〇壱弐:梁山泊(りょうざんぱく)に林沖(りんちゅう)が身を寄せ、汴京(べんけい)の街角で楊志(ようし)が刀を売る
林沖が目を凝らして見つめる先。そこには、一人の男が立っていました。
男は、北方の范陽仕立てのフェルトの笠を被り、その天辺では鮮やかな紅色の房が風に揺れています。真っ白な緞子の装束に身を包み、腰には太い組み紐の帯をきりりと締め、足元は青白い脚絆で固めて鹿革の靴を履いていました。腰には護身の刀、手には長い柄の朴刀を携えています。
背丈は一八〇センチを優に超える堂々たる体躯。その顔には、一目でそれと分かる大きな「青いあざ」があり、頬には薄く赤い髭が蓄えられていました。
男は背中に笠を跳ね上げると、胸元を大きくはだけて怒鳴り声を上げました。
「この泥棒め! 俺の大事な荷と財宝をどこへやった!」
林沖も黙ってはいません。流罪の身となった鬱屈した想いが胸に渦巻いていた折、言葉を返す代わりに虎のような髭を逆立て、朴刀を構えてその男に躍りかかりました。
降り続いていた雪が止み、雲間から光が漏れる小川のほとり。薄氷が張り詰めた岸辺で、二つの殺気が激しくぶつかり合います。打ち合うこと三十合、互いに一歩も引かず、勝負の行方は全く見えません。
さらに十数合が過ぎ、まさに命のやり取りが極まろうとしたその時、山の上から制止の声が響き渡りました。
「お二人の豪傑、そこまでになされ!」
林沖がはっとして飛び下がると、山の上から「白衣秀士」と称される王倫が、杜遷、宋萬、そして大勢の手下を引き連れて下りてきました。王倫は川を渡って歩み寄り、感嘆の声を漏らしました。
「お二人とも、なんと見事な太刀筋か。神業と言うほかありません。こちらにおわすのは、我が義兄弟『豹子頭』の林沖殿です。して、その青いお顔の御仁、貴殿はいかなるお方か。ぜひお名前を伺いたい」
男は静かに答えました。
「拙者は三代続く将軍の家系、名高き五侯・楊令公の孫にあたります。姓は楊、名は志。今は不運が重なり、関西の地で落ちぶれております。若き日に武官登用試験に合格し、殿司制使官を務めておりました。数年前、皇帝が万歳山を築かれる際、私を含め十人の制使が、庭園を飾る巨石や珍木を運ぶ『花石綱』の任務を命じられました。ところが運悪く、黄河で嵐に見舞われ、船を沈めて石を失ってしまったのです。処罰を恐れて逃亡の日々を送っていましたが、このたび恩赦が出たと聞き、路銀を工面して都の枢密院へ働きかけ、復職を願おうとここを通りかかりました。雇った農民に荷を担がせていたところを、貴殿らに奪われたのです。どうか、返していただけないでしょうか」
王倫は膝を打ちました。「もしや、巷で『青面獣』と謳われるお方では」
「いかにも、拙者が楊志です」
「やはり楊制使であったか! ならばぜひ我が山塞へお越しください。酒を酌み交わし、その後に荷をお返ししましょう」
しかし楊志は、警戒を解きません。「拙者の名を知っているというなら、荷を返してくれればそれで十分。酒よりも、その温情がありがたい」
それでも王倫は引き下がりません。「数年前、私が都へ試験を受けに行った折から、貴殿の武勇は聞き及んでおりました。今日こうして巡り会えたのも何かの縁。決して他意はございません。しばし語り合おうではありませんか」
楊志は致し方なく、王倫たちと共に川を渡り、梁山泊の砦へと足を踏み入れました。
広間である聚義庁では、左手に王倫、杜遷、宋萬、朱貴の四人が並び、右手には楊志と林沖が向かい合って座りました。王倫は羊を屠らせ、贅を尽くした宴で楊志を歓迎しました。
酒が進むにつれ、王倫の心に黒い考えがよぎります。
