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その46.サクがいないからややこしくならないと思ったのに、今度は君ですか・・・

 一瞬の間が出来た。

 と、思ったらガラッ!と勢い良くドアが開いた。


 そこに立っていたのは同級生の性悪女。

 両手でカメラをはっし! と、力強く持ち、その目はキラキラと輝き生き生きとしている。


 「フハハハハハハハ!!! 気まずそうに立つ2人!! ぬぁぁぁんといううう!! 偶然見つけちまったー! シャッターチャァァンス!!」

 そう言いながらバシャバシャとカメラを連射するのを呆然と見る我ら3人。

 連続のフラッシュで目が痛い、ってか、え? 何? ずっといたの? もしかして。


「っはー! 堪能堪能! ん? も一人いるじゃーん!! 浮気? 浮気? いーね! いーね! 明日の新聞バカ売れよー!」

 なんだろう……君には人としての道がなってないよ。もといモラルとも言う。


「あ、お姉ちゃん」

 志保ちゃんの声は呆然としている僕にとても良く響いた。


「あれ? 志保? 何してんの?」

それに返事する姉と思われる性悪女。


 え、姉!?


 チキショォォォ!! やっぱりかぁぁぁ!! 君等姉妹!? サクや縁の時以上にショックだわ!

男の夢を返せ! っていうか姉妹!? 似て無さすぎでしょぉがぁぁ!!

 確かにショートカットとか似てるけど! 何かもう、いやぁ!


「ちょ! 立花さん?」


「何?」

「何ですか?」

 姉妹は同時に答えた。

 そうか、姉妹だからそうなるわな。


「……水歩さん」

 同級生の女子を下の名前で呼ぶのは抵抗があるが、この際仕方ない!

 っていうか何かキモイ!


「うわ……キモっ」

 くら! 暴力女! 小声で何言ってんだぁ! ばっちり聞こえてんぞこら!!


「アッハッハ! やっと下で呼んだね〜、でも呼び難いならミホでいーよ!」

 は? ミホ?


「え? 何でミホ?」

 僕の疑問に得意げな顔で答えた。


「ふふん♪ 私は結構あだ名多いんだよん? ミナミナでしょ? ミナでしょ? 水歩様でしょー?」

 待て、最後は嘘だろ。


「だからミホって呼んでよん? かわりに私も君付けじゃなくて、へーじって呼ぶから!」

 あまり面識はある方でない女子からいきなり呼び捨て……。


「で!? 何!? 修羅場!? 修羅場ってんの!?」

 目が更に輝いてる…。

 溜息と共に、保健室から出ることにした。


「え? 何? 終わり?」等と不満そうにするミホを無視して部屋と廊下の境界を跨ぐ。


「待って」

 後ろから声がした、振り向かなくても解る。

 暴力女、何だよ、もう無事ならいいだろ?


「放課後……今度こそ校門で待ってるよ」


 僕はその言葉に振り返った。

 そして右の人差し指で右の目の頬を下に持ってきて舌を出す。

 つまり思いっきりアッカンベー! だ。


「ヤダよ、ばーか!」

 その言葉と共に膝蹴りが飛んで来たのは言うまでも無い。

 そして、僕が間抜けな声と共に吹っ飛んで、鼻血を出したのも言うまでも無い。


「痛い……」

 呟く声は疲れたような声が漏れる。

 大の字で倒れている為、冷たい廊下が背中に染みて冷える。

 そこに、僕の頭の近くにしゃがみ込んでいるミホがいた。

 先程のテンションが消えていた。

 その表情は笑みを浮かべているが、何かいつもと違う気がした。


「行かないの?」

 その言葉の意味は暴力女が先程言った言葉の事を聞いているのだろう。

 僕に優しげな瞳を向けて問うミホに、当り前のように言う。


「行かないよ、めんどくさい」


 僕の言葉に小さくアハハ、と笑った。そしてその後、ミホは何か楽しそうに言った。

「やった方が良いめんどくさいこと何て幾らでもあるんだよ?」


「…………」

 その表情は優しい笑みを浮かべていた。

 やはりミホと志保ちゃんは姉妹らしい。その笑みは似てるよ。


「それに私の新聞のネタの為にもね!!」

 再びいつも通りの満面の笑み。


 ……前言撤回だ、性悪女!!。

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