その74.デッドヒート?それはお互いが良い勝負の時に使う言葉、これは違う!
「ッゼェッ、ゼェ……何であんなにしつこいわけ!?」
荒い息は走り過ぎたせいであって、何か変な意味があるわけでは無い。
あの女……やはり唯の馬鹿とは動きが違う。
っていうか動きとか以前に、いつあらわれるかが解らない!!
走り過ぎて汗が半端じゃない! そして熱い。
サクの時は純粋に追い駆けてくるだけなのだが、彼女は違った。
後ろを向くと、いつのまにか居ない。
ッホとした所で足を止める。
すると。
「おつかれー」
と! 何時のまにか直ぐ横に居る。
再び猛ダッシュを決め込み今度こそとッホとした後、「喉乾いたな」等と零す。
すると。
「あ〜い! どぞー」
と、僕にアッツアツの缶を渡してきやがった!!
何故アツアツ!? と心の中で突っ込んだ後、更に猛ダッシュ!!
今度こそ、流石にもう、大丈夫……。
「つ〜かま〜えた!」
と、嬉しそうな声で後ろから抱きついてくる!
恥ずかしさと驚きで困惑しつつ、必死で振り切る!
……。
等々、驚異的な出現の仕方で僕を見事に驚かしてくれた。
ある意味、縁以上に脅威的だ。
最終的に肩でゼェゼェと息をしている僕とその隣で欠伸をかましているミホ。
「ねぇ〜! いい加減、諦めてよ〜」
「何……で、ッゼェ! 疲れて……ゼェ! 無いの!?」
そう言いながら、笑顔は絶やさない。
ゲーム中ですから……ね。
得意そうに胸を張った後、アッハッハ! と笑うミホ。
「唯、運動神経が良いだけじゃ無いんだよん? 体力の使い方を考えてこそってね?」
ック! コイツには勝てそうにない! かくなる上は……!
「あーーー! サクが女の子に告白されてるーーー!!」
僕が指さした先にミホは思った以上に食らいつき、目の色が変わっていた。
「何その異常気象!? 地球滅亡!? 何にしてもそんなスクープを逃すかァァァ!!!」
そう叫びながら猛ダッシュで走りだす。
「……助かるけど、流石にサクがかわいそうに思うな」
あそこまで言わなくても。
何とか、裏庭に来ることが出来た。
……汗が染みて寒い。
当然誰も居ないのだが寒空の下、普通に寒い。
「何で僕がこんな目に……」
そう零しつつも溜息を洩らす。
仕方がないのだが……昼休みが終わるまではここにいなければならない。
更に奥に進みつつ、顔が下を向く、疲れた。
曲がり角を曲がった所で再び大きなため息を出してしまった。
「「ッハァ」」
再び漏らした溜息が誰かと重なった。
「「……ん?」」
そして続けざまに言った言葉すらも重なった。
顔を上げた先に。
暴力女が居た。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
瞬間的にお互いに長い沈黙。