その70.僕VS縁 状況に流されるのに慣れて来たきがします。助けて下さい。
「やあ! 手伝おうか!?」
そう満面の笑みを浮かべて言ったのはクールでナイスガイな僕。
その僕の満面の笑みで……思いっきり硬直しているのは我がクラス、同学年で黒板消しを握りしめている女子生徒。
「え……?黒板消し?」
満面の笑みで頷く僕。
明さまに嫌な顔しやがったよこの子。
ああ、そうだろうさ! いつもダルイめんどいめんどくさい早く帰りたい、とか口癖の様に 言う僕がいきなりこんなことをすれば誰だって引くでしょう。引くでしょうともさ。
「僕は君の役に立ちたいんだ!!」
女子生徒は純粋に一歩後ろに引いていた。
キモイか? キモイだろうさ……でも負けない!。
「へーじ君……?」
「何かな!?」
テンション上げ上げな具合に歯を見せて笑う。
辛い、やってる自分が辛い。
「……気持ち悪い」
ッガーン!?
ぐふぅ、素で凹む……女の子に気持ち悪いと言われて凹まない男はいないでしょうさ……。
「アッハッハッハッハッハ!! 気持ち悪……ぶふぅ!! きも……!アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
後ろで机をバンバン! 思いっきり叩きながら大爆笑しているのはこの様な状況を作った権化。
「3回目だよぉ〜アッヒャッヒャッヒャッヒャ!! へーじってよっぽど普段良いことしないんだね〜」
そう、『気持ち悪い』と言われたのはこれで3度目…そりゃ凹みますともさ!!
とりあず爆笑している性悪女を睨み付ける。
睨みつけた瞬間、嫌らしい含み笑みへと変わった。
「あんれ〜? ルール違反だよ〜ん? い・い・の・か・なぁ〜?」
その発言と共に即座に満面の笑みへと早変わり。
この女ァァ……。
頬が引き攣っているのは簡便して欲しい。
普段、笑わない分、結構この顔疲れる……。
今から数十分前、性悪女のある一つの提案からしょうもないゲームが開始された。
「ゲームをしよう!」
「は?」
「ゲーム?」
ナイスな感じに縁と僕の言葉が繋がった。どうでもいいけど。
「両方がさっき二人が言った通りに今日一日過ごす!!」
「さっき言った通りって…」
僕の言葉にニヒィっと笑う。
「へーじは、凄い心の広い爽やかでつい人を手助けしてしまうお人よし! いつも笑顔で人の頼みが断れない好青年!!」
え? そこまで言ってたっけ?
「縁ちゃんは、暴力何て知らない御淑やかなお嬢様、お箸以外の重いものが持てない女の子らしい感じで!」
おい、何か僕の方が制約が厳しくないか? 気のせいか?
「お……御淑やか?」
縁も冗談では無いと言った具合に一歩引いている。
御淑やかが自分で表現出来ないのかも知れない。
そらそうか。
「そんでー! 破った方は片方の言う事を何でも聞くこと!! どうよ!?」
「イヤイヤイヤイヤ、何誇らしげに言っちゃってんのバカですか? 脳内湧いてんの? そんな利点になるか解らんゲームするわけ無いでしょ」
「あ、あたしも、ちょっと女の子らしくはちょっと……」
ちょっと二回言ってるよ。
珍しく、暴力女と意見が一致したらしい。
だが、性悪女は笑みを浮かべながら口を開く。
「縁ちゃん!! これは勝負だよ!! このまま勝負を引くという事は無条件に相手を勝たせるんだよ!?」
そんなこと言っても変わらないって。
「何ですってェ!? 勝負を前にして逃亡!? そんなことォ!! あたしには出来ない!! 勝負をするならば絶対に勝ァァつ!!!!」
この熱血馬鹿がァァ!!
「へーじも!!」
「っは! 悪いけど僕はゴメンだね」
そこでミホの顔に、あの含み笑いですよ……。
嫌な予感がもう、バリバリに!!
「いやぁ〜ムッキムキのお兄さん方が誰かさんの住所聞いてきたんだよね〜?」
そう言いながら胸ポケットからチラチラチラチラと……解り易い程に僕の写真を見せてくる。
何で住所がほしくなるのかが解らないが……いや、解りたくない。
「お前は鬼かァァ!!!」
イカン、叫びながらも声が上ずってしまった! 泣いてない! 泣いてないですよ!!
「あらら〜そう言うこと言っちゃうんだぁ〜?」
「いえ、勝負させて下さい」
泣いてなんかいないんだから!(泣)
「勝負だ! 暴力女ァ!!」
「望む所よ!! 貧弱男!!」