その57.最近のゆとり教育はいつか日本を滅ぼすね。・・・・大袈裟か。
君もサクと一緒さ。
ヘラヘラ笑ってる方がお似合いだっての。
そういう暗い顔は情けないんじゃない?
鬱陶しいし…。
「何で君がそんな口を叩けるわけ?」
ガキに冷静な声を向ける。
「こいつは俺を助けて満足してるだけの最低な奴だ! 言うのは当たり前だろ!」
ガキの声で縁の顔に影が掛かった気がした。
「調子のンなガキ」
声が無意識に荒くなる。
「偽善者? 助けられた人間がよく言えるよ、彼女が来なきゃ君はボロ雑巾みたいになってたわけだ」
さながらドラゴン○ールのヤムチャの様に。
僕の言葉にガキの顔が一歩後ろにさがった。
……動揺しやがったな。
「今この場で助けられただけでもありがたく思えよ、そもそも自分で何とかしろよ。その頭は飾り? 中に綿でも詰まってんじゃ無い?」
「な! 何だよ! 俺に力無いんだから仕方ないだろ!?」
「だぁーかーら! 力でしか考えられないからバカだってんでしょーが!! 逃げるなり色々あるだろーが!」
「に、逃げる??」
ガキにとっては予想外だったらしい。
「戦うこと自体が全てなわけ無いでしょ、少なくとも僕はそうして来た、力が無いなら頭を使え、頭が無いなら身につけろ! バカガキ!」
僕のその言葉にガキの目が薄らと赤みを帯びた気がした。
……泣くなよ。今泣いたら『意味が無い』。
「何が偽善者だ! 言葉の意味もわからないなら喋るな! 人にばっか頼って助けてもらうのなんざ直ぐ出来なくなるんだ! 頼ることが悪いなんて言わない! だけど自分を守ることすらも人任せになったらダメなんだよクソガキ!!」
親が死んだ時、姉は一切僕を助けることは無かった。
それは小さな僕を助ける為に仕事をし続けなければならなかったから。
小さな僕は、力なんて無い。だから、必死になった。
最後に思いっきり息を吸い込む。
自分でも信じられない大声を発する。
「彼女にそんな口を叩けるわけ無いだろうが!!! 見直せクズ!!」
その僕の大声と共にガキは我慢でき無くなったようにボロボロと涙を流した。
「ヒック……」という小さな声を出した後、走り去って行った。
大声の「ウァァァ!」という泣き声が遠くから聞こえる。
「言い過ぎじゃないの?」
心配そうな表情の縁が小さく言った。
……?
君、偽善者とか言われてたのに心配すんのね。
「いいんだよ、子供はボロクソ言われた後、一人で泣いて言われた言葉を思い出すんだよ、そして成長する」
僕の経験上のことだけど。
それをあのガキに押しつけるつもりは無い。
だけど、それで変わるなら変わった方がいい。
「今こそ僕はクールで知的だけど、あんなガキの時もあったし」
「え? 誰が知的?」
「僕だよ!」
何だよ! 他に誰がいんだよ!
「まぁいいよ……ほら、行こう」
そう言って無意識に手を出した。
だが、直ぐに引っ込める。
イカンイカンイカンイカン! またこっぱずかしいことになる所だった!
「おーい! 撤収だぞー!」
サクの大声が遠くから聞こえた。
ああ、行かなきゃ、等と思っていると、後ろからいきなり手に温もりを感じた。
「!?」
縁が僕の手を取って走り出していた。
「急ぐよ! へーじ!」
そう言って走り出すと、無理矢理に縁が手を握っていた。
ちょ! ちょちょちょちょちょ!。
君の兄貴とか記者女とか可愛い子とか居る方向に向かって手繋いで走るって何!?
何言われるか解ったもんじゃないんですけど!
振り払おうとするも、力の差で手が離れない。
痛いぐらいに手が握られてい……
アダダダダ!痛い!本当に痛い!。
引きつりながら見上げると縁の横顔が見えた。
何で嬉しそうに笑ってんの?
……。まぁ、暗い顔よりかはヘラヘラ笑ってる方がマシだわな。
友人との帰り道。
旅行の計画中、友達の家でメシを買って来て食べる予定になった。
私「え?自分の分だけじゃなくて皆で買ってきて一緒に食おうよ」
友人A「OO(←私の名前)と同じ物食いたくないし」
友人「あ、俺も」
私「死ねお前等ァァァァ!!」
友人A[お前ともな(友人の方を向いて)」
友人「安心しろ、俺もだ」
私「お前ら…」
そんな私たちは仲良く卒業旅行を計画中。