(林沖のような腕利きを一人だけ留めておけば、いずれ自分たちの立場が危うくなる。いっそこの楊志も仲間に引き入れ、林沖を牽制する盾にしよう)
王倫は杯を手に、楊志に切り出しました。
「楊制使。林沖殿もかつては都で禁軍の教頭を務めた身ですが、高太尉に陥れられてここへ参りました。貴殿もまた罪を背負う身。恩赦があったとはいえ、あの高俅が権勢を振るう今、まともな復職など叶いますまい。いっそこの山に留まり、仲間とともに富を分かち合い、豪傑として自由に生きる気はありませんか」
楊志は深々と頭を下げ、断りました。
「温かいお誘い、身に沁みます。しかし拙者には都に親戚があり、不義理を重ねるわけには参りません。どうか荷を返していただきたい。たとえ手ぶらになろうとも、私は都へ向かいます」
王倫は力なく笑いました。「無理強いはしません。今夜はゆっくりと休み、明日、旅立ちなさい」
楊志はその言葉に安堵しました。
翌朝、見送りの宴を終えると、楊志は荷を担がせて山を下りていきました。王倫は彼を送り出した後、ようやく林沖を第四位、朱貴を第五位の頭領として迎え入れることを正式に決めました。
さて、都・開封に辿り着いた楊志は、宿に落ち着くと、わずかな蓄えを手に奔走しました。枢密院や殿司府の役人たちに賄賂を贈り、復職への道を探りました。しかし、手元の金が底をつく頃、ようやく対面できた殿帥・高太尉(高俅)は、書類を一瞥するなり激昂しました。
「十人のうち九人は職務を全うしたというのに、貴様だけが船を沈めた。その上、自首もせず逃げ回っていたとは何事だ! 恩赦があろうとなかろうと、そのような無能な男を再び用いるなど、言語道断である!」
高俅は書類を投げ捨て、楊志を冷酷に追い出しました。
楊志は重い足取りで宿に戻り、嘆きました。
「王倫の言葉も一理あったのかもしれない。だが、先祖代々の清らかな名を汚すわけにはいかなかった。武勇を尽くして国に仕え、家族を養い、祖先を敬いたいと願ってきたのに……高太尉、なんと無慈悲な男か」
数日が過ぎ、旅費も食事代も尽き果てました。まさに、
「花石綱の運搬に端を発した悲劇、奸臣たちが忠義の士を追い詰める。権力者がここまで腐り果てていると知っていれば、山に籠もり、義のために生きる方がどれほど潔かったか」
追い詰められた楊志は、決断しました。
「背に腹は代えられない。先祖から受け継いだこの宝刀を売り、路銀を工面して新天地へ向かおう」
彼は宝刀を手にし、売り物の目印である「草標」を添えて街へ出ました。馬行街で数時間立ち尽くしましたが、誰も声をかけてきません。場所を賑やかな天漢州橋へ移すと、突然、街の人々が慌てふためき、逃げ出していくのが見えました。
「虎が来たぞ!」という叫び声が響きます。
「都のど真ん中に虎が出るはずがなかろう」
不審に思う楊志の前に、一人の大男がふらふらと現れました。酒の臭いを撒き散らし、その容姿は目を背けたくなるほど醜悪です。
「顔つきは化け物のようで、かろうじて人の形を保っているに過ぎない。枯れ木のように歪んだ体つきから悪臭が漂い、肌には鮫のようなぶつぶつが浮き出ている。頭には巻貝のような縮れ毛、岩のような胸板、そして額には深い三本の皺」
この男こそ、都の鼻つまみ者、無頼漢の「没毛大虫(むもうだいちゅう:毛のない虎)」こと牛二でした。役人さえも関わりを避ける、最悪のならず者です。
牛二は楊志の前に立ちふさがると、強引に刀をひったくりました。
「おい、この刀はいくらだ」
「先祖伝来の宝刀だ。三千貫(三千両)で譲ろう」
