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選択肢

???「さて、どうしたい?」


『え?な、なにが……ですか?』


???「今回、イレギュラーな事態が発生し、こいつ1人のはずだったのだが、あんたがいた。だからあんたには選択肢を与えよう」


『選択肢……』


???「そう、選択肢。1つ目はこの場から逃げ出す事。逃げ切れる保証は無い

けどね。勿論、逃げ切れなかった場合死ぬ事になる。よくある目撃者は

処分される。みたいなやつだね。

2つ目は、暴漢に襲われたようにみえるよう、体のどこかを負傷した状態で

日常に戻る。負傷する部位は選ばせてあげよう。ここであった事を警察に

証言しても信用はされないように証拠は隠ぺいするから無駄になると思うよ。

軽く監視が付くかもね。

そして最後の3つ目、こちら側に来る」


今も優の死体は地面に転がっている。何を考えればいいのか考えがまとまらない。

警察を呼ぶべきでは?救急車は?なんでまだ俺は生かされている?どうすれば逃げられる?

発狂しそうだ……。大声で叫びながらこの男?女?を罵りたい。俺の友達を

なぜ殺した!と。


だが、今言われた選択肢から選ぶとなると、警察や救急車を呼ぶのは

不可能だろう。

それに罵った場合、1つ目の選択肢を強制的に選ばれてしまう可能性がある。


『ま、まず……、聞かせてくれませんか?なぜ優を、こ、殺したんですか』


???「ああ、簡単な事だよ。この近隣で起きている事件を知っているかい?」


『最近起きている事件……。となると連続殺人事件ですか?』


???「そそ、その事件の犯人がコイツ」


『はぁ!?そ、そんな訳!あ、すみません……。本当なんですか?』

驚きで声が大きくなったため、声のトーンを落とした。


???「君はなかなか冷静だね。大きい声を出して、こちらの機嫌を損ねないようにしてるね。その調子で静かにしてくれると助かるよ」


???「犯人なのは事実だよ。そして我々は、完全犯罪で捕まる事のない犯人を裁く」


『完全犯罪で捕まる事のない犯人?未来では捕まるかもしれないのでは?』


???「ああ、未来を知っているんだよ。我々は。だから完全犯罪が成立した未来を変えている」


頭がおかしくなりそうだ。未来を知っている?未来を変えている?人間離れしすぎてて意味がわからない。


???「コイツは人当たりのいい笑顔で女性に近づき、こういう路地に連れ込み殺害していた。

私とすれ違ったまま帰っていった場合、コイツは「ここらで別れよう」と言って私を追いかけてきて

殺そうとしていただろう」


『そんな……』


???「まぁ言葉でいくら言っても理解はできないよね。この動画を見てみて」


『はい……。ん?こ、これって……?どういうことです?』


???「数十分後だね。本来の」


『本来の?』

そう、その動画には優が映っており、この路地の奥で俺と優が別れて帰路に着いている映像だ。俺と別れた後、

すごく険しい、だが口元は不快に歪んでニヤついているような顔の優が戻ってきた。あんな顔をみたのは初めてだ。

そして、この人にいつもの笑顔で話しかけようとしている。

そこから先は、今と変わらない。優が襲い掛かろうとするが、この人に返り討ちにあい、死んでいる。


この動画が本当かなどと考えても意味がないのだろう。この路地に俺がきたのは初めてだし、最初に俺と別れている

シーンも映っていたし。だが、俺からするといきなり仲の良かった友達が殺され、その友達が殺人鬼だったと言われても

全然ピンとこない。色々起きすぎて涙すらでないし、悲しみの感情も沸かない。


動画を見ながら呆然としていると、続きが流れる。それは、なぜか俺もここに戻ってきていて今の現場を見ている。


『これって、本来の方でも優が死ぬのを目撃するって事ですか?』


???「そうなるね。今でも後でも目撃するなら今でいいかなーって思って」

ちょっとキャラ崩れてきてるなこの人……。


???「まぁ、詳しい話は3つ目の選択肢を選んだら教えよう。他2つを選んだ場合はこれ以上話をしても意味

がないからね。さぁどうする?」


『わかりました。じゃぁ3つ……』


???「あ、3つ目を選んだ場合だけど、今までの生活と大分かわる事になると思うよ」


『え?家に帰れないとか学校辞めるとかですか?』


???「場合によってはそうだね。仲間になると言う事は、色々手伝ってもらう事になるだろうからね」


『わかりました。3つ目の選択肢でお願いします。殺人鬼だったと聞いた今、日常に戻って優の死を悼む

自分がなんだか滑稽な気がして。それに痛いの嫌だし』


???「そうか、よかった。面倒事が減った。2つ目を選んだ場合は腕とか無くす覚悟をして貰う予定だったから。」

この人こえーよ!負傷する部位選ばせてあげるって言ってたけど負傷ってレベルじゃねぇよ!人体欠損するじゃねぇか!

3つ目選んでよかった。



『……まず何点か聞きたいんですが、いいですか?』


???「なんだい?」


『失礼かもしれませんが、あなたは男性でいいんでしょうか?俺には男性に見えるのですが、優には女性に見えたみたいで』


???「ああ、失礼じゃないよ。人によって男性に見えたり女性に見えたりする能力なんだよね。

犯人が男性なら女性に見えるように。女性の犯人なら男性に見えるように。油断をさせる意味でも異性のほうが楽だからね。

そして、犯人ではない人にはランダムで、どちらに見えるかは解らないね。見たいように見えるみたい。

こんな暗い路地に1人でいるなんて男だろうと無意識に君が思ったから、私を男と認識したんじゃないかな。

あとは~、喋り方もどちらの性別でも問題ないような喋り方をこころがけているんだ」


『っ!?』そう言われ瞬きをした瞬間、すごく綺麗な女性に見えた。どうなってるんだ。さっきまでは短髪の黒髪の男だったのに。

今は胸辺りまである長い黒髪で前髪パッツンのすごく好みな女性の姿だ。


『顔の造形や髪型も人によって違うように見えるのですか?』


???「髪型はそうだね。男は短髪、女は長髪、どっちも黒髪で見えるみたい。顔の造形は男でも女でも同じらしいよ。

自分で鏡を見ても解らないのが困るんだけどね。まぁ、殺す相手にはその相手の異性に見えるのだからそこまで問題は無いね。

あ、どっちが本来の私か気になるかい?フフッ、それは内緒♪」


ぐはぁっ!可愛い。女性であって欲しいなぁ。心の底からそう思った。

『あ、あと、なんとお呼びすればいいですか?』


???「私はヨミ。ヨミと呼んでくれるかな。呼び捨てで構わないよ」

名前からして本来の姿は女性じゃね?勝った!何に勝ったかは解らないが誇らしい気持ちだ。だがまだ解らないぞ!

ヨミオとかを略してる可能性もあるし、最近では名前ではどっちか解らない事も多々あるしな!だが女性のはずだ!オネガイシマス。



『ヨ……ヨミ…………さん。いきなり呼び捨てはハードルが高すぎます。追々でいいですか』


ヨミ「おっけー」

急にフレンドリーになったなこの人。つか、優が死んだのに普通に会話してるけどいいんだろうか。

まぁ、襲おうとしてる動画を見た事で、なんとも言えない複雑な気持ちだ。


ヨミ「そういえば、君の名前は何て言うんだい?」


『あ、俺はイツキです。イツキと呼んでください』


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