63.処遇
やがて、少女が言った。
「連れてきたのは、ここで決定を下し、即座に実行するためだ。その人間の意見を聞くためではない。だが、まあ、いいだろう」
そうして立ち上がり、わたしたちの方へと近寄ってきた。
途中、彼女は何か虫でも追い払うように、軽く腕を振るった。
するとそこには、この殺風景な場所には似つかわしくない、一人掛けのソファーが三つと、丸い面を持つ小さなテーブルが作り出されていた。
ソファーは二つと一つが向かい合うように配置され、テーブルはその間にあった。
「座れ、中山トウコ」
少女はそうとだけ言い、わたしをじっと見ていた。
わたしとカナタは二つある方のソファーに座った。あることに気がついた。
このソファーのデザインはカナタとこの少女が入っていたスターバックスで使われているものと同じだった。
そうして少女が、わたしたちの前に腰を下ろした。
背筋を張った折り目正しい姿勢だが、言葉遣いは失礼だった。
「お前も協議に入れ」
そう言われても、二人が何の話をしているか、さっぱりわからなかった。
ただでさえ、二人とは、人間と宇宙人という差異がある。
その上で、途中から話に混ぜられても、わたしにはついていける気がしない。
「……何の協議ですか」
「お前の処遇についての協議だ」
どうしてわたしの処遇について、彼らが話し合わなければならないのか、わからない。
カナタへ目を向けると、彼は眉間にしわを寄せていた。
そうして、苦しそうな口調で口を開いた。
「いいですか。前にも言いましたが、彼女は何も知らないのです」
「だとしたら、知っておく必要があるな」
「その必要があるとは、ぼくは思っていなかったのですが」
「以前にもそれは聞いた。だが、お前は矛盾しているな。ともに話をするといったのはお前だ。何も知らないで、この人間は、何の話をするというのだ」
「ここに連れてきたのが誤りだったのです」
「もう遅い。私はこの場で決断を下す」
どうにもならない、カナタはそんな風に首を振った。
だがわたしは、断片的でしかなかったが、この少女の言っている方が正しいと思えた。
何か、わたしの処遇について、二人は協議をしていたらしい。
そうして、わたしはそのことを知らない。
「教えてください。あなたがたは、何の話をしていたんですか」
少女は、カナタの方をちらりとみた。
だが彼に向っては何も言わず、わたしに答えた。
「面倒だが、教えてやろう。そうすれば、お前も少しは理解できるだろう」




