その79.ゲーム・・・・? 知るか。唯言えるのは、純粋にムカついた。
6時間目のチャイムと共に、ミホに見えないように背を向けて僕はガッツポーズを決めていた。
行ける!行けるよコレは!!後は帰り道だけ!!
「アッハッハ!こりゃ本当にヤバイね〜」
後ろで笑っているミホにざまぁみろ!と言いたいが今は耐えろ!もうすぐ言えるのだから!!フハハハ!
そこでふと我に返る。
「あれ?帰り道って全然違うよね?」
僕の問いに笑みを向けながらミホは言った。
「アッハッハ!玄関口まででいーよ!志保からも連絡無いし、賭けは私の負けかもねー!」
、?・・・賭け?僕との約束は賭けとは言いにくい気がする。
「ッフ!俺は信じてたぜ!!」
そういって後ろから僕の肩にデカイ手を乗せたのはサク。
は?何を?ってか。
トイレで倒れた男が手置かないでよ、汚いじゃん←酷
って、後でタップリ言おう!うん!
嬉しさで小躍りしそうになってしまう!!ここまできて好青年をやめるわけないでっしょーが!!
「賭けは俺の勝ちだな!」
そう言いながら、サクはニヤッと笑って見せた。
ん?賭け?
「アッハッハ!!約束は守るよん?」
「…君ら、僕で賭けしてたの?」
抑えろ!冷静に!冷静に!
「ああ、へーじが負ければミナミナに千円、へーじが耐えれば俺に千円」
こいつら!金賭けとったんかァァ!!
「アッハッハ!私買うもん決めてたんだけどな〜」
「ッハ!俺達の友情の勝利だ!、な!へーじ!!」
「う!うん!そうだね!」
耐えろォォ!ここまで来て負けてたまるかァァ!!
だが!この苦労も後少しだ!!
「さぁ!帰ろう!!」
そう言って僕は好青年の笑顔と共に勢い良く立ち上がった。
「・・・アッハッハ、今日一日で一番飛びきりの笑顔だね」
・・・何で若干引いてるんですか、アンタが考えたゲームでしょうが。
ま、スキップしそうになるのをこらえてカバンを肩に掛けつつ、廊下を進む。
「あーあー、明日の新聞のネタばっちりだったのになー…」
と、僕の左側を歩くミホが残念そうな声を漏らす。
「千円〜千円〜♪」
と、僕の右側でサクはミホとは逆にうれしそうな声を上げている。
この際だ、今は許してあげるよ!何せミホの僕を脅す写真を取り返せるし?明日からはいつも通りに喋れるし〜♪玄関が見えて靴を履き替える辺りで最早僕は有頂天になっていた。
靴を履いたら直ぐに立ち上がった。
あっとは〜♪校門をまたぐだけ〜♪
と、テンションが上がってきている僕に、耳に障る笑い声が聞こえた。
直ぐ後ろで。
「キャハハハハ!!でっさー!チョーおっもしろいの!」
この声には聞き覚えがある。昼休みにトイレから出る時に聞いた気がする。
・・・・あのバカ女共か。
折角の良い気分もバカ下がりだよ。
大声は広い下駄箱付近で響いていた。
嫌な気分になっているのに、女共のデカイ声は嫌でも耳に入る。
「あの女、今何しても笑ってるだけでさー!足掛けてやったり、背中蹴っても笑ってやんの!頭おっかしーよねー!」
キャハハハハー!という腹の立つ声は嫌でも耳に入る。
ミホとサクが靴を穿きながら同時に迷惑そうな表情をしていた。
この2人は知らないだろう。バカ女共が言っている『あの女』が誰か。
でも僕は知っている。どこぞの熱血好きの馬鹿だ。
そして、今は御淑やかなお嬢様で通っている、暴言も暴力も、彼女には自らを守る術が無い。
「いっつも調子乗っててさー!ウザいと思ってたんだよねー!ちょっと男子から人気有るくらいでデカイ顔してさー!」
「キャハハハ!」という声と「キモーい!」という女の声が重なっていた。
ムカツク。外に出るのは目の前だ。外に出たら、一言言ってやるか?
「そんでそんでー!私あの女と掃除一緒なんだけど、昼みたいに掃除しとけって言ったらー『解りましたわ』とか言ってさー!そんでセンコーいないから他の皆帰らしたら一人で始めてんの!!」
そこでッド!とまた笑いが起こった。
・・・・・・、何で笑える?
僕は振りむく。今日一日で一番ムカついた。
お前が、お前があの子の何をしってる。
僕でさえ彼女に会ってまもない、そして何も知らない。知ったのは馬鹿で正義とか言ってて暴力的で…だけど時々女の子で、心からの信念を貫いてるって、知った。
それなのに、お前如きが何故そこまで笑える。
振り向いた僕を不思議そうに振り返るミホとサク。
「ねぇ、君」
笑顔でそう言った。
後ろの3人の女子生徒に向けて。
チャラチャラとした如何にもな風貌。
そうか、確かに縁の事は嫌いな感じだ。
「え?私?」
と、真ん中の女がめんどくさそうな表情で僕を見る。
「そうだよ」
僕は間を開けて再び口を開く。
「そこのクズに言ってるんだ」
ゲーム・・・?
知るか。