その88.僕が初めて見るミホ、 楽しんで嘘をついてると思ってた……辛いの?
縁は無言で僕の腕を引っ張る。
非力な僕は、無理矢理引っ張られ、何故かミホと正面から対面。
「アッハッハ? どしたの?」と笑いながら言っているミホを縁は見ずに僕を見る。
その表情は怒ってはいない。
だが、何処か複雑そうだ。
「なんなのさ……君との約束は守るよ」
ゲームはゲームだ。ここまで来たら付き合う。
だが、今は帰りたい。
「……」
縁は応えない。
なんなんだ君は?
僕が異論を唱える前に、縁の視線はミホの方を向いた。
「どっしたの? 縁ちゃん?」
笑いながらそう言うミホは、
笑顔ながらも、何処か困惑が隠せていない。
「水歩さん」
縁の声は何故か小さくてもハッキリと聞こえる。
それは多分、彼女が真っ直ぐだから。
「?」
ミホはというと、困った色を入れた笑顔のままだ。
「『嘘』ですね?」
ミホは自分で言ったのだから、何故わざわざ口に出すんだ?。
ミホも僕と同じなのか、笑顔だが困惑の色が強くなっている。
「アハ? 嘘だよん? どしたの? 縁ちゃん?」
なんと、ミホの言葉に4つもの「?」が入っている。
すざまじい程に混乱しているらしい。
「違います」
縁の声に敬語は入っているも、声は鋭い。
縁は少しタメた後、続けた。
「それが『嘘』です」
はぁぁ? 益々わけが解らない! 嘘が嘘? ミホが言っていた嘘が嘘ってことか?
だが、僕とは違い、ミホの表情は混乱ではなかった。
というよりかは余計困惑が強くなったように見える。
もしかし、意味を理解している?
「ア……アハハ!? ゆ、縁ちゃん何を言ってんの??」
本当に混乱したように言葉を洩らした。
こんなミホは、募金で縁と別れた後の時以来だ。
縁は真面目な表情のまま、ハッキリとした口調を作る。
「正直に言って下さい。 このままじゃ水歩さんが悪役です、アタシはそんなの嫌」
縁は目が泳いでいるミホをハッキリと見据える。
「何で嘘を言ったのか知りませんが、正直に言って下さい、
最初に約束をしてらしたのなら、アタシは別のに変えます」
変えます、というのは僕とのゲームの話のことだろう。
「い、いいよ! そ、それに嘘なんて、解んないよ!?」
笑顔は若干崩れ、焦った表情を、しはじめためた。
嘘かどうかは、それを言ったミホ以外は知る由も無い。
しかし。
縁は、ここぞ、とばかりに言葉を発っする。
「アタシには解る」
その一言で、ミホの笑顔は完全に崩れた。
「わ、私は」
泳ぐ目は、縁を見たり、別の所を見たり。
様々な所を見るもんだから、偶然僕とも目があった。
「!!!」
だが、それも一瞬、直ぐに目を逸らす。
「?」
気のせいだろうか、顔が真っ赤に見える。
縁はジッとミホを見る。
「私は……私は……」
そう、小さく呟きながらミホは俯いた。
こんなミホは初めて見た。
天真爛漫で、悲しい、という状況から最も掛け離れたような縁が。
今は俯いている。
「言えないことを、無理に詮索するつもりはありません」
縁は、そんなミホに動じず冷静な口調だ。
縁は続ける、淡々とした物言いで続ける。
「でも、水歩さんが辛そうに見えます」
辛そう? 笑顔でいつものように僕をからかっていた彼女が?。
僕から見りゃいつもどおりにしか見えなかった。
ただ、少し度が過ぎただけに。
「ミホ……?」
僕はつい、声を掛けていた。
先程のイラつきよりも、純粋にミホが心配になってしまった。
笑顔を見せず、俯くミホは初めて見た。
こんな弱そうな姿を、初めて見た。
だが、心配して掛けた声は逆効果だった。
僕の声と共にビクッ!と体を振るわせた。
「違う……違うの!」
ミホはそう叫び声を上げた。
その声に、僕は正直に驚いた。
縁も同じらしく、冷静な表情から驚いた表情へ変わっていた。
顔を上げず、ミホはそのまま暗くなりかかっている廊下を走りだした。
「ミホ!?」
「水歩さん!!」
僕達、二人の声を振り切る様に、もの凄いスピードでミホは行ってしまった。
……ミホが走り出した時、
僕の横を通った。
その時。
一瞬だが、見えた表情は泣いているように見えた。
中学の友達からメールがきました。
『彼女出来たよ!』
返信
『ふぁっきんめりくり』
恋人たちの聖なる日……?
そんな日は滅んでしまえェェ!!(拙劣)