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その38.トラブル熱血ガール?ちょっとカッコイイじゃないですか。

 ドアを開けると、既に賑やかに教室は耳障りに騒いでいた。

 机の上にカバンを置くと、机に座ると同時に周りを見渡した。

 幾つかの視線を感じる。

 ―何だ?

 僕は目立つような人間でなければ自ら目立とうとする人間ではない。

 筈なのに、視線を感じた。


「や! へーじ君!!」

 元気な呼び声に慌てて前を向いた。

「なーにキョロキョロしてんのー?」

 高い声は僕の前の席から。

 イスを抱きつくように座って体ごと後ろを向けているこの女性。

 同じクラスメートの一人、ショートカットの髪に歯を見せつける様に笑みを浮かべるのはクセらしい。

 どちらかと言えば明るくて活発な女の子の部類と思われる。

 指でクルクルと回すペン捌きは凄すぎてぶっちゃけ引く。


立花たちばな 水歩みなほ


 親しい人からはミナミナと呼ばれている。


「何? 立花さん」

僕は比較的、さん付け派であって、決してミナミナ等と恥ずかしい呼び方はしない。


「ちょっとちょっと〜皆みたいにミナミナって呼んでよ〜ん! 

もしくはミナ様」

なんという女王さま……。

「嫌、呼ばないし気持ち悪いし」


「あいかわらずクールでドライって感じ? アハハ! 殴っていい?」


「……それは遠慮しとくよ」

殴りキャラは縁だけで結構です!!


「で? 何? 僕に何か用?」


「ま〜ねぇ、新聞部の活動としてちょびっと聞きたいことがあんだけど?」


「新聞部?」

 うちの学校そんなのあったんだ。

 立花さんは大げさに立ち上ると、不審そうに僕を見た。

 何だその眼は、


「もしかして……私の新聞見たことない?」

 片眉を上げて意味が解らんと、表情すべてでアピール。

 不審な目は呆れた眼に。

 だからなんなんだ。

「へーじ君、それは毎日テレビを見ないのと一緒だわ」

 え? そんなに?

 呆れ顔のまま、差し出された薄い紙を無言で受け取る。

「それ今日出した新聞」

 朝に出しているのか? と、適当に考えて新聞らしいを見る。


 周りの視線が解った。

 正座している僕と、その眼の前に仁王立ちで立っている縁のカラー写真がデカデカと貼られていた。

 そしてその隣に僕の手を引いて走る縁と僕の写真も。

 え? 人権侵害じゃね!?

 その写真の下に書かれていたのは。


『スクープ! あのトラブル熱血ガールもついに男を知るか!?』


「は? ……え? ちょ、は?」

 戸惑って言葉を発せられない僕に自慢気に笑う立花さん。

 ちょ、やり過ぎでしょ! 絶対勘違いすんじゃい! 人権とか! 色々! つか新聞に載せることか!? これ!?


「んで〜熱血ガールとどういう関係なわけ? ねぇ? ねぇ?」


「熱血ガール?」

 なんだそりゃ?


「あ〜縁ちゃんね、良くトラブル起こすからうちの学校新聞じゃ良くいいネタになるんだよねー」

 凄い、安易に想像出来るな、成程、名前は伏せて妙なあだ名を付けてるのか。でも人権の守る所間違ってんでしょ。

「だから学校で縁ちゃんのこと知らない子は少ないだろうねー!」

 というか、新聞に載る程有名だったのか?


「だから今回のネタは私もビックリだわ!」

 身を乗り出して大きな瞳をらんらんと輝かせている。

 その眼はどんな回答をご希望なのだろうか……と、考え込んでしまう。


「取材拒否とか有り?」


 ニッ! と歯を見せて思いっきり笑ってみせた。

「拒否ったらへーじ君の秘密を世間にばらす!」


 …………。

「脅迫?」


 ヘラヘラと笑っているが目が笑っていない。

 「やだなぁ〜これはお・は・な・し♪ まぁどう取ってもらっても構わないけど?」

 こ……こいつ!


 ん? てか僕って隠す程の秘密あんのかな?

 まぁ、無いことも無いけど。

 もしかしたらガセでは無いかと、僕は思い始めた。

 幾らなんでも、世間にばれたらまずいことを知っているんだ?

 大体殆ど話すことも無いんだから普通に有り得ないでしょ。

 僕の驚いた顔に余裕が戻ってくる。

 そのまま不敵な笑みを向ける。

 は! 材料もないのに脅迫に掛かるなんざバカのやることだね!

 僕の笑みを不審に思ったのか、立花さんは眉を上げて見せた。


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