その34.何だかんだ言って所詮僕も男か…変な意味じゃないですよ!?
僕の差し出したはしと僕の顔を交互に見た後、
恐る恐るという具合に、箸を取った。
「本当に良いの?」
「別に、お腹減ってないし」
嘘だけど。
「嘘でしょ」
「え?」
僕の思った言葉と縁の言葉が被った。
そんなことを言われるとは思っていなかった分、多少驚いてしまった。
「だって、昼飯食べてないでしょ?」
「何でそう思うのさ」
「だって先に消えたあたしでさえ食べる時間無かったもん」
人のことは気にしない人間だと思ったんだけどね。
ていうか。
「……ということは君もお腹減ってんじゃないの?」
意表を突かれた様に、縁は慌てた様子を見せた。
「べ、別に減ってないよ!」
「そう? じゃあ貰うけど」
そう言って、御盆に手を掛けた瞬間、縁の目がギラついた。
さながら飯を取られた犬のように……。
てか怖いんですけど!
「嘘だよ……」
慌てて手を引っ込めて呆れた声が漏れた。
僕の言葉と共に元の表情へ戻った。
結局食いたいんかい!
結局お腹は減っているらしく、自分の反射的な行動に、慌てた様子を再び見せた。
「じゃ……じゃあ」
なんなの。
「半分こしない?」
……また君はこっぱずかしいことを平然と、あれ? それとも僕が意識しすぎ?
「しない! いいから食べなよ!」
僕の勢いに乗せた声に、縁は暫く黙っていたが結局小さく頷いた。
「いただきます」と手を合わせてお辞儀をすると、料理に箸をつけ始めた。
黙々と食べる縁をぼけーっと見つめていると、その視線に気づいたのか、目線は料理から僕に。
「何?」
「嫌、うん……」
何で見てんだ僕は!? 目が合うと同時に高速で逸らした。
もしかして、思ってるよりもお腹減ってんのかな?
これじゃあ、僕が情けないじゃないか!
全く、落ち付け僕。
考え直し、目を合わせず素っ気なく僕は言った
「おいしい……?」
料理を作る身だが、姉貴以外に僕の飯を食べたのは縁が初めてだろう。
僕自身、味見は良くするし僕の舌がおかしくなければ中々の物のはずだ。
だが、姉貴はうまいと言う訳でもなく。寧ろ文句が多いぐらいだ。
自分は作らないくせに!
もしかしたら僕の舌がオカシイのかもしれない。
成り行きとはいえ、こうやって他人に食べさせる結果になったんだ。
聞いてみるのもいいかもしれない。
まぁ、暴力女の舌がマトモとは思わないけど、さ。
縁は不思議そうに僕の方を見た。
え? 何?
僕の質問をどう取ったのか、僕をマジマジとみつめる。
何なの?
縁はとても嬉しそうに、満面の笑顔を見せた。
その笑顔にアホ面で見惚れてしまった。
そしてその笑顔のまま縁は口を開く。
「すっっごく!おいしい!」
「!!!」
心臓が止まったかと思った
本当においしそうに、嬉しそうに言った声は、僕の耳に入り、そのまま心臓にまでつっぱしたのかと思ってしまった。
これは、やばい……。
僕も唯の男の子なのだと理解した。
顔が、熱い。
やばい、絶対今顔真っ赤だよ!
それを見せるのが嫌で慌てて下を向いた。
僕だって男だけど、ここまで意識したのは初めてかもしんない。
いや! 意識したけど別に好きとかじゃないから!!
サブタイトル修正致しました。
ちなみに前のタイトルは、
美味しい物は体の栄養、言葉は心の栄養、あれ?良いこと言った?
長いわ!!しすて別に良いことというわけでもない気がする!!あれ?良いことなのかな?
でも結局題名は長いまんまですガ…