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人の屍の上に幸せは成り立つ  作者: 梨おにぎり
3/3

part1

うだるような暑さの八月二日、朝自宅のせんべい布団で僕は目を覚ます。

テレビをつけるとニュースキャスターが

「明日、月曜日は仕事始め!最高のお天気日和となります!みなさん元気に熱中症に気を付けてくださいね~!」

と、いう元気な声を響かせている。


一体僕は何回このニュースを見ればいいのだろうか…?そろそろ嫌になってくる…

毎回同じ電車に揺られ。

毎回同じ仕事場に通い。

毎回同じ言葉を聞く。

ほんと、鬱になりそうだ…


と、ここまで聞いてみんなは一体どう思うんだろうか?

「まーたサラリーマンの愚痴かよ…」

とか、そんな事を思うのかな?

もしかしたら

「毎日同じことなんてない!見つけてないだけで人生は毎日楽しく違う事で溢れている!」

とでも言うやつが出てくるのかもね。

うん、そうかもね。確かに毎日が毎日同じことなんてありえない。

そう、同じ日がループでもしない限り毎日が同じだなんてありえないはずなんだよ。

そんな「予想外」のことなんて起きるはずがないんだ。

ましてや()()()()予想外のことなんて起きるはずがないんだ。


そう、ありえないんだ。

何故かって?

まぁそんなに焦らないでくれよ。これは僕の書いている体験談なんだから、好きに書かせてくれ。この僕の身に実際に降りかかった「予想外」をみんなに知ってもらうための体験談なんだからさ。





まず、僕の生い立ちを聞いてくれないかな。

僕が生まれたのは本当に平凡な、平々凡々な家庭だった。

特にお金持ちなわけでもなく両親が変な宗教にハマっているわけでもなく家庭崩壊やらそんなものとは全く無縁の、紹介するのが本当に申し訳ないくらい普通の家庭に生まれた。

そんな普通の家庭に生まれたのが僕なわけだが、僕は普通ではなかった。

いや、僕にとっては普通なのだけれど周りの人からしてみれば普通じゃなかった、と言う方が正しいのだろうか?

だって僕にとっては本当に普通に、平凡に人生を送っていただけなのだからそれが普通なんだと思うだろう。

最初にこれが普通じゃないだろうか…?と思ったのは父とのとある話だった。

父はとある食事の席で

「お前には俺と同じ自衛隊を目指して欲しいなぁ…」

と僕に呟いた。

この言葉が僕にとっては本当に意味がわからなかった。恐らくこれを聞いているみんなは何がおかしいのかなんてわからないだろう。実際おかしくないのだから分かるはずがない。

そして疑惑が確信に変わった瞬間は中学二年生の時に一人の男子がとある女子に告白し、振られたのを見たからだった。

その時に僕が思ったことは「なぜ振られるとわかっているのに告白しているんだろうか…?」ということだった。

もう、なんとなくみんな気づいているだろうと思う。

そう、僕は「未来が見える」

それこそ一秒先に右足を出すのか、左足を出すのかということから死ぬまでの何十年も先の未来まで。

勿論自分の未来も知っている。僕は48歳で脱サラしてコーヒショップを始めた矢先、買い出しに行く途中で事故死してしまう予定だ。

そしてよくあるタイムリープだったりの物語では

「死の予定は覆せる!」

「未来を俺が変えてやる…!!」

なんて馬鹿みたいな事を言っているのだが、未来は変わらない。

それはもう純然たる事実でしかないんだから。

さっき言ったと思うが右足を出すか左足を出すかまでもうわかっていると言ったと思う。

もしも「一秒後右足を一歩目に歩き出す」という未来があるとして、僕が一秒後に立ち止まっていたり左足から歩き出したらどうなると思う?

そう、その答えは「巻き戻る」だ。

一秒前に「巻き戻る」

そう、そんな小さな未来ですら決められている内容は変えられないものなんだ。つまりそんな決められた人生を歩んできた僕にとって「予想外」だったりなんてことはありえないっていうことなんだ。


さて、ここまでの大前提、僕の生い立ちだったりはなんとなくわかってくれたかなと思う。

分かってくれてなくてもいい。ただこの2つのルールだけ覚えておいてくれれば正直読み飛ばしてくれても構わない。

1、僕は自分のも他人のも運命を見ることが出来る。

2、運命を変えようとしたら変わる前に巻き戻される(自分、他人含めて運命は変えられない)。

というこの2つだけでも覚えておいて欲しい。


それでは冒頭の8月2日の10日前の8月2日から話し始めさせてもらう事にしようと思う。


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