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その8.小学校で食い方で自慢する奴が居た。今思えばどうでもいい


「ハ、ハハ……」

 笑えているという事は、死んではいないのね……。

 僕の顔面のすぐ横に少女の膝があった。

 廊下の地面は、少女の全体重を掛けた地獄の断頭台(膝落とし)により硬い床はクレーターの 跡の様に出来ていた。

 半泣きの僕の顔に飛び散った床の破片が痛い…嫌、怖い。


 少女がゆっくりと足を退ける。

 顔が近い、少女の黒い髪が僕の頬を撫でる程の近さだ。

良く言えば押し倒されているような形だが、悪く言えば逃げ場が無い状態だ。


 真正面に、大きな瞳を僕に向けた。


 むっとした少女の顔が直ぐそこにあった。


 あれ?、さっきの見た目よりかは表情は普通に見えた。

 唯の不機嫌な少女の表情。


 不機嫌な表情のまま、少女は目の前で言った。

「ごめんなさい、は?」


「は?」

 ガキか?


 少女はもう一度、口を開く。

「ごめんなさい、は?」


「ガキか?」

 いかん声に出た。


 僕の直ぐ横に、少女の拳が廊下に突き刺さった。

 ドギャァァ!という音で威力を連想して頂きたい。

「ごめんなさい」

 これ脅しだろ、絶対。

 女に脅されてるとか、もうプライドとか消えてるよ。

 星になりたい。


 少女は不機嫌な表情から一転し、満面の笑みに変わった。

「よろしい!」

 そう言うと、僕の上から直ぐに退いた。




 なんなんだよ。

 またのられては堪らない。

 僕も続いて、立ち上がろうとする。

 上半身だけ起きあげると、少女は壁にもたれ掛かって座っていた。

 気づくのに遅れたが、少女の手にはスーパーの袋と思われるビニール袋が握られている。

 少女と目が合う、座れと言わんばかりに自分の横の地面をバシバシと叩いていた。


 とりあえず大人しく従っておく、ぶっちゃけ怖いから。


 隣に座ると、しばし沈黙。

 暴力女の方を見ないようにする。

 見たらまた何か命令されたらヤだし。


 そんな僕の思いも無視して、暴力女は普通に僕の脇腹をつっついていた。


「なにすんのさ……」

 意地でも暴力女の方を見ない。


 無言で脇腹を突き続ける少女。

 なにがしたいんだ、てか痛いです。

 ここまできたらつっつく何て可愛いもんじゃないから。

 これ突くだから。


 いい加減こそばゆい(基、痛い)ので、諦めて少女の方を見る。

 少女は僕と目を合わせると、ッニと笑って見せた。

 可愛い……ふっっっつうに可愛い。

 太陽のような輝きを放ってんで無い?と言っても過言ではない満面の笑みに僕は自然と惹きつけられるものを感じた。

 なのになんで、こんなに怖い人なんですか……


「コレ」

 少女がそう言って手に持つビニール袋を差し出した。


「……何だよコレ」

 いぶかしそうにビニールを見たのに気づいたのか、少女の顔が不満そうな顔に変わる。




「受け取って」

 ぶっきらぼうに少女は言い放つ。

 いい加減、僕もアホでは無いので素直に受け取る事にした。

 早々何度も殴られてたまるか!

 正直、暴力政治に負けたみたいで府に落ちない。


 片手で受け取った瞬間、思っていたよりも重く、慌てて両手で持ち直した。

 落ちそうになったビニール袋は何とか、抑える事が出来た。

 ッホ、と胸を撫で下ろした後、顔を上げると少女と再び目が会った。


 一瞬の間、

「ッフ!」

 鼻で笑いやがったァァ!!このクソ女ァ!!

 でも口には出さない、怖いから。

 てか、何で片手で持てんだよ。


 一瞬睨むと、睨み返してきたので慌てて目線を外した。

 僕の馬鹿!ヘタレ!


 目線を外したついでに受け取ったビニール袋の中を覗き込んだ。

 

 何だコレ。


 中に在ったのは、

 2リットルのポカリスエット、プリン、そしてメロン。


 もう一度、何だコレ。


 少女の方を向くと、何故か得意げに目を輝かせていた。

「どうよ?」


「嫌、どうよって何が」


「説明して欲しいか!そうかそうか!」

 勝手に腕組みをして頷いている。

 何だこの小芝居。


「まずは何処から説明しようかな」

 っちょ、何かうざいんですけど。

 僕の思い等知らず、少女は口を開いた。

 「これを食(飲)べれば風邪何て直ぐに治るね!」


 ……?

 間が空いた。

 少女は自身満々な顔をしていた。

「え? 終わり!?」

「終わりだけど?」

 少女の当たり前じゃん、という顔が腹立つ。




「何?」

「嫌、別にいいや……」

 何だろう、何を言っても無駄な気がする、というか無駄なんだろう。


「てか、風邪ってなんだよ」

 何で僕に?

「風邪なんでしょ?」

「嫌、風邪じゃな……」


「アタシのせいで風邪悪化したみたいで、感じ悪いでしょ? だから、お詫びにってね」

 風邪じゃない上に話を聞け。

 そして感じ悪い以前に君のせいだから。

 つか、今更!?


「とりあえうず食って直せ」


「いやいやいや、プリンとアクエリはともかくメロンって何さ、馬鹿? 君馬鹿でしょ食える分け無いじゃん、ちょっとは考えたら? まぁそんだけ暴力的なら頭なんか必要無いよね、ゴリラだね、正にゴリラ、女ゴリラとか笑える(失笑)」

 まぁ、そんな事考えても無駄なんですけどね。

 これどうしたらいいんだマジで。

 つか、わざわざ買ってきたの?

 わけわかんない子だな。


 等と考えていると、再び隣から視線を感じた。

 何だろう、この殺意的な感じの。


 女の子の方を見ると、目が据わっていた。


「……え゛?」

 何で? 何で怒ってんの!?


「アタシがゴリラ女?」


「あ……え!?」

 アレ? 口に出てましたか?

 女の子が手を挙げた瞬間、ビクッと反応してしまった。

 情けない。

 女の子は僕に攻撃をすると思ったのだが、

 僕の手に持つビニール袋に、挙げた手をそのまま突っんだ。

 弄る事を繰り返すと、手を引っこ抜いた。

 手にはビニールに入っていたメロンが握られていた。


 女の子はメロンを手にしたまま、僕に向かって微笑んだ。

 あれ? そんなに怒ってない?

 

 バキャァァ!!という音が耳に入る。

 目の前でメロンが握りつぶされた。


 握りつぶした拍子にメロンの汁が顔に飛び散る。若干口に入った果汁が甘い。


「グダグダ言っで無いでサッサと食えや……」

 ドスの良く利いた声が響く。

 女性の方なのに男前ですね。

 てか、メロンって握り潰せるんですね。




作者は小学生の時、白米に牛乳かけて『俺、凄くね?』とか言ってました。

今思うと別に凄くないですねスイマセン。


しかもその後、泣きながら牛乳白米食ってた。

若い頃はやんちゃだったなぁ・・・

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