鎮関西』を殴り殺し、五台山で出家した。背中の刺青から、人は俺を花和尚かおしょう魯智深ろちしんと呼ぶ」

 楊志は声を上げて笑った。「同郷であったか。江湖でその名はかねがね聞いている。大相国寺におられたはずだが、なぜこのような場所に?」

「話せば長くなる。大相国寺の菜園番をしていた時、豹子頭ひょうしとう林冲と出会った。彼が高太尉に陥れられたのを助け、滄州まで護送したのだ。そのせいで高俅に睨まれ、寺を追われて放浪の身となった。孟州の十字坡で危うく殺されかけたが、そこの菜園子さいえんし張青と母夜叉ぼやしゃ孫二娘の夫婦と義兄弟になった。彼らにここを勧められ、鄧龍を頼って来たのだが、あの野郎、俺を山に入れようとしないのだ。喧嘩になったが、俺に勝てないと分かると、山下の三つの関所を閉ざして引きこもってしまった。いくら罵っても出てこない。腹が立ってここで燻っていたところに、貴殿が来たというわけだ」

 楊志は大いに喜び、二人は林の中で一夜を語り明かした。楊志も自らの不運な身の上を語り、曹正の勧めでここへ来たことを話した。

「関所が閉じているなら、ここにいても進展はない。曹正のところへ戻って策を練ろう」

 二人は再び曹正の店へ戻った。曹正は驚きつつも二人を歓迎して酒宴を開き、二龍山攻略の相談を始めた。

「力攻めでは無理です。知恵を使いましょう」と曹正。

「どうすればよいのだ」と魯智深。

「策がございます。制使には農夫に変装してもらい、私が師匠(魯智深)を縛り上げて山へ連れて行きます。『この和尚が酔っ払って暴れたので、捕まえて献上しに来ました』と言えば、奴らは必ず門を開けるでしょう。鄧龍の前へ出た瞬間に縄を解き、用意した武器を渡します。そこでお二人が暴れれば、一巻の終わりです」

 二人は「名案だ!」と手を叩いて喜んだ。

 詩に曰く、

 乳虎 龍と称するも亦た枉然、

 二龍山は二龍の蟠るを許す。

 人 忠義に逢えば情 偏えに洽く、

 事 顛危に到れば策 愈全し。

 翌朝、準備を整えた一行は二龍山へ向かった。楊志は笠を深く被って農夫に扮し、魯智深は縛り上げられ、曹正たちが護送するふりをした。

 関所の見張り番に「酔って暴れた和尚を捕らえたので、大王様に献上しに来た」と告げると、報告を受けた鄧龍は大喜びし、「奴の心臓を取り出して酒の肴にしてやる!」と門を開けさせた。

 険しい三つの関所を通り抜け、一行は宝珠寺の本堂へと至った。そこには虎の皮を敷いた椅子に鄧龍がふんぞり返っている。

「ハゲ驢馬め、俺の腹を蹴りおって。今に見ていろ」

 その時、魯智深が大喝した。

「逃がすか、クソ野郎!」

 曹正たちが縄を一斉に解くと、魯智深は禪杖を受け取り、楊志も朴刀を構え、曹正も棒を振るって襲いかかった。鄧龍は慌てて逃げようとしたが、魯智深の禪杖がその脳天を直撃し、椅子ごと粉砕された。楊志もまた、向かってくる手下数人を瞬く間に突き殺した。

「降伏せぬ者は生かしておかぬぞ!」

 曹正の叫びに、残る五、六百の手下たちは恐れおののいて降伏した。鄧龍の死体は焼かれ、魯智深と楊志は新たな山の主となり、勝利の酒宴を開いた。曹正は彼らに別れを告げ、晴れやかな顔で帰っていった。

 詩に曰く、

 古刹 雄奇にして翠微に隠る、

 翻って賊寨と為りて慈悲を借る。

 天生の神力 花和尚、

 棒を弄し刀を磨いて住持とる。

 さて、話を戻せば、逃げ帰った老都管たちは、ようやく北京の梁中書の屋敷へ辿り着いた。彼らは平伏して、あらかじめ考えておいた嘘の報告をした。

「楊志が賊と結託して我々を痺れ薬で眠らせ、生辰綱を奪って逃走いたしました」

 梁中書はこれを聞いて激怒し、「あの恩知らずめ、見つけ次第八つ裂きにしてくれる!」と罵った。すぐに済州府へ公文書を送り、東京の蔡太師へも事の次第を報告する手紙を出した。

