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精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた  作者: アイイロモンペ
第2章 オストマルク王立学園
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第17話 魔法の授業と闖入者

 入学式から一週間ほど過ぎて、大分学園の雰囲気にも慣れてきた。

でも、この一週間で話らしい話ができたのはクラーラちゃんだけ。

みんな、わたし達二人を遠巻きに見ている感じ。

特に悪意は感じられないので気にしていない。

みんな、『色なし』にどう接してよいか戸惑っているみたいに見える。



 今日の授業は、午前中魔法の授業があって、午後からは魔法の実習だって。

 わたしは、人の使う魔法って入学試験の時にブリュードが使った魔法しか見たことないから楽しみなんだ。

 みんなどんな風に魔法を使うんだろう? ブリュードみたいに一々恥ずかしい言葉を言うのかな。



     **********



 ウートマン先生がやってきて魔法の授業が始まる。


「今日から魔法の授業を始めます。

魔法には基本的な属性が四つあることはみんな知っていると思います。

火、水、風、土ですね。

人により得意、不得意はあるものの、魔法が使える人は基本属性は全て使えます。

ですから、今使えない属性のある人は頑張って練習してください。」


 なるほど、魔法が使える人は全属性が使えるのか。

 ブリュードが二つの属性が使えるって威張っていたから、一つの属性しか使えないのが普通なのかと思ってた。

 このクラスの子は、入学試験の魔法実技で三つ以上課題をこなした子ばかりだから、少なくとも三属性は使えるんだね。



「かつては、光属性、植物属性という魔法があり、王祖ヴァイスハイト様が得意とされたという記録があります。

 現在は使える者がいないため実際にあったかを疑問視する人もいますが、二千年前までは王祖様以外にも使えたとする記録があることから、かつては存在し何らかの理由で後世に受け継ぐことができなかったというのが主流の考えです。

 あと、水属性の魔法の中に治癒魔法がありますが、使える人が少ないので治癒魔法だけを別の魔法として扱うこともあります。」



 人が使う魔法は瘴気を利用しているから、瘴気を浄化する光の精霊や木の精霊の術を人が魔法でマネすることは難しいよね。

 『癒しの水』って水のおチビちゃん達が簡単に使ってくれるから気にしたことなかったんだけど、魔法で模倣するのが結構難しいらしい。わたしにも何でだかわからないや。



「次にどの属性の魔法が大事かということについて説明します。

実際のところは、どの属性の魔法も大事なのです。

 しかし、どの属性の魔法を重視するかはそれぞれの国や文化によって違いが出てきます。

 わたし達の国は農業を一番大事にしているので、農耕に利用できる水属性と土属性を重視しており、国や貴族に仕える際にも水属性と土属性が得意な人は有利だと言われています。

 一方で、戦争によって領土を拡大してきたヴェストランテ帝国では、攻撃に使える火属性や風属性の魔法を重視していると聞きます。」



 うん、作物を作るのに土作りと水遣りは大事だよね。大規模な水の魔法が使えれば日照りにも対応できるしね。

 でも、風属性の魔法も、草刈とかに使えるんじゃないかな。

 火属性の魔法も、刈った草を灰にして土に混ぜ込んで肥料にするとか出来そうだけど。



「では、実際に魔法を使う際のコツや魔力の効率的な使い方などは、次回の授業から始めましょう。

午後の実習は、実際にわたし達の国で求められている魔法の使い方を体験してもらいましょう。」


 人は、魔法を発動する力を魔力と呼んでいるんだ、瘴気と同じものだとは知らないんだろうね。



       **********



 午前中の魔法の授業も、そろそろ終わりというときに教室の入り口が無造作に開けられた。


「一番優秀なクラスだと聞いたから覗きに来てやったが、このクラスの魔法の授業も魔法を百姓の道具として使うことを教えているのか。

 偉大なる神の御業である魔法をこのようなつまらないことに使うなど嘆かわしい。」


 何か変な奴が現れた。


「何だね君は!今はまだ授業中だ!授業の邪魔をするのは重大な校則違反だぞ、早く自分の教室に戻りなさい。」


 お、珍しく温厚なウートマン先生が本気で怒っている。


「うるさい!われに命令するな、学園の教師ごときが。われを誰と心得る。偉大なるヴェストランテ帝国の……。」


「誰であろうと、校内では生徒は教師の指示に従うと校則に書いてある。

それに、君は留学生か。であれば、尚更だ、留学する際に君のご両親はわが国の法律及びこの学園の校則に従うという念証にサインしているはずだ。

君が何者であろうとここでは私の指示に従う義務があるのがわからないのか。」


 ウートマン先生が闖入者に最後まで言わせず畳み掛けた。

しかし、こいつ「偉大なる…」というフレーズが好きだな、何を偉ぶりたいんだ?


「うるさい、うるさい、陛下より留学して見識を広げてこいと言われたから来たのに、入学試験ではみみっちい小技を試すような魔法実技をやらされて、最下位のクラスとか納得できるか。

 魔法実技の試験といえばわが国では、離れた的を魔法によっていかに破壊するかを競うものなどが定番だ。破壊力を評価しない試験なんかに意味はないだろうが。

 われが最下位クラスなのに、そこの『色なし』が特別クラスだとふざけるのも大概にしろ、入学試験に不正があったに違いない。」



 何か偉そうなこと言ってたけど、結局は自分が『色なし』よりも下の待遇なのが気に食わなくて、いちゃもん付けに来ただけなのか。しょうもない。



「教師のいうことが聞けないのならやむをえません。保護者に来ていただいて退学処分にしましょう。学園の規則に従わず、授業妨害するなど論外です。

今まで、帝国からこられた留学生の方は皆さん優秀だったのですがね。」



「われを退学にするだと……、この無礼者!!」


激昂した闖入者が、火の玉を作り出そうとしている。


(あ、危ない、火のおチビちゃんあれの発動を止めて!!)


「キャンセル!!」


 わたしの体からマナが吸われる感触と共に、闖入者の手のひらに集まっていた炎が霧散した。

他人が発動しようとしている魔法を乗っ取り、発動をキャンセルするのはおチビちゃんにとっても高等テクニックらしく代償がひどく多い。



「われの魔法が打ち消されただと?」


何が起きたのか理解していない闖入者が呆然としている。


ウートマン先生が、わたしを見て、「君はあんな高等魔法が使えるのかね?」と尋ねてきた。


いえ、魔法ではないんですけど。


読んでいただき有り難うございます。


ブクマしてくださった方、有り難うございました。

凄く嬉しいです。

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