牛二は鼻で笑いました。「ふざけるな! 三十文のなまくら刀でも肉ぐらいは切れるぞ。何が宝刀だ、ああん?」
楊志は冷静に諭しました。
「市井の安物とは訳が違う。この刀には三つの特筆すべき力がある。第一に、硬い銅や鉄を斬っても、刃こぼれ一つしない。第二に、髪の毛を刃に向かって吹けば、触れるだけで真っ二つになる。そして第三に、人を斬っても、その刃に血が一滴も残らないのだ」
牛二はニヤリと笑いました。「なら見せてみろ。まずは銅銭だ。斬れたら三千貫払ってやる」
二十枚の銅銭が橋の欄干に積まれました。見物人が遠巻きに見守る中、楊志は袖をまくり上げ、一閃。銅銭は鮮やかに二つに断ち切られました。周囲からどよめきが起こります。
面白くない牛二は、さらに要求します。「次は髪の毛だ!」
楊志が刀を掲げ、牛二が引き抜いた髪の毛を刃に吹きかけると、毛はふわりと二つに分かれて地面に落ちました。再び上がる喝采。
「最後はどうだ? 人を斬っても血がつかないだと? なら、今ここで俺を斬ってみろよ!」
「滅相もない、都で人を殺せるわけがなかろう。信じられないなら犬でも連れてくるがいい」
「人を斬ると言ったのは貴様だ! この嘘つきめ!」牛二は楊志の胸ぐらを掴み、激しく揺さぶります。
「買わないなら失せろ。しつこいぞ」
「殺せと言っているんだ! ほら、やってみろよ、この腰抜けが!」
牛二は楊志を突き飛ばし、拳を振り上げました。長年の不運と屈辱、そして目の前の不条理。楊志の中で、ついに何かが弾けました。
身をかわした楊志は、流れるような動作で刀を牛二の喉元へ突き立て、続けざまにその胸を二度、深く貫きました。鮮血が石畳を染め、牛二は声もなく絶命しました。
楊志は周囲に言い放ちました。
「私はこの害毒を仕留めた。皆に迷惑はかけない。自ら役所へ行くゆえ、証人として付いてきてほしい!」
牛二の横暴に苦しんでいた人々は、楊志に感謝し、揃って開封府へと同行しました。
知事である府尹の前で、楊志はすべてをありのままに語りました。近隣の人々も、牛二がいかに悪逆非道であったか、そして楊志がいかに追い詰められて手を下したかを懸命に弁護しました。
府尹は楊志の気概を感じ取り、不当な拷問を禁じ、形ばかりの枷をはめて彼を牢へ送りました。
「冷たい牢獄の奥底、獄卒たちの野太い声が響く。看守が縄を弄び、役人が重々しい錠前を並べる。威嚇の棒の音が響くたび、罪人たちは身を震わせる。現世の地獄とは、まさにこの場所のことである」
しかし、看守たちも楊志が街の嫌われ者を退治した英雄だと知ると、彼を敬い、不当な要求をすることなく親切に接しました。街の人々も金を出し合って差し入れを届け、減刑を願って役所へ働きかけました。その甲斐あって、罪状は「過失致死」とされ、六十日後、二十回の棒叩きの刑と顔への刺青を条件に、北京大名府への流刑が決まりました。宝刀は、没収されました。
流送の役人、張龍と趙虎に連れられ、楊志は都を後にします。人々は道中の無事を祈り、彼に路銀を握らせました。
「楊殿、あなたは街を救った。どうか、お達者で」
楊志は涙を堪え、北京へと向かいました。
北京大名府を治めるのは、時の権力者・蔡京の娘婿である梁中書。
二月九日、引き立てられてきた楊志の顔を見て、梁中書は驚愕しました。かつて都でその腕前を認めていた男だったからです。楊志からこれまでの経緯を聞いた梁中書は、その不運に同情しつつも、その腕を惜しみ、すぐに枷を外して自身の官邸で雇い入れることにしました。
梁中書の期待に応え、真面目に働く楊志。梁中書は彼を副牌軍という役職に引き上げようと考えましたが、古参の兵たちの反発を懸念しました。そこで、演武大会を開き、実力で彼らを納得させることにしたのです。
