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ケンのターン5

視界が急に明るくなる。元々暗かったのかと言われるとそういうわけでもない気もする。不意に目の前が照らされて、全てがぼやけている。

ここは病室か。室内は暗く、辺りからは音もしない。


あぁ、そうか。少し思い出した。

昼間おれは母の店の手伝いをしていて、その途中に誰かが店に入ってきて、そしたら置いてあった彫刻が降ってきて、、、。

頭が痛い。

とりあえず看護師さんとか呼んだ方がいいのかな。少しは意識が飛んでいた男が目を覚ましたわけだし。

いいや、明日にしよう。ここから何か検査か何かが始まりでもしたら、おれの頭はさらに混乱してしまうだろう。今くらいは休ませてくれ。そう思い、おれは目を閉じて再び眠りにつくことにした。


朝、目が覚めると目の前には母がいた。

「あんた。大丈夫なの?ここが分かる?具合は?」

いつもの調子でおれに矢継ぎ早に言葉を投げかける。おれは返事をしないが、こういう状況での母の言葉の連打はおれへの問いかけというより、自分の中の感情の爆発に近いことは知っているのでおれは何も返さなかった。

おれの考えの通り、次の瞬間には母はおれから目を離し、ナースコールのボタンに手をかけていた。

「おはよう。」

「おはようって、あんた。心配したんだよ?」

普段から騒々しい母がしおらしくなっているところを見ると、心配をかけた申し訳なさが浮かんでくる。

「もうすぐお医者さん来てくれるから。今、話したりできるの?どっか痛い?」

「痛いところは特にないかな。話もそんなに長くなければ」


「失礼します」

ノックをして白衣を着た賢そうな男の人が入ってくる。

「担当の脳外科医の佐々木です」

おれは軽く会釈をし、佐々木先生と少し話した。

店の彫刻が頭に直撃しておれは意識を失ったこと、その後この病院に運ばれてから日中の間、意識が回復しなかったこと、サヤカがおれをかばうように飛び込んだこと。。。

「ん?じゃあ、サヤカは?今あいつはどこにいるんだよ」

「あの子は、、、」

「サヤカさんも命に別状はありません。ただ、まだ意識は回復しておらず、我々も最善は尽くしていますが、この先どうなるかはなんとも。。。」

どういうことだ。サヤカがおれをかばって?そんで、あいつは今まだ意識がなくて?なんでこんな事になってんだ。

今の自分の状況に困惑していると、またもや扉をノックする音が聞こえる。

扉を開けて入ってきたのは、ジュニだった。

「お母さんから連絡もらって。」

お前には聞きたいことが山ほどあるが、今なのか?今じゃないだろ、普通。。


いや、今なのかもしれない。

「少し待っててくれ。」

諸々の検査の終わる大体の時間を確認し、ジュニに時間を伝え、おれは検査に向かうことにした。

佐々木先生は、サヤカが目を覚ましたらおれに伝えてくれると言ってくれた。

サヤカの事を考えながら重い足取りでおれは検査に向かった。

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