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十三月は“山々を祝う”

 一年で最大の祭事がある十二月が過ぎようとも、まだまだ神への祈りと供物は続くぞ。この十三月とて、それは同じ。だから、モンちゃんも気を抜けないのだ。

 さて、この月に祀る神は山々を司るいくつかの神と、そして、水を司る神トラロックだ。

 ん? トラロックの出番、多すぎじゃないかだと?

 何度も言うが、“水”は大変気難しいのだ。水がなければ作物は育たないし、逆に多すぎては水害になる。繁栄の都テノチテトランもテスココ湖の湖畔に作られておるし、他の町も湖に接した所に建てられている場合が多い。一度水害ともなれば、それは大惨事となる。

 水は恩恵と災厄を同時に招き寄せ、その動き一つで国の未来が左右されると言ってもよい。人々の平穏はまさに水次第なのだ。

 ゆえに、生贄を捧げてトラロックのご機嫌を取ったり、あるいは怠けたチャルチウィクトリクエを窘めたりするのは当然のこと。ついでに治水技術も洗練していき、水害をある程度だが抑え込めるようになったのだ。

 おっと、また脇道に逸れてしまったな。祭事の話を続けよう。

 この月は気を削り出し、蛇をかたどった像を作り出す。それをこねたアマランサスの種を引っ付けてしまうのだ。人型の像を用いる時もあるが、とにかくアマランサスの種で装飾するのだ。

 昔から、アマランサスの種で造りし像は山の神々の象徴であると信じられており、山々を祝う十三月には欠かせぬ存在なのだよ。

 そして、山の神々の好物である犬肉やお菓子を捧げ、同時にトラロックの下へ召された死者の魂の冥福を祈るのだ。

 我が国では通常、葬儀は火葬で行われるのだが、水害や落雷で死んだ者、あるいは火葬せずに土葬した者は、一人の例外もなくトラロックの下へ導かれると信じられている。ゆえに、その者達が平穏でいられるよう、トラロックにお願いするのだ。

 もちろん、生贄も捧げるぞ。月末には男性一人、女性四人を供物と成し、心臓を抉り出す。

 これをやらねば、やはり儀式とは言えないからな!


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