表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もうもうが口癖令嬢は、婚約者の手先の魔術師にモウモウに変えられてしまいましたが、婚約破棄をしてくれたこと感謝いたします。  作者: 悠月 星花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/31

第16話 俺が弾かれるの……?

 夢中になって本を読んでいると、急に影ができる。ゆっくり視線をあげると、そこには翔輝が笑っている。


「何読んでるの?」


 気になるのか、覗き込んでくるので、表紙を見せた。


「東方伝記? そんなの買ったの?」


 不思議そうに表紙を見ながら「ボロボロだね?」と呟いている。私は鞄からコインのペンダントを取り出した。手のひらに乗せて翔輝に見せる。


「これは?」

「これとペアになっているそうですよ? それを買ったら、これをくれるというので買いました。よかったら……どうですか?」

「半分のコイン。それなら、もっといいものを作ったのに!」

「そういえば……宝飾品の作り方を教えてくださる約束でしたね?」

「あぁ、そうだよ。まぁ、でも、いいや。ベスがくれるっていうならもらうよ。はい、かけて」


 翔輝はニッコリ笑ってこちらに首を出してくる。手に持っていたペンダントを翔輝の首へとかけるとちょうど胸元へ半分のコインがぶら下がった。


「騙されたとかは思ってる?」

「まぁ、ぼったくられた気はしています」

「そう、ならよかった。でも……見たことがあるなぁ? このコインって何かいわれがあるの?」

「東の国には邪龍がいるのですか?」

「えっ?」


 翔輝が一瞬にして緊張した面持ちになった。私はそんな翔輝を不思議に思ったが、それ以上はわからないので、説明を続ける。


「私の考える龍って……トカゲのようなものなのですけど、」

「あぁ、ドラゴンね。滅多にお目にかかれないものだね?」

「そうです。でも、東の国では蛇のようなものだと聞きました。その邪龍が、暴れたときに、このコインを踏んで割ったとか。それをペンダントにしているそうです。二人で持つと両お……」


 商人に聞いた話をしようとして、言葉を噤んだ。『両想いになる』なんて、言えない。急に話を辞めた私を訝しみ、コインを触っていた翔輝がこちらを見る。黒目に映る私は若干焦っているようで、そわそわしている。


 ……変に思ったかしら? それとも東の国の人だから、知っているのかしら?


 翔輝の表情を見ても、何もわからない。感情によって表情の変わる翔輝は未だ緊張したままだったので、笑い方もどこかぎこちない。


「どうかした?」

「いえ、なんでもありません。二つ買わないと、本がもらえなかったので、買ったまでですから」

「そう。これから、これをずっとつける?」

「そうですね……せっかくですから、付けておこうかと」


 翔輝は頷いたあと隣に座る。コインをまじまじ見ながら「そうだな」と呟く。その他にも何か呟くと、コインは光った。


「何かしたのですか?」

「ベスが買ったこのペンダントは本物らしい。ベスのも調べていいかい?」

「もちろんですけど……それは?」

「邪龍の魔力が残っているか確認したんだよ」


 私はペンダントを取ろうとしたが、そのままでいいと言われたのでコインの部分を翔輝に渡した。すると、こちらも光る。


「これも本物だな。コインを割るようなことって……したかな?」

「何か言いましたか?」

「こっちのこと。せっかく魔力があるから、これに守りの加護をつけよう。ベスも魔法は使えるし戦えるけど、咄嗟のときに守れるように。俺がいつも側にいるとは限らないし……」

「加護ですか?」

「あぁ、簡単だから、少し待ってて」


 私のコインに向かって何かを呟くと黒い光から赤い光に変わっていく。見たこともない魔物のような、それでいて神聖なもののような何かが現れた。それをジッと見ていると消えていく。コインの光が当たったのだろう。翔輝の方を見たとき、一瞬だけ瞳が赤く光った。


「これで大丈夫」

「翔輝のほうには加護はしないのですか?」

「あぁ、俺のほうね。そうだな……これが一番の加護かなぁ?」


 そういって、私を抱きしめる。急なことで驚いてしまった。危険を感じたわけではないのにペンダントが翔輝を弾く。


「おぉ? 俺が弾かれるの……? それってさ……」


 恨みがましくコインを見てぶつくさ文句を一通りいうと「まぁ、正常に加護が動いたね」とため息をついた。


「あの……どういうことですか?」

「ベスが俺を拒んだんだろ?」

「そんなことは……ビックリしただけで、その……」

「あぁ、じゃあ、今から抱きつきますね! って言ってからなら大丈夫?」

「そ、そういうことではありません!」


 慌てて立ち上がって距離を取ると「悲しいなぁ……」と俯きながら翔輝がごちていた。そんな翔輝に「昼食は食べましたか?」と尋ねると首を横に振る。さっき、買ったパンを鞄から取り出し、「おいしかったですよ」と渡した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