その32.女の子の手料理は・・・・・・・・・料理?
「お・ま・た・せー♪」
等と、ご機嫌なご様子の縁。
僕の目の前に置かれたのは、
料理……?
「…………?」
僕の顔はきっと疑問で一杯であろう。
「ま、まぁ、ちょっと焦がしちゃったかもしんないけど」
等といって照れたように笑う。
ちょっと?
皿の上にあるのは黒ずんだ炭。
おちゃわんに入っているのはお米の形をした炭。
その隣にはメインディッシュと言わんばかりの魚の形をした炭。
「え? 何処に料理があんの?」
「? 何言ってんのさ、目の前にあるじゃん」
「…………ま、またまたぁ〜」
愛想笑いを縁に向けるも、その眼は真剣そのもの。
お願いです! 嘘だと言って下さい! ガンにするつもりですか!?
「初めてにしては会心の出来でしょ!」
胸を張って自慢げに笑みを向けられても、僕は苦笑しか出来ませんがね。
「ある意味、会心の出来だね」
失敗のな!
「あ! やっぱり? あたしも才能有るんじゃないかな〜とかおもったぐらい何だ〜」
「有るかァァァァァァ!!!!」
僕の突然の叫び声に、縁は驚いたのか眼を丸くしている。
そんな縁を無視して話を進める。
まぁ、つまり、我慢強い僕も、毒を食わされるのを黙っては居られないんですよ!。
「何!? この炭の塊は!?」
「炭じゃない! 卵焼きだよ!」
面食らったのは一瞬で、直ぐに縁は言い返した。
というかこれが卵焼き!? 黄色い部分はどこ!?
「どうやったら、ここまで焼き上げるのさ! 卵に恨みでもあんの!?」
直ぐに言い返した僕に面食らったのか、ウッと詰まった様な顔を見せた。
「嫌、焼いたら焼いた分だけ美味しくなると思って」
「じゃあ、このお米は何!? てか、何で米が焦げんの!? 炊飯器は!?」
「ご飯も焼いた方が美味しいと思って」
「ご飯は炊くもんです!」
当たり前のことを言ったのに縁は図星を突かれたように、あうっ、と小さな声を出す。
そしてショックを受けた様に一歩後ろに下がった。
だが、縁は直ぐにいつもの表情へ変わると、一歩前に足を出した。
「そんなに言うなら一緒に作ってくれたら良かったのに!」
「い、一緒にィ!?」
次に一歩下がったのは僕の方だった。
突然の言葉に面食らう。
だってさ、一緒に作るなんてそんな、新婚さんみたいな……
いやいやいやいやいやいやいやいや!!
「そ! そんなこと出来るわけ無いだろ!」
「何で!」
「そ、そりゃぁ、その」
さっきまで優勢だったのに、クッソォ、鈍感女め!
あ、この鈍感女っていうのは、決して僕があの女が好きとかそんなんじゃ無いから!
念を押してもっかいゆうけど、そんなんじゃないから!
「やっぱり僕が作る!」
そう言い放つと、逃げる様に台所へ向かった。
「あ! ちょっと!」
後ろからの声何て気にしない、気にしない!