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その95.ある意味、不幸な約束の休日……僕はどうなるんですか、

 僕が現在立っている所は、駅前。

 いつもなら忙しそうなサラリーマンでごった返すここだが、今は別の意味でごったかえしている。

 やはり休みの日となると、カップルや友人と外出を楽しむ者達が多いらしい。

 暑苦しい制服なんて脱いで、私服で楽しそうにする姿は……楽しそうだ。僕のボキャブラリーも貧相らしい。

 そんな楽しそうな皆様の中、一人、悲しい表情を浮かべているのは僕だ。

 僕も暑苦しい制服を脱ぎ捨てて、簡単な私服なのだけれど。


 ……まぁアレだ。

 結局、約束と言うわけで、今日がその日曜なのだ。

 そして待ち合わせ時間から約20分は過ぎているだろうか。

 アレか、僕を切れさせて楽しいか。

 僕はその場で大きく大きく溜息を零した。

 少し前の日に来た志保ちゃんからの電話の内容は。

 取り合えず、色々省くと『縁を楽しませてあげて欲しい』らしい。

 言葉の意図は取れないが、結構真剣なご様子だったので、いつもらしく『嫌だ』等とは言えなかったわけだ。

 そしてその後の、次の日。

 気まずくなると思ったミホとの関係だったが、

 何事も無かったように、満面の笑みでミホは言った。


 『アッハッハッハ! デート! どうなったか教えてよん?』


 流石に男女の外出をストーキングする気は無いらしい。

 …………というか、やはりミホは勘違いをしている。

 縁の言い分は、と言うと、男性がいなければ入れない場所があるらしい。

 ま、だったら仕方無いといっていいのか。 


 取り合えず、遅い、ぶっちゃけ集合時間から5分ぐらい遅れてきた僕が言うのもアレなのだが。


「……」

 大勢の中、待ち合わせをしているのは僕だけでは無い。

 そして、待ち合わせの人物と出会っては、楽しそうに消えていく人々のなか待ってるのは辛い。

 寂しいとかじゃないけど……嘘です。

 寂しいし、辛いです。


帰ろうかな……とか考えた瞬間、

 

「だ、だーれだ!」

 と、後ろからの戸惑った声と共に目の前が真っ暗になった。

 目を防がれたらし……い?


「ぎいぃぃぃぃぃぃぃやあああああ!!!」

 人が大勢いるというのに、僕はすざまじい声を上げていた。


「目が!目ぐぁぁぁぁぁ!!!」

 そう、どこぞの馬鹿、っていうか誰かは予想出来るのだが、思いっきり目ん玉に指を食い込ませたのだ。

 痛いなんてものじゃありません、両目とも抉られるかと。

 僕の悲しい大声に驚いたのか、目隠しの主は慌てて手を退けた様子。

 必死で目を擦る。

 うん、目、あるね、良かった。

「そ、そんな驚かなくてもいいじゃない」

 驚いてんじゃない! 痛がってんだよ!!

 そんな控えめな声に怨めしい眼を向ける。

 

 そこに居たのは、暴力熱血女……?

 綺麗に着飾った女の子がいた。

 片方だけ絞っていたサイドテールは、今は無く。

 綺麗なストレートの髪型、初めて出会った時の髪型だ。

 可愛らしい冬服を纏い、下も女の子らしいスカート。

 若干顔を赤らめてぶっきらぼうな表情をしているのは何か意味があるのか……


 というか、この女がスカートを穿いてくるとは……。

 いやいや、学校で制服のスカートは良く見てましたけども、普通に私服はズボンで来るかと。

 

 まじまじと見ていた僕に、縁はジロリと睨みを利かせた。

「……なによ」

 何故か、笑いたきゃ笑えコラ! ああん!? みたいな感じである。

 笑っていいのだろうか、駄目だろうな……。


「別に、なんか服の感じがイメージと違った、て、だけ」

 適当に言って、目線を逸らす。

 僕の言葉に、縁の表情は、イライラからオロオロへ。

「こ、この服は、水歩さんが用意して……」


 縁の言い分だと、今日の日曜、縁の家へ突然ミホは来たらしい。

 ごっついカバンと共に、

 そして、有無を言わせずにごっついカバンから大量の服を取り出し、

 縁に無理矢理着せたり脱がせたりした後、『この服良い!! 絶対に今日着ていってね!!』と言って、サッサと帰ったらしい。

 成る程……遅れたのは、ミホのせいだな。

 なんというか、相変わらず嵐のような女だな。

 


「本当は、もっと適当な服で行くつもりだったんだけど……」

 そう言って、恥かしそうに縁は俯くが、確かに服のセンスは良いらしい。

 なんというか……うん、可愛いっちゃ可愛いわけで……。


「じゃぁさっきの目潰しは何?」


 そう、それである。

 意味が解らない、そして未だに痛い。

「……目潰しのつもりは無かったんだけど」

 マジか、あれは殺意がこもってた気がするのは気のせいか。


「……」

 ジトーっと胡散臭そうに見る僕に、縁は慌てて口を開く。

「昨日電話で、志保が……」


 縁の言い分パート2。

 昨日、志保ちゃんから電話があり、

『女の子らしいとこ見せたらゴリラとか、暴力女とか言われなくなるよ』と、有無を言わせず説き伏せてきたらしい。

 それでか、というか君はさっきの行動が女の子らしいと……んで、僕の悪口気にしてたのね。

 あんまり気にしてる風に見えなかったけど。

 そういや僕にも電話があったな。


 つか、あの姉妹はなにやってんの?

  


「さ! さぁ行こうよ!」

 なにか空気がおかしくなったのを察知したのか、縁が先を歩き出した。

 取り合えず僕も後を追う。

 僕の、

 長い日曜日が始まった。

旅行行ってて更新遅れました…すません……

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