第18話 緊急任務
ポタッポタッ
何故か天井に突き刺さった黒服から血が滴り落ちる。その量は多くキュロスの足元には既に血だまりができ、かなりスプラッタな場面になっている。
「おい。何だったんだ?今のは。」
「分からん。音がした時にはもう突き刺さってたぞ。」
「あの一瞬で黒服をぶっ飛ばしたっていうのか?」
未だ平伏した体勢で冒険者たちは話した。
「そんなことより分からんのは黒服をぶっ飛ばした時、あいつは座ったままだった。つまり座った状態で人間1人を天井に突き刺せる力でぶん殴ったってことだ。そんな力があるようには見えんが。」
そう呟いたのは2か月前の試験でBランク下位になった仮面の大剣使い、ウルフガンだった。
「あんたもかい?あたしもさ。あんな優男なのに人は見た目にはよらないって言うけどここまでとはねぇ。」
その呟きに反応したのは妻でありチームメンバーの盗賊、カルラだった。
「そりゃそうだ。あの人はキュロス・マーベル。Sランク冒険者だ。試験の時にマスターが言ってたのに覚えてないのか?」
「そうだったかい?覚えがないね。」
隣に座って居た武闘家、フロム・リュウがカルラに話した。彼は2か月前はソロで活動していたが、その半月後にウルフガンから勧誘を受けチームに加わった。
「俺のほうの試験官があの人だったんだ。発想とかセンスは悪くないって褒められた。」
「ほぅ、良かったじゃねぇか。」
「そんなことよりウルフガン、あんたは何が起こったのか分かったのか?俺には全く見えなかったが。」
「単純なことだ。あの黒服が剣を抜いてあいつ―――キュロスだったか。―――に切りかかった。で、キュロスは素手で剣の軌道をずらして体勢を崩したところにアッパーカットを食らわせた。この時のが1個目の音だな。顎に一撃食らった黒服はそのまま天井にぶっ飛んで突き刺さった。そのあとキュロスは何食わぬ顔で椅子に座ってんだ。まるで黒服が勝手にぶっ飛んだみてぇにな。一応名誉のために言っておくが黒服もそこそこの使い手だ。ただキュロスが化け物過ぎた。恨むならあれにケンカ打ったことを恨むんだな。」
ウルフガンは丁寧に解説をした。その解説を聞いたリュウは尊敬の眼差しでキュロスを見た。当のキュロスは苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。
「どうすっかなあ。ちょっとやりすぎたか。まさかこんなに弱いとは思ってなかった。」
キュロスは小さく呟く。ズルッと音を立てて落ちてきた黒服は完全に意識が飛んでいた。顎は粉々に砕け散り、脳天から大量出血。顔は血まみれで折れた歯が辺りに飛び散っている。この様子では目が覚めるのにしばらくかかるだろう。先ほどの解説は間違っていた。実際は振りかざした剣を叩き折って立ち上がり、同時にアッパーカットを顎に、蹴りを鳩尾に食らわせた。そして何事もなかったように座りなおした。黒服の受けたダメージは完全にオーバーキルだ。それでも生きている辺りはさすがというべきか。しょうがないので王女の方を見た。どうしようこれ、という眼差しで。王女はヒッと小さく悲鳴を上げた。
「なっなな何用です。もしかしてあれですか。やる気ですか。いいでしょう。受けて立ちます。私を見くびらないでください。」
・・・
・・・
・・・お姫様ご乱心ですよー。ほら、目とか完全にイっちゃってるよ。できるはずもないのにファイティングポーズ取ってるよ。誰か宥めてやれよ。おい、そこの従者。お前だよお前。目を逸らすな。早く宥めろ。
ルムアーク王女は混乱している!しかし体がついていかずドレスの裾を踏んでこけた!王女に3のダメージ!
そして目が合ったら殺されると言わんばかりに目を逸らす従者。そんなの知らん!もう帰りたい...と言った表情で目を逸らしているがお前がまとめなきゃ誰がこの場をまとめるんだ。混乱させた張本人が辺りを見渡す。見事に全員が目を逸らした。
ルムアーク王女は混乱している!キュロスに殴り掛かったが手首を痛めてしまった!王女に2のダメージ!
「あー、お姫さん?別に何もしねーから落ち着け。あと殴り掛かるのはやめろ。手首痛めるぞ。」
ルムアーク王女は混乱している!キュロスを蹴ろうとしたがスカートだった!王女は正気に戻った!
「はッ。私は何を。」
足を振り上げていることに気が付き恥ずかしさに顔が真っ赤になる。
「・・・見ましたか。」
「何をだ?」
「言わせないでください...」
「別に何も見てねーよ。ポンコツ王女。」
「わ、私がポンコツ?無礼です!カイン!この者に然るべき処罰を下しなさい!」
「失礼ながら王女様。私に死ねとおっしゃるのですか?そうだとしたら今日限りで暇を貰いたく存じます。」
カインと呼ばれた従者はぶっきらぼうな、それでいて丁寧な所作で返した。
「へ?」
「王女様はご存じないかもしれませんがこの者はキュロス・マーベル。Sランク中位の冒険者にございます。」
「そうなの?」
キュロスに確認する。
「一応な。」
「私は何と愚かなことを。申し遅れました。私はルムアーク・オールシア。オールシア王家の第二王女です。今回はあなたに依頼したい案件があって訪ねました。引き受けてくれますね?」
「内容によるな。あとキャラ作んのはやめとけ。疲れるだけだ。」
この言葉に王女はハッとする。いつの間に気づいたのだろう。
突然のことで申し訳ありませんが今回で打ち切りとさせていただきます。詳しい理由等は活動報告にてご確認ください。
PS
ユーザー名を変更しました。(どうでもいい。)




