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もうもうが口癖令嬢は、婚約者の手先の魔術師にモウモウに変えられてしまいましたが、婚約破棄をしてくれたこと感謝いたします。  作者: 悠月 星花


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第21話 あのくそボンボンめ

「慎重に」

「……わ、わかっていますわ!」


 原石を少しずつ削っていく。少しでも力加減を間違えると、下に散らばっている粉々の宝石たちのようになる。

 集中して、魔法を込めていく。


 ……大丈夫。私はできる。私はできるの。


 あと少し! というところで気が緩んでしまい手のひらの上で磨いていた緑色の宝石が投げていく。


「あっ、待って! ダメ!」


 遠くへ飛んでいきそうだったものを翔輝が掴んでくれ、大事には至らなかった。これが、地面に落ちたり、家の壁などにぶつかったら、終わっただろう。


「最後、気を抜いた?」

「はい。少し早くにできたとホッとしてしまいました……」


「はい」と渡された宝石を見て、今度こそホッとする。火に透かして見てもひび割れや削り出しの荒さは見えない。ピカピカと光るそれを見て、うん! と翔輝も頷いた。


「上出来だね。あとは台座だけど、何にする? 宝石の大きさからすると、バングルやネックレスになると思うけど」

「では、バングルに!」


 カバンから取り出した白銀の鉱石を炉で溶かしていく翔輝。「よく見ていて」と溶ける様を確認していった。

 用意してあった型に、頃合いだと溶けた鉱石を流し込んでいく。


「うまくできているといいけど」


 そう言って、翔輝は魔法を教えてくれた。造形魔法の一種で宝飾品作りには欠かせないという。


「細工師の加護があればいいんだけど、そんな都合よくないからさ」

「……あります」


 私は小さく呟く。


「えっ? 細工師の加護だよ? 俺も何年もかかって……」

「小さいときにクライ様が石人形にハマって……それで、それでその……」

「あのくそボンボンめ、ベスに何をさせてるんだ!」


 悪態をつく翔輝にどうしたらいいかわからず、「あの……」と声をかけた。


「ベスに怒っているわけじゃないよ? クライって言うの? 本当にベスには勿体なさすぎるヤツだね?」


 口を尖らせながら、「面白くない」と呟いている。いらないことを申し出たのかと盗み見ていた。目があったとき、翔輝がハッとしたように驚いたあと、バツの悪そうにしている。どうやら、私が不安そうに見ていたことに気がついたようだ。


「ベスに怒ってないから! 本当だよ? それより、細工師の加護があるなら、簡単」


 型から取り出した白銀のバングルを手に持った。さっきまで、グツグツと煮えたぎっていたのに今は、金属特有の少しひんやりした感じがする。


「これを磨いていくんだけど、さっき見てたからわかる?」

「えぇ、でも、自信はありませんよ?」

「いいよ。少しやってみて!」


 バングルの余分なところや光沢を出すために磨いていく。通常はヤスリを使うのだが、そこは魔法を駆使して代用していくようだ。私の心のうちを勝手に読んだのではないか? と思った。そうではないと首を振る翔輝に頷いた。そのあとも、丁寧に教えてくれるので、少しずつ完成に近づいていく。

 そうこうしているうちに、私の手元に光り輝くバングルが出来上がった。


「後は、さっき磨いた宝石をここにはめれば出来上がりだから。最後までやってみて」


 宝石をバングルのくぼみにはめていく。出来上がったものを翔輝に渡すと、ひっくり返したりしながら、ジックリ見ている。鑑定を使いながら、できばえも含めていくらで売れるのか確認しているのだ。


「うん、いいね。これなら、相場の5割増しで売れる」

「5割増しですか?」

「そう」

「……高すぎませんか?」

「そんなことないよ? できもいいし、デザインもいい。宝石も純度の高いものを使っている。これは、高値で売れるよ」


「しまっておいて」と私に返してくれ、明日にでも町で売ることになった。あとは、このあたりの片付けをしたら終わりなので、散らばった砕けた石を箒で掃こうとした。すると、「待って!」と慌てている様子に何だろう? と、首を傾げる。

 足元に散らばっているクズ石を捨てないでほしかったようで拾い集め、翔輝は一か所にまとめている。


「どうするのですか?」

「もちろん使うよ。小さな宝飾品を作るときに便利だからね」


 翔輝が小瓶に入れていく砕けた宝石。月光に照らされた色とりどりのそれらはとても綺麗だった。

 粉々にした私としては、使い道があると言われて少しだけ胸をなでおろした。

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