今日中にセックスをする義務ができてしまった
できるできない、したいしたくないの問題ではない、義務である。だが私は童貞、前の穴と後ろの穴どころか自分の尻の穴すら確認したことはない。これでは今日童貞卒業することはできない、いや真っ当な手段ではもはや不可能、起きた時には12時で今はすでに19時、真っ当に恋愛すればアプローチに1年、付き合いだしてから1年で2年をかけて行うはずの童貞卒業(これは数々のエロゲーをやった私が編み出したクリアルートである、だがヒロインが未だ見つかっていないためエンディングを見たことはない)を行うには時間不足も甚だしいと言えよう。そもそもセックスとはお互いの愛を確かめ、受け入れ合うことによってより親密な関係を目指すという一つの手段であり、リミットを限られて行うようなものではない。
まずい
このままでは私は義務を果たせない
何がダメだったのか
これまでの人生を振り返ってみれば数々の後悔がよぎる。初めてセックスというものの存在を知り興味を持った小学生時代、女子に興味がないのがカッコいいのだと言い聞かせながら窓を見つめ雲を数えていた中学生時代、エロゲーにうつつを抜かし、恋人どころか友達もいなかった高校時代、そして今日中にセックスをしなければいけないと知りつつ落ち着くためと言い聞かせて1発抜いてしまった今…
くっ、ワンチャンあったのは小学生時代のみか
しかし心底困ったことである、性行為を行いたいだけならそういったお店に行けば良い、場所や作法は寡聞にして知らないが調べればなんとかなるだろう。しかしそれは私にとってセックスとは異なるものである。セックスは愛する人の知らない一面を知り愛を深めるためのある種儀式的な重みを持つ行為なのである。そこを違えてはならない。
などということを悩んでいたらもう22時だった。オカズを決めるのに悩みすぎた。こんなところで『今日何がいいー』『なんでもいいー』の時の母親の気持ちを理解することになるとはやはり人生は面白い。しかしそんな人生もあと2時間で終了である。義務を果たせぬ人生などないも同じというのが私がだした結論だ。
死ぬか
いや、死ぬわけにはいかない
まだまいてつをコンプしてない
だがあと2時間でセックスするなんてそんなことできるわけがない…!
「え、なんで下半身丸出しで項垂れて泣いてるのお兄ちゃん」
そこへ現れたのは妹だった、我が愛しの妹にこのような姿を見せることになるとは恥ずかしい…何はともあれ私は誤解を避けるためこれまでの経緯を説明した
「なるほど、つまりオナニーしてからそのままズボンを下ろしたままでいたんだね、きたな」
特に弁明の余地はなかった
「ついでに言うなら2時間でセックスするのは正直絶望的だね、もう全部諦めてちょっと高いオナホでオナニーしたら?」
ついでで諦めさせられた
待てよ、『ちょっと高いオナホ』で『オナニー』…?なるほど、これは…いけるかもしれない、さすが我が妹、今日も最高だ
「なんか急に目に光が灯ったねお兄ちゃん、そうだよ駅前でナンパするとか手はまだ残ってるはずなんだよ、私はお兄ちゃんにそう言うことをわかって欲しくて…」
早速オナホ選びに移ろう、初恋の相手の外見どころか中身まで知ることができるなんて私はどこまで幸せなんだ
セックスとはなんなのかについてここまで思いを巡らせてきた私だったが、我が最高の妹のおかげでその考えはさらに深部へと押し進めることができた。その変化をもたらしたのは何を隠そうオナニーとの対比である。何がセックスで何がオナニーなのか、簡単な話である。快感を得ることそのものを目的に貪欲かつ独りよがりに性行為を行うのがオナニー、互いに愛を確かめ、理解を深め合い、互いに相手をより受け入れるため性行為を行うのがセックス…そう、もとよりそれだけの違い、それだけの壁しか存在せず行為そのもののは変わらないのである。それを理解した私は自分に出せる最高速でメロンブックスに行き、30分かけて外見、内面含めて最も好みの黒髪のシスター、マリーがパッケージにプリントされたオナホを選択、購入し自室にて初体験を終えた。人生で初めて己の快感のためではなく、膣内の構造を体感的に理解し、マリーへの愛を深めるために手を動かしたのだ。つまりこれはまごうことなきセックスであり、偉大なる妹とマリーがもたらした2時間で童貞卒業できる魔法である。
この2人のおかげで今日も俺は義務を果たすことができた
このようにして一日がまた過ぎていく




