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精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた  作者: アイイロモンペ
第2章 オストマルク王立学園
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第25話 フローラ姫とミルト皇太子妃

 フローラ王女の治療を行ってから三日後、わたしとミーナちゃんはウンディーネおかあさんと一緒に再び精霊の泉を訪れた。

 今回は事前に伝えてあったようで。泉の前に王様が待ち受けていた。

本当にフットワーク軽いな、この王様。


 王様の案内で、フローラ王女の部屋を訪れると、壮年の美男美女とフローラ王女が姿勢を正して待っていた。


「泉の精霊様、こちらが私の長男のトロイ、フローラの父親でこの国の皇太子です。

その隣にいるのが、フローラの母親で皇太子妃のミルトです。」


 王様が、壮年の二人を紹介してくれた。フローラ王女の両親なんだ。


「フローラ、こちらがこの国の王祖様の育ての親であられる泉の精霊様だ。

それと、一緒におられるのがフローラの治療をしてくれたティターニア様とミーナ様だ。

ご挨拶をなさい。」


 王様が、わたし達の紹介をしてくれた。わたし達を様付けしてよぶ必要ないのに。


「泉の精霊様、ティターニア様、ミーナ様、フローラでございます。

この度は、わたくしが危ないところお救いいただき有り難うございました。」


「うむ、礼儀正しい良い子だ。しっかりとヴァイスハイトの血を受け継いでいるようであるな。

これからも、心清く成長するのであるぞ。

 それで今日ここを訪れた用件であるが、フローラ、お前に精霊の力を借りるすべを授けようと思ってな。

具体的なやり方は、この二人に教えてもらうとよい。

 チビ共、これ以降フローラの前に姿を現すことを許可する、同時にフローラの望みに従い力を貸すことも許す。」


「可愛い…、こちらも精霊様ですか?」


「そうだぞ、今見えるようになった精霊達は、普段からお前を慕って傍におったのだが、人と関わりを持たないという精霊の掟に従い姿を隠していたのだ。

そのクラスの精霊は自分と相性の良い者にしか見えない。

逆に言うと、今お前が見える精霊はお前と相性が良いという事だ、色々と力を貸してくれるだろう。」


フローラ王女に見えているのは十五体くらいか?

ミーナちゃんと同じくらいと思ってミーナちゃんを見たら、倍くらいに増えていた。

ここにいるおチビたちは、ミーナちゃんと相性が良いらしい、名前をつけるの大変だ。



「これが、精霊…?」


 そのときあらぬ方向から声がした。

声の方向を見ると、おチビが三体、ミルト皇太子妃にしがみついている。

 ミルト皇太子妃の頭に光の精霊が一体、肩の上に水の精霊が一体、ふくらはぎに木の精霊が一体しがみついて離れそうにない。


「ほう、これは驚いた。ずいぶんと懐かれているではないか。

よいよい、お前達、ミルトの力になってやると良い。

ミルトよ、予定外ではあるがおぬしにも精霊の力を借りる素養があったようだ。

三体と数は少ないが、良い属性のものなので仲良くなれば色々と便利だぞ。」



 確かに、光と水の精霊さんの力を借りればたいていの怪我や病気は治せるし、水と木の精霊さんの力を借りれば作物の実りは保証されたようなものだ。

 まあ、一体ずつじゃ、そんな大きなことは出来ないけどね。



      **********



 今は、フローラ王女の部屋には、フロ-ラ王女、ミルト皇太子妃、ミーナちゃん、そしてわたしがいる。

 これから精霊さんにお願いをする練習だ。


 その前に、


「フローラ王女様、わたしのことはターニャとお呼びください。様付けは不要です。」


「わたしもミーナとお呼びください。平民の私が王族の方に様付けされるなど恐れ多いです。」


 ミーナちゃんの言うとおり、王女様に様付けされてしまうと何か落ち着かない。


「いえ、ティターニア様も、ミーナ様も王祖様と同格のお方、とても呼び捨てになど出来ませんわ。」


「でも、そういう意味なら、フローラ王女様もウンディーネおかあさんの加護を貰ったんだから王祖様と同格だよ。

だったら、わたしはフローラちゃんって呼ぶから、わたしのことはターニャって呼んで。」


「そうおっしゃるのでしたら、ターニャちゃん、ミーナちゃんと呼ばせていただきます。」



 こうしてお互いの呼び方を決めて、さっそく精霊の力の使い方の練習を始めた。

 ミーナちゃんの教えたとこと同じ、一番大事なのはおチビちゃん達と仲良くなって意思の疎通に齟齬をなくすこと。

 自分のやりたいことをはっきりおチビちゃんに伝えられないと、思ったとおりの結果にならないから。



 それと、おチビちゃんにご褒美としてあげるマナの放出の仕方、最初はこれが難しい。

 ミーナちゃんのときと同じように、わたしはフローラちゃんの手を取って指先からわたしのマナを流し込んでマナの感覚を掴んでもらい、マナを引き上げることにより外に放出する感覚を掴んでもらった。


 同じ事をミルト皇太子妃にもしてみたが、驚くことにミルト皇太子妃は一発で出来るようになってしまった。

 さすがに三体のおチビちゃんにべったり懐かれていただけあって、マナの放出を覚えるとあっという間に精霊の力を使いこなしていた。


「皇太子妃様、凄いです。もう蕾の花を咲かせることが出来るんですね。」


 フローラちゃんがマナの放出を出来るようになったので、今日の練習を終わりにしようかと思っていたところで、ミルト皇太子妃が花瓶に挿してある花の蕾を咲かせて見せた。


「ミーナちゃん、皇太子妃様なんて固いです。泉の精霊様をウンディーネおばさまと呼んでいるですから、私のこともミルトおばさまと呼んでください。」


 皇太子妃を賞賛したミーナちゃんに対する返答はこれだった。

さすがにミーナちゃんは躊躇ったが押しの強い皇太子妃に押し切られて『ミルトおばさま』と呼ぶことになってしまった。



     ************



 練習を終えてみんなで談笑していたら、ウンディーネおかあさんが王様と一緒に戻って来た。


「ターニャ、ミーナ、今度の休日に精霊神殿で奉仕活動として、病気と怪我の治療を行うぞ。

当然、フローラにも精霊神殿の看板娘として参加してもらうから、それまでに治癒術を仕込んでおくのだぞ。」


 いきなりですね、ウンディーネおかあさん。

 どうしたのか訊いてみると、例の精霊神殿への嫌がらせの件を王様から聞いたらしい。

 ウンディーネおかあさんも少し精霊神殿の権威を回復しようと思ったそうだ。

 精霊神殿を祀っている王家の姫が、王祖様が使っていたという奇跡の力を使って見せれば宣伝効果が抜群と踏んだようだ。



 ウンディーネかあさんの無茶振りで、わたし達は次の休日に精霊神殿で奉仕活動をすることになった。


 ところで、ミルトおばさまが、やる気満々なのですが良いのでしょうか?


読んでいただき有り難うございます。


ブクマしてくださった方、有り難うございました。

凄く嬉しいです。

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