翌日、春の柔らかな日差しが降り注ぐ中、教場には大軍勢が集結しました。
梁中書が豪華な椅子に座り、傍らには名将・李成と聞達が控えています。
黄金の旗が翻り、勇壮な鼓笛が響き渡る中、五百の精鋭が整列し、白旗の合図で馬軍が動き出しました。
梁中書はまず、現職の周謹を呼び寄せました。周謹は馬上で見事な槍さばきを披露し、大きな歓声を浴びます。
「次は、楊志。前へ出よ」
楊志が教場に現れ、一礼しました。
「楊志よ、周謹と武芸を競え。勝てばその職を貴殿に与えよう」
楊志は鎧を纏い、弓矢を背負い、長槍を手に馬に跨りました。
周謹は嘲笑います。「流刑人の分際で、この俺に挑もうとは身の程知らずめ!」
しかし、この戦いこそが、後に語り継がれる英雄・楊志の華々しい復活の序曲となるのです。
万馬の響きの中でその名を轟かせ、千軍を相手に手柄を立てる物語。
果たして、楊志と周謹の激突はどのような結末を迎えるのでしょうか。
【Vol.012:エリート崩れの激運(?)ガチャ】
〜最強の不運男、楊志くんの東京リベンジャーズ〜
1. ガチ勢同士のエンカウント
まず、元・超エリート軍人の林沖が、梁山泊のふもとで一人の「顔に青いあざがある男」と出くわすんだ。この男こそが、今回の主役・楊志。
いきなりハイレベルなPVP(対人戦)が勃発! 朴刀をブン回してガチでやり合うんだけど、どっちも強すぎて勝負がつかない。「うわ、こいつプレイヤースキル高すぎ!」ってなってる所に、山賊リーダーの王倫が割って入って仲裁。
2. 意識高い系山賊、スカウトを断る
王倫は「君、いい動きだね! うちのギルド(山賊団)に入らない?」って楊志を熱烈スカウト。でも、名門出身のプライドが邪魔して楊志は「いや、俺は公務員(官僚)に復職したいんで。山賊とかマジ無理っすw」ってキッパリ拒否。荷物を返してもらって、意気揚々と都(開封)へ戻るんだ。
3. クソ上司「高俅」のパワハラで詰む
都に戻った楊志を待っていたのは、最悪のブラック上司・高俅。
楊志が「昔、嵐で船を沈めちゃいましたけど、恩赦が出たんで復職させてください!」ってお願いしても、高俅は「あ? 失敗した奴はいらねーよ。帰れカス」と一蹴。全財産を賄賂に使っちゃった楊志、ここでまさかの所持金ゼロ、人生詰んだ状態に。
4. 伝説の迷惑系YouTuber(?)牛二、現る
路頭に迷った楊志は、仕方なく家宝の「めちゃくちゃ切れる刀」を売ることに。そこに現れたのが、街一番の嫌われ者・牛二。
こいつがマジでヤバい。「この刀、人を斬っても血がつかないんだろ? なら俺を斬ってみろよ! ほらほら!」って超絶ダルい絡み方をしてくる。楊志も最初は我慢してたんだけど、あまりのしつこさに堪忍袋の緒がブチギレ。
「……そこまで言うなら望み通りにしてやるよ!」と、一閃。牛二、即・退場(お疲れ様でした)。
5. 逆転の神展開! 監獄からのスターダム
「あーあ、人殺しちゃったよ……」って自首する楊志。でも、街の人たちは「あの迷惑男を消してくれた! 神!」と大絶賛。
結果、死刑を免れて北京大名府へ島流し。そこで出会ったのが、権力者の梁中書。楊志の才能を見抜いた彼は「君、いいじゃん。うちの幹部候補ね」と大抜擢!
古参の兵士たちが「新入りのくせに生意気だぞ!」って反発する中、楊志の実力を証明するための「演武大会」が開幕。
「流罪からの下克上、見せてやるよ」
最強の不運男が、最強の武力で未来をこじ開ける! 次回、楊志の槍が火を吹くぜ!
