第17話 王族襲来!
世界観設定 ②
この世界ではオールシア王国、コレニアム王国、ガルニア帝国の3つの大国とベルタ地方にある小国群が主な国である。オールシア王国は表向きには差別や貧富の差が少なく、平和な国であるとなっているが一歩裏道に入れば麻薬や奴隷商の横行するスラムが広がっている。コレニアム王国はハイエルフが統治する国でその街並みは世界一と呼ばれるほど荘厳である。ガルニア帝国は完全実力至上主義の政策がとられ、人種を問わず有能な人材を重用する。小国群では常に争いが絶えず傭兵や冒険者の恰好の稼ぎ場になっているが、戦争による難民が多く発生し、オールシア王国やガルニア帝国へ少なくない難民がなだれ込んでいる。
30分ほどして酒場に移動したキュロスはナヴィの機嫌をどう戻すか考えていた。向かいの席に座ってジト目でこっちを見ている。
「ねぇ、キュロス。」
キュロスはその呼びかけに怒りが含まれているのを感じた。
「何であんなことしたのかな?怒らないから話してごらん?」
何を言っても怒るやつやん...と思ったが何も言わなかった。
「黙ってても何もわかんないよ?ほら、早く話して?」
ナヴィの目からどんどん明るさが消えていく。もはや死んだ魚の目と言っても言い過ぎではなかった。観念したキュロスはイラついたからやったと正直に話した。
ピキッ
ナヴィの額に青筋が浮かんだ。
「ふーん。そっかーイラついたからやったのかー。キュロスはイラついただけでちょっかいをかけた女の子をぶん投げる鬼畜だったんだねー。」
顔は笑っていたが目は全く笑っていなかった。そして棒読みだった。今までに数えきれないほど強敵と戦ったがこれほど恐怖を感じたことはなかった。
「キュロスのせいで汚れた服はどうしたらいいかなー。高かったんだよねー。弁償してほしいなー。」
ナヴィは原因はキュロスにあるかのように言い弁償しろと迫った。その様はさながらカモを見つけた輩のようだった。
「お前の服が汚れたのはお前が漏らしたからだ。我慢すれば済んだ話だ。」
「その我慢をできなくしたのはどこの誰かなー?」
「・・・分かった。今度なんか買ってやる。」
深くため息をついて約束するとナヴィの顔がパァっと明るくなった。
「ほんと!?やったー!何かわるいねー。イヒヒ」
どうやらキュロスから服代をせしめる為の芝居だったようだ。あれほど死んでいた目がキュロスの言質を取った瞬間に輝き始めた。
「何買ってもらおっかな~♪あれとあれとあとは...」
もう逆らうのはよそう。キュロスがそう思った時マスターが声をかけてきた。
「よう、キュロス。ちょっといいか?ってかなんだあいつは?気持ち悪いぞ。」
「ほっといて構わない。それで何の用だ。」
「お前たちに指名で依頼が入った。多分向こうが指名したのはお前だけだろうが今のお前はチーム組んでるからな。」
「依頼の内容は?」
「それがなー依頼主が直で話すらしくて俺も知らねぇんだよ。だが緊急の依頼だって聞いたぞ。」
「分かった。場所は?」
「依頼主が直接来るって聞いたから待っとけばいい。」
「依頼主はどんな奴なんだ?」
「俺も上から伝えられただけだからな。だが上の奴らもはっきりと言わなかったからもしかしたら貴族かそれ以上―――王族かもしれん。」
「そうか。」
キュロスは興味なさげに呟いた。
「そうかって相手は王族かもしれねぇんだぞ!?緊張とかしないのか?」
「相手が誰であろうといつも通りに振舞えばいい。緊張するだけ無駄だ。」
「お前らしいな。」
その時だった。酒場の扉が開き冒険者ギルドには不釣り合いな令嬢が従者2人を伴って入ってきた。
「へっへっへ。嬢ちゃん。ここはあんたの来る場所じゃねぇんだ。とっととかえ―――いでででで!何しやがる!」
「無礼者共め!頭が高いぞ!この方が誰だと思われる。オールシア王家第二王女にして至高の御方にあらせられるルムアーク様であるぞ!全員跪けい!」
いかにも仕事のできなさそうな黒服の従者が王女に絡んだ狼藉者の腕を捩じ上げて言った。当然のようにパニックになる冒険者たちは
「何で王族がこんなとこに?」
「知るかバカ!さっさと跪け!殺されるぞ!」
と騒ぎながら跪いた。その場にいた冒険者はほとんど跪いたが黒服はいまだ跪いていない2人―――キュロスとナヴィだ―――を見逃がさなかった。
「貴様ら聞こえなかったのか。さっさと跪け!」
「ふぇ!?誰!?」
妄想にふけっていたナヴィはそもそも気づいていなかった。
「ふざけているのか?ルムアーク様の御前だ。はやく跪かんか!」
「は、はい!申し訳ありません!」
流石に王女の名前を出されては分が悪かったようだ。跪き首を垂れる。
「お前もだ。早くしろ。無礼であるぞ!」
「無礼?どこがだ。俺からすれば姫さんは何も言ってないのに従者のお前がギャーギャー喚いているようにしか見えん。お前自身には権力なんかこれっぽちもないだろう?何でお前の命令に従う必要がある。」
「おいキュロス!王女には逆らうな!頼むからやめてくれ!」
平伏した体勢からマスターが言った。このままではストレス性の胃痛で寝込むことになるだろう。誰か良く効く胃薬を差し入れしてあげた方がよさそうだ。
「貴様!王女を侮辱するか!成敗してくれる!」
案の定怒った黒服は剣を抜きキュロスに切りかかった。
ドゴッ!!!バキッ!!!
酒場に2つの音が鳴り響いた。
「あ~あ。やっちゃったよ...転職も考えとくか...」
マスターの嘆く声が聞こえた。
何故かペタに来た第二王女ルムアーク。マスターの悪い予感は当たっているのか。続きはwebで!(嘘)
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