 東京の蔡太師もこの報告を受け、怒り心頭に発した。

「去年に続き、今年も我が家への贈り物が奪われるとは、断じて許せん!」

 蔡太師は腹心の府幹を済州府へ派遣し、「十日以内に賊を一人残らず捕らえよ」と厳命を下した。

 済州府の府尹(知事)は、昨年の事件も解決せぬまま頭を抱えていたところへ、太師府の使いが到着した。

「太師様の命である。十日以内に楊志と七人の共犯者を捕らえて東京へ護送せよ。もし失敗すれば、相公あなたは沙門島への流刑となるぞ」

 府尹は驚愕し、即座に三都緝捕使臣(捜査官の長)である何濤かとうを呼びつけた。

「生辰綱の強奪犯を捕らえよ。期限は十日だ。失敗すればお前も流刑を免れぬぞ!」

 府尹は刺青師を呼び寄せ、何濤の顔に「迭配……州」という刺青の下書きを彫らせた。「……州」の部分は空欄のままであり、もし失敗すれば行先を書き込み、即刻流刑にするという冷酷な脅しであった。

 詩に曰く、

 顔皮に稿を打つは太だ乖張、

 自ら平安を要めて人に殃を受けさす。

 賤面 煩いて計を作すこと無かるべし、

 本心も亦 合に細かに商量すべし。

 何濤は部下を集めて相談したが、誰も有力な手掛かりを持っていなかった。

「深山の強盗がたまたま襲っただけでしょう。そう簡単に捕まるはずがありません」

 部下たちは皆、そう言って匙を投げた。何濤は絶望の淵に立たされ、重い足取りで家に帰り、馬を繋いで悶々と過ごしていた。

 詩に曰く、

 双眉 重ねて上す 三鍠の鎖、

 満腹 填め平らぐ 万斛の愁い。

 網裏の漏魚 何くにか覓めん、

 瓮中の捉鼈 誰にか向かって求めん。

 妻が心配して尋ねた。何濤は事情を包み隠さず話し、顔の下書きの刺青を見せて嘆き悲しんだ。そこへ、何濤の弟である何清かせいがやって来た。何濤は「博打打ちの弟など、何の役にも立たん」と無視したが、妻は弟を台所へ招いて酒食を振る舞い、夫の置かれた窮状を話して聞かせた。

「兄貴は普段、金回りがいい時は俺を無視するくせに、困った時だけ泣き言を言うのか」と何清は鼻で笑った。

「生辰綱を奪ったのは、七人の棗商人と一人の酒売りだそうよ」

 妻がそう言うと、何清は大声を上げて笑い出した。

「なんだ、そんなことか。兄貴も間抜けだな。俺なら、そいつらをすぐに捕まえられるぜ」

 妻は驚愕し、急いで夫にそのことを伝えた。何濤は慌てて弟を呼び戻し、必死に懇願した。

「兄弟、もし知っているなら頼む、教えてくれ! 俺の命がかかっているんだ!」

 何清はなおも渋ったが、何濤が銀十両を目の前に積むと、ようやく口を開いた。

「兄貴、その賊たちは、もう俺の『袋の中』に入っているようなもんだ」

 何濤は目を見開いた。「どういうことだ?」

 何清は指を二本立てて、語り始めた。

 これぞ、鄆城県に義侠の英雄を導き出し、梁山泊に擎天けいてんの好漢を集める端緒となる。

 果たして、何清が語るその正体とは。

【Vol.017 :人生詰んだエリート楊志、無職からの「山乗っ取り」起業!助っ人は最強の刺青坊主www】


1. 楊志、メンタル崩壊からの「お前らのせい」

生辰綱(お宝)を奪われて「人生終わったわ……死のう」と崖っぷちに立つ楊志。でも、「いや、俺才能あるし、ここで死ぬの勿体なくね?」と秒で立ち直ります。

とりあえず、寝てる部下たちに「お前らが言うこと聞かないからだぞ!」と特大の八つ当たりをして、一人でバックレ。

一方、残された部下たちも「アイツが裏切ったことにすれば良くね?」とソッコーで楊志に罪をなすりつける口裏合わせ。この職場、信頼関係ゼロです。


2. 食い逃げ失敗からの「林冲の弟子」との出会い

路銀が尽きて、プライドを捨てて酒屋で食い逃げをカマす楊志。そこに店のオーナーで「操刀鬼」の曹正が登場。

ガチ喧嘩になりますが、曹正は楊志の強さに「え、師匠(林冲)並みに強くね?」と気付き、意気投合。曹正から「二龍山っていう、ちょうどいい物件(砦)がありますよ」と転職先を紹介されます。


3. 森のエンカウント:VS 花和尚・魯智深

二龍山へ向かう途中、林の中で「上半身裸で刺青だらけのデカい坊主」が昼寝してました。これが伝説の魯智深。

挨拶代わりにいきなりPVPガチバトル開始! 50合やり合っても決着がつかない神展開。

話してみれば、二人とも「高俅(最高権力者)のパワハラ被害者の会」だと判明。同郷だし「一緒にあの山、奪っちゃおうぜ」と即席チーム結成です。


4. 潜入ドッキリで「二龍山」を乗っ取り

二龍山の現ボス・鄧龍が引きこもってて門を開けないので、曹正が作戦を立案。

「暴れる坊主を捕まえてきたんで、差し上げます!」という、前回の呉用顔負けの嘘の献上ドッキリを敢行。

見事に潜入成功した瞬間、魯智深が「だまされたなクソ野郎!」と大暴れ。楊志も加勢して、一瞬で山を制圧。ここが彼らの新アジトになります。


5. 警察サイド、顔に「下書き」される

場面変わって、お宝を盗まれた上層部はブチギレ。担当捜査官の何濤は、「10日以内に捕まえないと流刑な」と脅され、顔に「流刑地の名前(予定)」を下書きされるという、屈辱すぎるプレッシャーをかけられます。

