表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

二月は“皮を剝ぐ”

 さあさあ、モンちゃん、ノリノリになってきましたし、次なる二月の祭事を話そうか。

 二月の祭事は穀物の神シペトテックを祀る。もちろん生贄の儀式もあるぞ。シペトテックに捧げるのは、厳選された敵国の捕虜を用いる。

 儀式を始める前の下準備として、供物となる捕虜は頭髪を剃られ、頭をピカピカにしておく。そして、前後不覚になるほどにたっぷりを酒を飲ませて、ベロンベロンに酔わせるのだ。

 フラフラに酔ったところで無理やり歩かせ、さらに故郷の歌を歌わせる。二度と帰れぬ故郷に涙しながら神殿の階段を上らせ、儀式の祭壇まで登らせてから殺す。

 そして、もっとも重要なのは、神聖なる祭壇の上で、その死体の皮を剥ぐことなのだ。

 ああ、言い忘れておった。心臓を抉ってから皮を剥ぐのか、皮を剥いでから心臓を抉るのか、その時の天候によって変わって来るから間違えないようにな。

 そして、剥いだ皮は戦士が身に付け、再び敵国の捕虜と対決してもらう。もちろん八百長だぞ♪ 我が国の戦士が負けることなど、あってはないらないからな!

 なぜ、ここま“皮”に拘るのかと言うと、シペトテックが皮に包まれた神であるからだ。そして、シペトテックはその皮を変異させ、食料を生み出す力を有しておる。

 その皮の下は黄金の肉体が秘められておるのだが、なんだか似ておると思わぬか?

 そう、これだ、これ! 我らの主食“トウモロコシ”だ!

 シペトテックは黄金の体を秘めたる皮に包まれた神、すなわちトウモロコシの神格なのだ。

 それにほら、人も似ておろう? 皮を剥いでそこから覗く皮下脂肪! 脂肪は黄色の粒々! なんだかトウモロコシみたいではないか!

 我らの先祖がそれに気づき、このような儀式の形を整えたのであろう。皮を剥いで食べる。おお、偉大なるかなシペトテック! 偉大なるかなトウモロコシ! 

 大地に実りを! 腹を満たし、豊かなる心を!

 我が国に栄光と繁栄あれ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アステカ文明に遭遇したかの感じですね。神事と言うのは確かにある種のグロテスクさを持っている様な気がします。何せ普通じゃだめですからね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