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精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた  作者: アイイロモンペ
第5章 冬休み、南部地方への旅
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第91話 知らぬは…

 診療所を訪れる人が途絶えたので、わたしはおチビちゃんに怪しい人はまだいるかと尋ねた。

まだこちらを窺っているという答えがあったので、その人に付いて行って何を企んでいるのか調べて欲しいとおチビちゃん達にお願いした。


 おチビちゃん達は黒い人は瘴気が強いからイヤだと尾行を渋ってたが、わたしのマナを好きなだけ吸っても良いよと言ったら掌を返すように尾行に行ってしまった。

 いや、そんなにたくさんで行かなくてもいいのに…。


 今日の後片付けをして別荘に帰ったら程なくして僅かずつ情報が集まってきた。

 僅かずつだよ、だっておチビちゃんが小出ししにするから。


(黒い人、港の外れの建物に入った。) とあるおチビちゃんが、


(汚い建物、安宿って黒い人が言ってる。)と別のおチビちゃんが、


(黒い人が四人いる、同じ部屋)とまた別のおチビちゃんが、


おチビちゃん達が列を成して一言ずつ報告して来るんだよ。



 ちなみにおチビちゃん達に報告能力がない訳じゃないよ。

いつもはちゃんと会話しているんだから。

これでいてわたしの何十倍も生きて(?)いるんだ、わたしより遥かに頭が良いんだよ。


 みんなで少しずつ報告すれば、みんなでわたしのマナを分けあえると思ってこうしているんだ。

わたしにくっついてマナを吸う様子が微笑ましいので、おチビちゃんの好きにさせている。

おチビちゃんの吸っていくマナなんて、クロノスさんにお願いをするときに比べたら可愛いものだ。

 数が多すぎていつもはおチビちゃん一人一人と話す機会がないので良い機会だと思うことにしたよ。



     **********



 おチビちゃん達の報告第一弾の列が途切れたので、聞いたことをまとめるとこんな感じだ。


 あの男の人はやっぱり『黒の使徒』の教団員らしい、なんでも救済神官っていう身分のようだ。

 救済と言っても貧しい人たちの生活を救済する訳ではなく、『黒の使徒』の教義に反する人を『魂を救済する』という名目で殺害するのが仕事らしい。イヤな救済もあったもんだ…。

 あの人たちの標的は、わたし、ミーナちゃん、ヴィクトーリアさん、ハイジさんの四人みたいだ。

 今のところ、わたし達が狙われる理由は聞けていないようだ。まあ、予想はできるけど。


 男達は四人組で街外れの安宿に逗留しているようだ。狭くて汚い四人部屋だって。

 なんでも、ヴィーナヴァルトへ行く予定が雪のせいでポルトに足止めされているらしい。

 安宿住まいに不平を言っていたそうなので、普段はもっと良い待遇みたいだね。

 ポルトでわたし達を見つけてここで始末してしまおうと考えたようだよ。さっさと仕事を済ませて帝国に帰りたいんだって。

 虎視眈々と機会を窺っていたら、昨日の誘拐騒ぎに出くわしたらしい。


 彼らにとっても標的が護衛なしで街にいた昨日は絶好の機会だったようだ。

 彼らも襲撃のタイミングを見計らっていたようで、誘拐犯に先を越されて悔しい思いをしたという会話をしていたって。


 今日は、昨日の誘拐騒ぎでわたし達に対する警護が強化されているかを確かめに来たみたい。

 今日の警備体制は前と変わってないよ。王族が二人もいるから最初から警戒は厳重だ。


 今日は平民組だけになることが無かったので、警備体制が変わったかは分からなかったはず。


 おチビちゃん達は、彼らが具体的にどうするかの話は今のところ聞けてないようだ。

 こちらの警備体制が思っていたより厳重なので、慎重になっているみたいな会話をしていたらしい。

すぐに襲われるってことは無いのかな?



     **********



 夕食後、みんなでお茶を飲みながら、おチビちゃんから聞いたことをまとめてミルトさん達に報告した。


 話を聞いたヴィクトーリアさんは『なんて愚かなことを…』と呆れていた。



 ミルトさんの話では、向こうが何もしていない以上捕まえることはできないって。

 警戒を一層厳重にして襲撃に備えることにするって、ミルトさんは言っている。

 公爵に相談して護衛を増やしてもらうらしい。


 とりあえず、おチビちゃん達には引き続き彼らを見張ってもらうことになった。

彼らは情報がこちらに筒抜けになっているとは夢にも思わないだろうね。


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