表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/189

その85.鈍感すぎて困る!ハッキリ言うのは恥かしい、こんな状況見られたら……

 拳を震わせる縁は、怒りとも困惑とも解らない表情へ。


 何で落ち込んでんのか解ってないくせに。

 嫌われてるって解っても、怒りでは無く悲しみが生まれる君は。

 それでも、自分を嫌う奴等に対し、君は嫌悪感けんおかんを抱くことが出来ないんだ。

 君のことなんて知らないけど、ソレは解る。

 

 縁は大きな瞳で僕を睨む。

 だが、その目は怒りを示そうとするも、悲しみが隠れていない。

 君は一人じゃないのに、何で無理をする。

 それが正義なのならば、そんな物捨ててしまえ!。


「もっと周りを頼れ! 君には友達が居るだろ!?」


 そう、君は『一人では無い』。

 志保ちゃんの様な子が友達ならば、絶対にもっと友達がいるはずだ!


「だって! そんなの、悪いよ…」

 僕に気圧されたのかは解らないが、縁の声が小さくなった。

 表情の怒りは消え、今は困惑以外は無い。


「だったら、人の頼みなんて聞くな」

 僕の即答に、縁が俯く。


 君は。


 優しいね。


「……僕を頼れ」


「え?」と、縁は小さく声を洩らした。


「僕だったら悪い気何てしないだろ?」

 僕の言葉を理解したのか理解しなかったのか、表情は更に困惑で歪む。


 そう、ミホがあの下駄箱で何故僕にあんな話をしたのか。

 縁は悪に対しては遠慮は無い。

 が、

 中途半端な相手に対しては困惑するようだ。

 募金のガキしかり、陰口を叩く女共しかり。


 ならば僕はどうだ、目の前でハッキリと僕は言う。

 曖昧な陰口では無く、直接言う。


 対等だ。


 彼女と僕は対等なんだ。


「君が悪い気をするならば、僕が変わりになる」

そう、僕は絶対に悪いだなんて思わない子悪党だ。

正義を語る君に出来ないことが僕には出来る。


「! そんなの…」

 僕にまで気を使うな。君は黙って真っ直ぐ歩け。

 守ってやる。

 それで君が無理をする必要がなくなるなら。

 

 本当だったら僕は、そんなの嫌だ。

 だけど、

 君が『僕と同じ』なら別だ。


 縁は小さく、おそるおそる、といった具合に口を開く。

「何で?、何でへーじがそんなことを言うの?」

 その言葉の意図は取れる。

 昼と同じだ、何故僕のような人間がここまで言う? 本当だったら放って置く。

 僕は先程も言った言葉を繰り返す。

「だから僕は今日一日は……」


「そうじゃない!」


 ゲームのことを言おうとした瞬間、縁が大声を張り上げた。

 僕はその大声に驚き、途中で言うのを止めてしまった。

 そうじゃない…?

 今度の言葉は僕にも意図が取れない。

 

 顔を上げ、しっかりと僕を見据える縁は再び口を開く。

「アタシにそこまで言って! 逃げないでよ! 何でアタシにそこまで言ってくれるの!?

何で!?」 

 

 ッ!

 僕は縁の言葉と共に固まった。

 確かに僕の言葉は逃げだ。

 その通りなのだから何も言い返せない。


 僕はいつまでも好青年なわけでは無い。

 今日一日の僕の行動は全てゲームだから。

 だったら僕の言っている言葉は今日一日だけの幻想に過ぎない。

 

 縁は僕に逃げるなと言った。

 だが、ハッキリと言うのは正直に恥かしい。

 

 何故、僕は縁にここまでする。

 『対等』という言葉を言っても彼女は理解しないだろう。

 彼女の性格に合わせた言い方をしなければならない。

 

 成る程……。

 こりゃ罰ゲームだ。


 顔が熱い。

 僕は慌てて俯いた。

 多分、僕の顔は真っ赤だと思う。

 最初に告白なんてしないと言っていたのだけど、

 今が似たような状況であることは変わりない。

 教室を照らす夕日で僕の顔が赤いのが縁にばれないことを祈る。

 

 顔を上げ、彼女を一直線に見る。

 彼女の目が薄ら赤く見えるのは夕日のせいか、それとも……。

 

 彼女の目を見た瞬間、僕の鼓動は早鐘のように大きく、ドクドクと繰り返す。

 心臓が直ぐ横にあるんじゃないか? と、疑問に思う程に良く音が聞こえた。

 これほど鳴っていると、縁にも聞こえているのでは無かろうか。


 言うんだ。


 自分で自分の後押しをしようとするも、その度に鼓動が大きくなっている気がする。

 縁の僕を見る目に疑問が浮かんできている気がする。早く言わなければ! 

 だが急かす度に苦しくなる。

 今の状況だったらナイフを突き立てられても、え? これ玩具? とか言って笑える自身がある。

 寧ろそっちの方がいい!言葉一つなのに何でこんなに大変なんだ!?

 悪口だったら幾らでも言える。

 だが、このたった一言が、あまりにも重い。



 「……だから」

 小鳥のようなか細い声が僕の口から漏れる。

 よし! 良く言った! 僕!

 「え? 何?」

 精一杯振り絞っていったのに、縁は聞き逃したらしい。

 

「何で聞いてないんだよ!」

 僕はショックでおもわず叫んでいた。

「聞こえるわけ無いでしょ!!」

 縁は叫び返す。

 ううっ!?

 でもさっきのをもう一回言える程、僕の心はたくましくない!

 睨み付けるような縁の視線から逃げるように目が泳ぐ。

「僕は言いましたー!もう言いませんー!」

 自分でも思う。子供か。

「何よそれ!」

 怒るでしょうね! でも僕もう限界なんです! 簡便して下さい!

「あーあー!もー聞こえなーいー!」

 更に子供のように僕は耳を塞ぐ。

 僕はそのまま逃げるように、教室を出ようと。

 したが、ドア付近で人影が見えた。

 

 人影はビクッ!と動きを見せた後、わたわたと動き出す。

 わざわざ人影を確認するつもりは無かった。

 だが、教室から出れば嫌でも顔を見ることになる。


「……え?何やってんの?君等?」

そこにデカイ体を小さくしよとしているサクと、今にもダッシュします! という具合に固まっているミホだった。


瞬間的に僕等三人は無言で固まった。


「待って!」

止めようと僕の肩に手を置いた縁も奴等二人が見えたのか、同じように固まった。



お使いに買い物に行った時の話。

言われていた物が無かったので電話。

私『肉まん無い』


姉『ッチ』


私(舌打ち!?)


姉『じゃあコンビニまで買ってこいや、勿論お前の金で』


私「不良かよ!!」


姉『後、ジャンプも』


私『ちょ!待っ!』


ツーッツーッツー……


私「どちきしょう……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