その87.強気な活発記者女は狼少女?
え? それって……?
ま、マジすか??
「だ、駄目かな?」
やめて! もっと命令口調にして!
そんな上目づかいで言われたら僕死ねます!僕死ねまーす!
命令口調だったら、「ッハ! しっかたないなぁー……本当は嫌なんだけど」とか言えるのにィィ!
ちょっと! なんですかコレ!?
「だ、駄目じゃないけど?」
と、取り合えず!
頭が回らず、口が勝手に動く。
「え」
そこで、か細い声が聞こえた。
声の主の方を向くと。
ミホが口を開けてポカン、という具合の表情をしていた。
いつもの笑みが無い。
目が僕に向けて『何で?』と、訴えている気がした。
その目を見て、思い出した。
彼女と、僕は約束したんだ。
今日の昼。休日に、と。
僕は約束を破ったことになる。
でも、ミホがそこまでショックを受けるとは思っていなかった。
縁に向き直ると、僕は決めた。
幾らゲームだとしても、約束は破れない。
何よりも、ミホの目が……あまりにも痛かった気がした。
「ゴメン、その日は」
そう、僕が縁に向けて言おうとした時。
高らかな笑い声が聞こえた。
「アッハッハッハ!なになにデート〜? へーじも隅に置けないなー!」
そう言ってミホは高らかに笑った。
……え?。
「デ、デート!? ち! 違いますよ! どうしても男手が居るんですよ!」
そう言ってミホは慌てながらソレを思いっきり否定する。
ブンブン両手を目の前で振っている姿は、結構動揺しているらしい。
「デート……悲しんでいる俺を放っておいて、デート……」
石がなんか言ったような気だしたが、石の言葉は残念ながら僕には聞こえない。
実に残念だ。
「まったまたー!」
そう言って、ミホは僕よりも思いっきり、石を無視していた。
「このこのー!」とか言いながら縁にちょっかいを出している。
そんなミホを見ると、さっきの表情が嘘のようだ。
いつもどおりの笑顔。
「え? ちょ、え? ミホ?」
僕が思いっきり戸惑いながら、声を掛ける。
「は? 何?」
いやいやいやいや、僕の方が、は? 何? なんですが。
ミホは、う〜ん、とか言って業とらしく考える振りをしてみせた後、
僕に向けて今日一番の満面の笑みを向けた。
え、何?
「もしかして〜、昼のアレ、本気にしちゃったぁ?」
……ああ!
「も、もしかしてアレも嘘かよ!!」
僕の声に嬉しそうにミホは高らかに笑う。
「アッハッハッハ!私の演技も捨てたもんじゃ無いねー!」
そう言って思いっきり爆笑して見せる。
こ! この女!
「ざーんねん、でっしたー!この学校の美女姉妹と一緒に町歩けると思ったのん?」
そう言って、再び爆笑!
く! くぉのぉぉぉ!!
「アッハッハッハ!いい夢見れた〜? まっさか! 本気にするなんてねーん!」
そこで廊下のど真ん中で大爆笑するミホ。
僕が折角、君のことを考えたのに! 馬鹿丸出しじゃないか!
流石に腹が立つ! いつもからかってくるが、これは幾らなんでもムカツク!
僕は一人、無言で廊下の先を歩きだした。
確かに、時々ムカツク子だとは思ってたけど、ここまでだとは。
歩き出す僕の背に向けて、ミホの高らかな楽しそうな声。
「アッハッハ! 怒っちゃった? ゴメンゴメン! だけど覚えてて?
私は『狼少年』ならぬ『狼少女』! 鵜呑みにしちゃダメダメ!」
歌うように、まるで念を押すような言い方。
何だよそれ、意味が解らない。
そんなミホを無視して歩き出していると、突然、誰かが僕の腕を取った。
鬱陶しい、と思いながらも振り向く。
そこに、真剣な表情の縁が僕の腕を取っていた。
「何」
友達だとは言ったけど。
今は流石にイライラしてしまって、無意識に適当な言い方になってしまう。
ゴホ!ゴホ!
えー……更新遅れて申し訳ないです
絶賛風邪でございます!
クリスマスの日に何やってんだ私は……
とりあえず、みなさん!メリーーー!!クリスマァァス!!