その97.暗がりのドキドキと、女の子とのドキッドキ、これが吊橋効果って奴??
その96を大幅に編集致しました〜
宜しければまた見てやって下さい。
「ッフ……良い戦いだった」
なにが良い戦いだったのかは知らないが、縁は満足げな表情を見せていた。
僕から手を離すと、ふぃーっ!とか言いながら汗を腕で拭っている。
間に合ったらしい。
知らんけど。
「ぐぇっほ!ごっほ!!」
すざまじい咳をしたのは僕。
人が苦しんでんのに君はなにを良い汗かいてんですか……。
今は辛うじて立っていますけどね。
最早ね、手を握ってたとかどーでもいいです。
あまりにものスピードで、息をする余裕すら無い程だったのだ。
今の僕は物凄くフラフラの状況。
これはボロ雑巾ですか? いいえ、唯のゴミです。
英語の教科書風に言えばこんな具合だ。
「……と、大丈夫?」
ようやくゴミ(僕)に気が付いてくれたらしい。
今の僕が大丈夫かどうか見て解らないなら、眼科に行くことを進めるよ。
「大丈夫では無いよ」
咳き込みつつ僕は答える。
今回は暴言は無しらしいので、先程のは心の中だけの言葉だ。
苦しみつつも前を見ると、そこにあったのは、降りる階段。
暗がりの先は見えない上に、一言で言うのであれば、寂れたような感じだ。
周りの休日を楽しんでいる人達も、忙しそうに走っているスーツの方々も、一切見ようとしない。
それ程、目立つことの無いような、薄暗い暗がりへ続く階段だ。
「うわぁ〜、ドキドキするなー!」
と、期待を込めたように女の子らしい声を上げる縁は、目は爛々と輝かせている
え? ドキドキ? 僕は寧ろお化けとかでそうでドキドキしますが。
というか、これが男がいなかったら入れない場所? 未だに解らない。
「あのさ、未だに解らないんだけど」
率直に疑問を聞いてみる。
「へ? 何が?」
「いや、何処に行くのかも、何で男が必要なのかも」
僕の言葉に、何かを察したのか縁はいきなり気恥かしそうに下を向いた。
「何処行くのかはー、今から行ったら解るけド……」
そこで、目線が右往左往。
なんなんだ? 一体?
「男……ていうか、男女じゃないと……その、入れないん……だ」
「へ?」
僕の間抜けな声も無視して、真っ赤な顔のまま、
「ほ、ほら! 行こう!」
と、言いながら再び僕の手を握って暗闇の中へと連れ込んで行く。
僕は、と言うと。
言葉の意味が変な風にしか受け止められず、流されるがままに階段を下りていく。
階段を降りた所には、古臭い鉄のドアがあった。
暗がりで良くは見えないのだが、それ以上の物は無く、目の前に立つ僕等2人だけ。
躊躇も無く縁はドアに手を掛けた。
ガチャッという小気味の良い音と共にドアが開く。
開いた先にあったのは、今の暗がり以上の暗さ。
暗い、というよりは、闇と言った具合だ。
外の明るい朝日を拒むようなこの闇に、僕は一歩退いていた。
しかし、手を繋いでいる縁は怖がる素振りも見せずに堂々とその闇の中に入っていく。
手を繋いでいるわけで、僕も嫌々引っ張られて中に入る。
2,3歩その中を進んだ辺りで、バタンッという音が後ろでした。
無意識にビクっと体が震える。
後ろのドアが無造作に閉まったようだ。
そして、続けざまにガチャリッという鍵の閉まる音。
その明らかな人為的な行動に慌てて振り向いてしまった。
振り向いた先も闇。何も見えない空間であることに、更に焦りを覚える。
それだけで無く、鍵の2重がさねであるチェーンのジャラッという金属音に、体が強張る。
「時間になったんだよ」
暗がりの中でも、縁の声はハッキリと耳に入ってきた。
その声に、つい安心してしまった。
そして、僕が強く縁の手を握り締めていることに気づいた。
慌てて手の力を緩めるも、縁が僕の手を握っているから離れることは無い。
何も見えない状態で、ついつい握っている手に意識が向いてしまう。
縁の暖かい手の体温と、感触が伝わってくる。
自分でも真っ赤になっているのは解ってる。
それ位に、意識してしまっている。
「手、は、離さないの?」
裏返りつつも、そう提案してみる。
相手は暴力女だぞ!? 落ち着け! 落ち着くんだ僕!!
「ここじゃ、こうしてなきゃ駄目だから」
縁がそう言って、強く手を握り締めた。
その言葉と、その握り締めた手で、僕の体温は更に急上昇。
「ん? 手、熱いよ? どしたの?」
「き、気にしなくていいですよー!?」
慌ててそう答えると、縁は何も答えずにいてくれた。
あー…ノロの次はインフルエンザですかい……殺せよー私が嫌いなら殺せよ神様ー……
あー、しんどいー……