その63.性悪女も女の子…?ナイナイナイナイ
志保ちゃんの発言にミホは眼を点にしたまま固まっていた。
珍しい、ある意味縁以上に傍若無人で敵なしと思われたミホがこんな風になるとは。
妹からいきなりそんな事を言われれば確かにそうなるかもしれない……。
というか君はアレか? 天然か!? 君はマトモな部類だと思ってたのに!!
でも天然な志保ちゃんも可愛いですな。
「アハ……アッハッハ!」
固まっていたミホは突然笑いだしていた。
何? バグッた?
「そ、そんなわけ無いって志保〜、残念だけどね〜」
む! 何かハラタツな! 嫌、そこで好きって言われても余計困るけど。
「へーじは可愛いけど〜残念! 私が可愛すぎて釣り合わないからね〜! アッハッハ!」
そう言って豪快に笑うミホを、妹である志保は不思議そうに見つめていた。
「だって、さっき縁の気持が解るって?
お姉ちゃんの言い方だと縁がへーじさんに好意を寄せていて、
お姉ちゃんも同じ気持ちってことじゃないの?」
本当に不思議そうに志保ちゃんは言った。
おやおや、珍しい、ミホが引き攣った笑みで固まっていた。
以外に天敵は妹? 初めて見たよこんな押されてるミホは。
「ち……違うから! そりゃぁへーじは可愛いけど! その、ちょ! 私何言ってんだ!?」
てんぱっているミホを見ていると、どう解釈したらいいものか。
ミホは僕と目を合わせずに俯いて顔を真っ赤にしている。
………………。
不覚にも性悪女にときめいてしまった……。
以外に純情?
チラッチラっと俯きながら何度か僕を見るも、慌てて視線が戻る。
……嫌、待てよ? さっきも騙されたじゃないか!!
今度は志保ちゃんを使って僕を騙す気か!?
そうはさせんぞォ!!
「あー、解った解った! またさっきみたいに僕をからかってんでしょ? もういいから」
「……え?」
僕の言葉に慌てて顔を上げたミホ。
「演技は続いてんの? 志保ちゃんまで使ってよくやるよ」
本当に良くやるよ。
……?
何でだろう、ミホの表情が一瞬変わった気がした。
何て言うか、もどかしいような、寂しそうな……違うな。
何て言ったらいいんだ?
僕は本当に『何て』表現すればいいか解らない。
「アッハッハ!! バレちゃった〜?」
その表情も一瞬で消える。
いつもの満面の笑みへ。
「やっぱりか……危なかったよ、また騙されるところだった」
僕の言葉に笑いながら「ごめんごめん」と気軽に謝る。
「志保〜演技がなってないよ〜ん? 家に帰ったら指導だね!!」
「え? でも」
「問答無用! 言い訳なんて聞かないよん?」
ミホは志保ちゃんの手を取るとサッサと歩き出す。
「ま! いいや! また明日〜! へーじー!」
左手で志保ちゃんの手を引きながら満面の笑みで右手をブンブン振って去っていく。
「何なの?」
そう呟いた僕は、取り合えず家に帰ろうと歩き出す。
「……何か忘れてるような?」
気のせいかァ……縁は怒って帰っちゃうし、ミホと志保ちゃんも反対方向みたいだし。
僕はマジで、顔面整形されたサクを忘れていた。
家に帰って風呂に入る直前に気づいたからだ。
まぁ、あのバカなら大丈夫でしょう。
バカだから風邪は引かんでしょ。
ちょっと友人と商店街に行っていた時の話。
私「ちょ、トイレ行ってくる。」
友人A[ダイの大冒険か」
友人「ッブ!ちょwww!お前!!ww(爆笑)」
私「…何だろうこの悔しさ」