その62.嵐が過ぎ去った後に再び嵐の前の静けさって奴?つか嵐がまたきたら死ぬから
「へーぇじーぃ! アッハッハッハ!! 一発だよ! いい感じに気絶してるよ!!
アッハッハッハッハ!! 縁ちゃんスゲーェ!!
ヒャッヒャッヒャッヒャ!!受ける!マジ受ける!」
「お……お姉ちゃん……笑いごとじゃないよ、殴られて三回転半して飛んだ人間は初めて見たよ」
性悪女の笑い声で僕は目覚めた。
「痛っ!」
起きた後に強烈な激痛に気づいた。
「アハ? 起きた? よく生きてたね〜」
「……自分でもそう思うよ」
今迄で一番強烈な攻撃だった。
頭がふらんっふらんに揺れる。
僕、鼻血出てない?
「へーじさんは顔の形状が残って良かったですね〜」
ちょ、志保ちゃん、顔の割にきっついな。ていうか形状は残ってんだ…
ん?へーじさん、は……?
志保ちゃんが指さした先に……サクが倒れていた。
…………。
表現し難いので、取り合えずモザイクを掛けてみたい顔に変っているとだけ言っておこう。
「正に顔面整形? ……ッブ!! アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」
自分の言葉に大爆笑しているミホは取り合えず無視。
「あの子は?」
あの子、というのは縁のことだ。
僕から見ると、あの子、体は大人なんだけど子供に見えてしまう……。
だからつい、子供みたいな言い方になる。
志保は一瞬、考えたような素振りを見せた後、答えてくれた。
「縁は帰りましたよ?」
……そらそうか、女の子が下着を暴露されれば誰でも切れるわな。
「何で縁ちゃんが怒ったか解る? へーじぃ?」
その意味深な笑みの意味はわかんないけど、アレ見られてその上暴露されたからでしょ? 解るよ。
「解るに決まってんでしょ」
その言葉にミホがニマ〜っと笑う。
「それが解ってないんだな〜、へーじが思ってるのとは違うんだナ〜?」
「……違うの?」
ミホの隣にいる志保ちゃんも「え?」と声を零していた。
僕と同じ考えだったらしい。
「そりゃ見られるのは嫌だけど? 見られただけで、あそこまでは切れないよン?
嫌な気持ちにはなるでしょーけど。当然、暴露されたのも恥かしくても、
恥かしかったらまずはここから逃げ出すでしょ?」
「なるほど」
そう呟いたのは志保ちゃんだ。
何がなるほどなのか良く解らないが……。
「つ・ま・り〜?」
ミホはそこで再び意味深な笑みを向ける。
「『大切な人』に見られるってのはそれほど嫌なんだよん?」
自慢気に言ってるが、それは違うと思うが。
「大切な人って? 僕? ナイナイ...」
そこでミホは思いっきり溜息を零す。
「あんたって……鈍感? そんでもって女の子の気持ち解ってないねー」
…………なんだろう、バカにされてるのは解る。普通にムカツク。
「鈍感とか鈍感じゃない依然の問題でしょ、会って間もないのにそんな感情抱くわけないでしょーが、君の方がわかってないんじゃない?」
「アッハッハ! 言うね〜、でも! 私は解ってるつもりだよん?
縁ちゃんの気持ちは解るしね〜」
ッハ……どうだか?
「つまりー……アレですか?」
そこで志保ちゃんが話を挟む。
アレとは何だろう。
そのまま志保ちゃんは姉の方を向くと軽く首を傾げて見せた。
…………。
本当、そういう動作が可愛いね君。
ッハ!? 僕は親父か!?
今のは中年の『君可愛いね〜幾つ〜』みたいな感じだった!!
イカン! イカンゾォ!! 僕はクー(以下略)
等と摸索している僕を無視して、志保ちゃんはミホを見つめていた。
「な、何? 志保?」
ミホも流石に困惑しているらしい。
いくら妹でもあそこまで真っ直ぐ見られると困るものなのだろうか……。
志保ちゃんは、口を開いた。
「お姉ちゃんは……」
そこで止めて、何となしに続けた。
「へーじさんが好きなの?」
「「え゛?」」
僕とミホの声が同時に重なった。
………………っは?
そう、ハッキリと姉であるミホに言った。
ミホの目が点になっている。
こんなミホを見るのは初めてだな、状況についてきてないのか?
っというか、え?
好き? 僕が?
……またまたぁ。
……だよね?