第15話 試験終了
本日2話目です
試験が終わった。フロムとネルの出来が思っていたより良かったから期待した俺が馬鹿だった。何なんだ。自信満々に自己紹介して向かってきたがランクと実力が悪い意味でかけ離れている。攻撃も軽い、駆け引きがなっていない、発想も貧困、挙げればきりがない。足元の砂で目つぶしとか使い古された手で格上を相手するなど馬鹿げている。降格の権限があるなら2段階は降格しただろう。マスターの方に並んでいた奴らも総じてレベルが低い。素手でも相手できそうだった。キュロスは声には出さなかったがほとんどの冒険者に駄目出しをしていた。そうやって試験の様子を見ているとマスターの方に並んだ冒険者の試験も終わったのかマスターが近づいてきた。そしてキュロスの隣に腰掛け
「どうだ。ペタの冒険者は。」
分かり切ったことを尋ねてきた。
「駄目だな。良くも悪くもほとんどの冒険者がランクに見合ってない。」
「そうか?俺からすれば全員合格だが。」
「冗談だろう。俺から見て今回の試験で合格と言っていいのは5人だ。わかるか?たった5人だ。」
「ほう。ちなみにそいつらが誰か聞いてもいいか?」
マスターが興味深げに尋ねた。
「別に構わんが聞いてどうする。」
「どうもしないさ。お前が認めたやつに興味があるだけだ。」
「・・・まず俺の方に並んでたフロムとネル、次にマスターの方に並んでた仮面を付けた大剣使い、認めたくはないがナヴィ、あとはダガーを持ってた盗賊っぽい見た目の女。大剣使いと盗賊はこのまま精進をつづければAランクに届くかもな。」
「やはりか。あの2人はパーティーを組んでいるんだがどちらもBランク下位でな。そろそろ拠点を本部に移そうかと相談しているそうだ。」
「そうなのか。潰れちまわなければいいが。あの辺りは冒険者殺しや危険な魔物も多いからな。」
「おーーいキュロスーー!」
2人で話しているとナヴィが駆け寄ってきた。
「はぁはぁキュロ、はぁはぁキュロス!」
全力で走ってきたと見え、息を切らしている。
「いったん落ち着け。呼吸を整えろ。」
キュロスは死んだ魚のような目でナヴィを見た。
「はぁはぁ、ふぅ。キュロス!合格したよ!」
「知ってる。」
「約束通りパーティーを組んでください!」
「・・・断る。」
「え!考えてくれるって言ったじゃん!」
「考えたうえで断ると言った。」
「なんでよ!キュロスのケチ!童貞!キュロスのピーなんかピーしてピーできなくなっちゃえばいいんだ!それにムググ!」
「おい!童貞は関係ないだろ!」
「おいーーー!!!女の子が言っちゃいけないこと言ってるから!!それも大声で!てかキュロス!論点ずれてるから!」
突如放送禁止用語を大声で叫びだしたナヴィにキュロスはずれたところを怒った。間に挟まれたマスターは急遽ツッコミ役になる羽目になった。そしてまだ何か言いだしそうなナヴィの口を押さえ傍から見れば女の子を誘拐しようとしている男2人組の構図になりたまたま通りがかったギルド職員に危うく通報されそうになった。
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「全く。何を考えてんだか。もうやんなよ。こっちの身にもなれ。」
「ごめんなさい...」
「本当にそうだな。」
「お前にも言ってんだよキュロス!」
何とかあの場を納めたマスターは少しやつれて見えた。
「それとキュロス、お前パーティー組め。」
「急にどうした。俺は誰かとパーティーを組むつもりはない。」
「ほーう。こんなに迷惑をかけた癖にまさかまだ我儘が通るとでも思ってんのか?ギルドマスター命令だ。今後キュロス・マーベルはナヴィ・ストレンジャーとパーティーを組み、ペタを拠点として活動すること。いいな?」
マスターの有無を言わせぬ眼光と額に浮かぶ青筋にキュロスは白旗を挙げた。
「よし。手続きはこっちでやっとくからパーティー名だけ考えといてくれ。明日返事を聞く。」
そう言い残しマスターは執務室へ向かった。
「あたしもちょっと用事があるからさきに帰るね。」
酒場からマスターとナヴィの姿が消え1人残されたキュロスは椅子に座りきつめの酒を頼んだ。
「あのおっさんしれっと拠点決めやがったな…とりあえずパーティー名でも考えるか。」
頼んだ酒が届きグラスを一気にあおった。そして酒を吹き出した。
「ゲホッゴホッなんで飲めないのに頼んだんだよ。アホか俺は。」
キュロスは意外にも下戸なのです。え、いらない?
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