絶望する何濤の前に、ギャンブル好きの弟・何清が現れて一言。

「あ、その犯人たちの正体、俺知ってるよ。もう袋のネズミだわ」

ついに、ドリームチーム(晁蓋たち)の身元がバレそう……!というところで次回へ。


【今回のポイント】

楊志: 食い逃げしたけど、結果的に最強の相棒(魯智深)をゲット。運が良いのか悪いのか分からん。

魯智深: 相変わらずの暴力装置。楊志と互角というだけで、楊志の株も爆上がり。

警察のパワハラ: 顔に刺青の下書きをする知事、現代なら一発アウトのブラック官庁。

何清: 影のキーマン。次回、ついに犯人グループに捜査の手が伸びる!


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主要人物図鑑(登場順)


030:操刀鬼そうとうき・曹正★梁山泊一〇八将★

起業に失敗したけど、実は伝説のインターン生だった「有能すぎる肉屋」

まずは、楊志を助ける曹正そうせい。彼は「水滸伝」界における「最強の中途採用枠」です。

経歴が「エモい」:

実はこの男、あの伝説の軍人・林冲の直弟子。今の感覚で言うなら、「超大手ホワイト企業のカリスマ役員のカバン持ちをしていたエリート」です。でも、親の金を預かって起業(商売)したものの、大失敗して詰んでしまいます。

メンタルが「大人」:

普通、林冲の弟子ならプライド高そうなもんですが、彼は「しゃーない、今は嫁の実家の肉屋を手伝うわ」と切り替えが早い。

楊志が食い逃げしようとした時も、ただの喧嘩で終わらせず、「こいつ、俺の師匠と同じくらいのオーラ(武芸)出してるわ……」と一瞬で相手のスペックを見抜く目を持っています。

企画力が「コンサル級」:

「山を奪いたい」というパワー系コンビ(魯智深と楊志)に対し、「潜入捜査ドッキリ作戦」を立案。脳筋(失礼!)な二人に足りない「知略」を補う、まさに有能なプロジェクトマネージャー。

彼がいなければ、楊志たちは一生山の関所の前で叫んでるだけでした。曹正、マジで仕事できる男です。


031:何清 兄へのマウントが止まらない! 街の「情報強者」なニート

そして、物語の後半で急に「犯人知ってるよ」と出てくる何清かせい。彼は「2ちゃんねる(5ちゃんねる)の特定班」みたいな男です。

立ち位置が「リアル」:

兄の何濤かとうは警察の幹部で、いわゆる「勝ち組」。でも弟の何清は、定職にもつかずギャンブル三昧の「街のプー太郎」。普段、兄からはゴミのように扱われています。

「特定」のプロセスがエグい:

兄が「犯人が見つからない、詰んだ、顔に下書きされた……」とガチ泣きしている時に、何清はニヤニヤしながら登場します。

「兄貴、普段俺のことバカにしてるけどさ。俺、あの日の『ナツメ商人』たちがどこに泊まって、誰とつるんでたか、全部メモってあるんだよね」。

観察眼がニートの域を超えてます。 普段街でブラブラしているからこそ、怪しい集団の違和感に気づけた。これぞ、現場のフィールドワークの勝利です。

「金と承認欲求」のパッション:

タダでは教えません。「まずは銀十両(約数十万円相当)な」としっかり請求。さらに、死ぬほど困っているエリートの兄に対して、特大のマウントを取る瞬間が彼にとっての最高にハイな時間。

「俺の情報、バカにできないだろ?」という逆転の快感。何清は、意外に水滸伝の中でも屈指の「人間臭い」ダークホースなんです。


この二人の凄み:

この回、何が面白いかって、「一線から退いた元エリート(曹正)」と「社会の底辺で見放されていた弟(何清)」という、普段は脇役に甘んじている二人が、歴史を動かす超重要な情報を握って、物語のハンドルをグイッと切るところです!

曹正: 「実力はあるけど場所がない」英雄たちに、最高の職場(二龍山)をプレゼンして提供。

何清: 「絶対バレない」と思ってた天才軍師・呉用のミスを、ストリートの知恵で暴き出す。

「水滸伝」って、こういう「一見モブキャラに見えるヤツらが、実は一番ヤバい」っていうパッションが詰まってるから最高にアツいんです!

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