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その24.ホモダチが何の略かは大体予想出来ます、したくないですが。

 結局無駄話も、直ぐに終わり黙々と片付けをする僕等3人。

 周りに散らばる皿や椅子、どんだけあばれたんですかアナタ。

 元から真面目な方の僕はともかく、以外にこの2人は良く動いてくれて、直ぐ片付けは終わった。

 カチャ、という足元の音に皿が割れている事に気づいた。

 しゃがみ込んで、割れた皿の破片を拾っていると、サクが同じ様に隣に座り込んだ。

 ごつい手で僕と同じ様に皿の破片を拾う。


「悪かったな」


 ボソッとサクは零した。

 黙々と作業をしていたサクが突然声を出したので、少し驚いた。

 その言葉の意味は言われなくとも何となく理解出来る。

「別に」

 そっけなく返すと、サクはへへ……と、小さく笑った。

 ゴメン気持ち悪い。

「何さ……」

 視線は皿の方へ向けながら言う。


「いや、あんがとな」

 謝った次は、感謝? 意味が解らない。

 でも、何となくなら解る。

 先程と同じ様に答える。

「別に」

 すると、また気持ち悪くサクは笑う。


「うわぁ……」


 上から引きつった様な声が降りかかった。

 見上げた先に、大きな瞳。

 正に、うわぁ……という具合な、その顔の意味は何ですか?

「あんたらホモダチ?」


 コラ、ホモダチって何だ。

 等と僕が思っているのに、隣のサクは恥かしそうに笑いやがった。

 うぉぁ! 気持ち悪い!


「へへ、よせよ……」

 その気か!? その気なのか!?

 僕が思いっきり後ろに飛び退いたのをサクが怪訝そうに見た。

 何故!?

「何だよ? 俺達ダチじゃねぇか、そりゃ面と向かっては言わねぇけどさ」

 イヤイヤイヤイヤ、結構面と向かって言ってるから。

 きっと、最初のホモ、というワードは聞き取れなかったのだろう、そうであって欲しい。

 いや本当に。

 しかし、その言葉はそれ以外でも……

 キモイ! キモ過ぎる!。

 でも言えない!後がダルイから!

「うわぁ、兄貴キモイ」

 縁の残念そうな一言。

 言っちゃった!


「キモイ……キモイ?」

 ほら見ろ、めんどくさい事になるぞ?


「こら! へーじに何て事言うんだ!」

 お前の事だよぉぉぉ!!

 今ここに居てキモイのはお前だけだよぉぉ!

 心の声は届いているのか、届いて欲しい……いや、やっぱいいわ。


 だが僕の思いは、暴力女が答えてくれた。


「あ・ん・た・の! 事だよ!」

 大声と共に放たれた縁の膝蹴り。

 顔面にクリーンヒット。

「ぬぶほぁ!?」等というサクの虚しい声が漏れる。

 アレ、痛いんだよなぁ……、等と人事の様に思うが、

 あの痛みをモロに食らった事があるので(病院で)余計にサクがかわいそうに思えた。

「て!てめぇ!!」

 目尻に涙を溜めながら言っても怖くは無いです。

 気持ちは解るけど。


 顔を挙げたサクの表情は思っていたよりも大変な事になっていた。

 サクの鼻が赤く腫れており、ボタボタと血が流れていた。

 うわ……。

 鼻血はともかく、折角掃除した床にボタボタと零されるのは頂けない。

 しかし、どうしようもないので無意識に溜息が漏れる。


 縁も同じ気持ちだったらしく、再び目が鋭くなった。

「折角掃除した床を汚すなぁぁ!」

 掛け声と共に放たれた平手。

 バチィン!!という痛そうな音が響く。……痛そう、では無く痛いに言い直しておこう。

「そんな殺生な!」

 叩かれながらも余裕が有るのか、泣きそうな声がサクの口から噴出す。

 うん、確かに理不尽です。正に泣きっ面に蜂。

 そして、炸裂したビンタで鼻血は掃除する必要の無かったピカピカの机に飛び散った。

 僕が先程よりも大きな溜息が漏れた事に、縁は気づいていない。

 サクを見ると、正に泣き出しそうだ。目の前で大男に泣かれては敵わない。

 いろんな意味で。

 ポケットかを弄ると、ポケットティッシュが入っている事に気づいた。

 普段持ち歩かないものが入っていたのだ。これは渡すしかないだろう。

 泣き出す前に、無言でサクにポケットティッシュを差し出した。

 サクはポケットティッシュと僕を交互に見ると、ぶわっ!といきなり涙を流した。


 ……え? 何で!?

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