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とものターン6

少し気になったのは、ジュニの顔が少し老けていたように感じたことだ。

確かにあれだけの地震が起こったんだ、きっと街はめちゃめちゃだろう。

おれはきっと数日寝ていたのだろう。足が重たい。であるのならば、きっと心労が祟っているに違いない。

あんな顔、初めてみた。


しかし、サヤカはなぜ、自分を庇ったんだ。

なぜ、あの時別れを自ら切り出した上で、おれを追いかけて、そして、助けたんだ。

なぜ、電車で男といたんだ。

なぜ、おれは、こんなに心が乱れているんだ。

あいつは大丈夫なのか。


検査室へ向かうため、佐々木先生の背中を追う。隣には看護師さんが肩を抱えるように自分を支えてくれている。

その道中は、日の光があまり入らない少し薄暗い廊下だった。病院は、大きな中庭をぐるりと囲うような作りをした建物で、中庭には、入院しているのであろう患者が何人もいるのが見えた

ここは、おそらく、4階か5階だろうか。そこそこの高さがあるように感じた。


「あの、先生、この後、検査が終わったら、サヤカのところに行くことはできないですか。少しでも顔が見てみたい」

先生は、ゆっくりと歩きながらこちらを半身で見ながら、少し悲しそうな顔で口を開けた。

「ごめんなさい。それはできないです」

「なぜですか」

「それも言えないです。わかってください」

「どうして……」

「ただ、我々も最善は尽くしています。それだけ信じてください」

そういう先生の目は悲しみを纏っているような気がした。

顔も見れないらしい。せめて、せめて顔を見れれば、彼女の気持ちを少しは……


検査室に着く。その扉には黄色い三角の注意マークの真ん中に”注意”と記載されており、その上には、強磁力発生区域と書かれていた。

mriを取るとのことだった。

まずは、脳と体に異常がないかを確認するとのこと。

その後、血液を摂るとの事だった。


部屋に入ると、白く大きなドーナツ状の機械があった。それは機械というよりも、どちらかというとオブジェと言われたほうがしっくりくるような得体の知れないものであった。

ドーナツの真ん中を通過できるようにベッドが設置されており、そこに横たわるように言われた。

横たわり、ベルトで体がベッドに固定された。

最終確認とのことで、金属探知機で身体中をチェックされ、音が鳴らないことを看護師さんが確認し、看護師さんたちはその部屋を出た。

大きなドーナツは

”ゴオオオオオオ”

と言いながら自分の体を入れたり出したり、入れたり出したり、入れたり出したり。

おおよそ体感30分入れたり出したり入れたり出したり。

ノイローゼになりかけていた頃に、大きなドーナツから音が止まり、看護師さんが部屋に入ってきた。


「お疲れ様です。じゃあ、次は、採血になるので、またちょっと歩きますね。まだ歩けそうですか?」

「え、はい」

ベッドから立ち上がろうとすると、看護師さんは自分の隣に立ち、体を支えた。少し手助けをもらいながら立ち上がった。

長時間、mriなんかやると、立ち上がるのにも一苦労するらしい。


そのまま、看護師さんは自分の隣で自分を支えながら次の部屋へと向かって歩みを進めた。



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