【まとめ】
結局、「才能があっても運ゲーと上司ガチャに外れるとキツいけど、腐らずに刀振ってれば見てる人は見てる」っていう、意外と現代にも通じる熱いエピソード。牛二へのトドメのシーンは、まさにスカッとジャパンの極みだぞ!
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主要人物図鑑(登場順)
016:青面獣・楊志★梁山泊一〇八将★
楊志は「超ハイスペックなのに、運ゲーに負け続けて人生詰みかけたエリート」なんだ。
1. 圧倒的な「親ガチャ」成功と「経歴の暴力」
楊志のバックボーンはマジでエグい。
家柄: 三代続く将軍の家系。例えるなら、代々トップアスリートか政治家みたいな超名門。「五侯・楊令公の孫」っていう看板を背負ってる。
実力: 国家公務員試験(武挙)に一発合格。戦闘力も頭脳もカンストしてるガチ勢。
ビジュアル: 顔にデカい青あざ(青面獣)。これはもう「個性の塊」というか、一度見たら忘れないインパクト強めのビジュアル担当だよね。
2. 「プレイヤースキル」がバグってる
初登場シーンで林沖とタイマン張るんだけど、これ、格ゲーで言ったら「全国大会優勝候補同士の決勝戦」みたいなもの。
あの「八十万禁軍の教頭」だった林沖を相手に、三十合(30ターン以上)やり合っても体力ゲージが全然減らない。
王倫も見てて「待って、こいつの動き神すぎて草」ってドン引きするレベル。林沖とタメ張れる奴が野良で歩いてるとか、普通にバグでしょ。
3. 「運ゲー(環境ガチャ)」が最悪すぎて詰む
ここが楊志の「エモい」というか「泣ける」ポイント。
仕事で大失敗: 皇帝に届ける大事なプレゼント(花石綱)を運んでる最中、黄河で嵐に遭って船ごと沈没。これ、現代なら「数億円のプロジェクトを天災で飛ばした」ようなもの。
上司ガチャ失敗: 復職しようとして賄賂まで贈ったのに、ラスボス高俅に「無能はいらん、帰れ」と一蹴される。努力が全部ムダになる絶望感、マジでメンタル死ぬ。
所持金ゼロ: エリート街道から一気に「残高0円のホームレス一歩手前」まで転落。この落差が激しすぎて、見てるこっちも「人生ハードモードすぎん?」ってなる。
4. メンタルが「真面目系クズ」じゃなくて「真面目系不器用」
楊志が闇落ち(山賊入り)を拒否する理由がまた熱い。
王倫に「うちのギルド入って楽しくやろうぜ」って誘われても、「いや、俺は公務員として再起したい。先祖に恥じない生き方がしたいんだ」って断る。
この「真面目すぎて融通がきかない」ところが、彼のカッコよさでもあり、苦労の元凶。
刀を売る時も、「人を斬っても血がつかない」とかいう超絶ニッチな性能をアピールするあたり、営業トークもちょっとズレてて愛おしい。
5. 「牛二」へのトドメが究極の「スカッと」
都の迷惑系無頼漢・牛二に絡まれた時も、最初はめちゃくちゃ耐えるんだよね。でも、牛二が「殺せよ! ほら殺せよ!」って調子乗って煽り散らかした結果、楊志の「キレるポイント(沸点)」を突破。
そこからの瞬殺劇は、もう「お前、それ言っちゃダメなやつだったな」っていうカタルシスがすごい。
楊志を一言でまとめると……
「才能もプライドもカンストしてるのに、運のパラメータだけがゼロ。でも、絶対に信念を曲げない不器用すぎるハイスペ男子」。
今回の第十二回は、そんな彼が「プライド(宝刀)」を売ろうとして、結局「自分の道」を切り拓く(物理的に)っていう、最高にエモい導入回なんだ。林沖が「静」の哀しみなら、楊志は「動」の不運。この二人の対比、マジで尊くない?




