その184.みんな落ち着いてる気がしてるだけで落ち着いてない
「………」
「………」
「………」
アタシ達はへーじを挟んだ状態で睨み合っていた。
水歩さん、馬鹿兄貴、アタシの三人は互いに牽制し合っている形になっている。
「おい……お前らいい加減にしろ」
沈黙を破った、というよりも痺れを切らした様に馬鹿兄貴が零す。
というか、アンタに言われたくないわよ。
お前こそいい加減にしろ。
「もう昼だぞ、飯食いに行かなくていいのか?」
アタシの心の突っ込みなぞ聞こえているわけもなく馬鹿兄貴は続けて言ってのける。
「アッハッハ! 行けばー? 私はへーじを診てるよー!」
水歩さんの裏に絶対に動かないという思いが見え隠れしている……。
余程馬鹿兄貴の提案が素晴らしかったらしい。
「んな事言って一人になったら水歩さんがへーじに何かするかもしれないじゃないですか……」
アタシはアタシで水歩さんに釘を刺しておく、当然馬鹿兄貴も見張らなければならない。
いや、アタシがへーじと一緒になりたいとか! そんなんじゃないからね! 断じて!!
つまる所、お互いがお互いを睨み合い一歩も動けない状態から、かれこれ何時間たっただろうか、といった具合なのだ。
「あ、あの~……」
「「「何!」」」
控え目な声に、アタシ達は3人同時に声を挙げていた。
控え目な声を出した少女は、「ヒィ!?」 とアタシ達の迫力に小さな悲鳴を挙げる。
……志保の存在を普通に忘れていた。
「と、取り合えず皆さん落ち着いて下さいィィ……」
怯えつつも志保は声を振り絞る。
「俺は別に落ち着いてるよ」
お前が一番危ないけどナ!!
「……ま、病人が寝てるのに騒ぐのは悪フザケがすぎたかな~?」
一応妹を立てる良いお姉さんですけど本当に悪フザケかどうかは疑わしい……
「……縁は? 縁は大丈夫なの?」
志保が上目づかいでアタシを見る。
アタシ?
「寧ろアタシが一番冷静だと思うけど」
「「……ナイナイナイ」」
二人の年上が声を合わせてそんな事を言う。
っく! 腹立つ!!
「取り合えず一度ご飯食べに行こうよ? ほら、二人ずつ行ったらへーじさんが起きた時にスグ連絡くれたらいいし……」
二人残して二人外に出る。
志保の提案は良いと思う。
二人残る事でお互いが監視している状態。
へーじに手を出させない、といった所だろう。
志保がその部分を言わなかったのは暗黙で、という意味である。
「……ま、悪くないね、んじゃ最初は縁ちゃん達行っといで~? この馬鹿はアタシがちゃんと見とくからさー」
サラッと暗黙だった筈のそれを言う水歩さん。
……別に良いですけど。
「わっかりました……」
アタシは志保と外に出るドアに向かう。
突然、後ろから水歩さんの笑い声が聞こえた。
「アッハッハ! 縁ちゃんも、私も、さくまっちも誰も悪くない……心配させてるへーじが悪いねこりゃ~! 起きたらちょっとバツを受けて貰うかな~」
水歩さんのその言葉は独り言と言うには、大きな声だった。
振り向いた先に水歩さんと目が合う。
優しい笑顔のまま水歩さんはアタシに軽くウィンクして見せた。
取り合えずはへーじに押しつけて、この牽制状態は一時休戦、って意味でいいのかな?
……へーじには悪いけど、
「ん? 何だ? 何かあんのか?」
馬鹿兄貴には何も伝わっていないらしい。
別に伝わらなくてもいいけど。
そして。
帰ってきた時にはへーじは目覚めていた。
何故かボロボロと涙を流した状態で。
多分……水歩さんに何かやられたんだと思う。
その後、アタシは勝手にキレて勝手に飛び出して。
……そして、今に至る。
感想で、東京は星を見ない、のでは無く、見れない、というのを教えていただきました。
東京のイメージは私の偏見ですゴメンナサイm(--)m
明る過ぎる街中は夜空の星を見えなくするそうです。
見れないのでは無く、見えない。
見る気も無いのに見える夜空の私の場所と、見たいのに見えない夜空の東京。
見たい人の所に無くて、見たくなくていいと思う人の所にある。
なんとまァ、理不尽な事だと思いませんか。
逆に言えば、私は東京の秋葉に行っきたーい!
しかし秋葉原に住む人にとっては住んでいる場所にそこまでの関心を持つとは思えません。
結局は、慣れなんですねー(?)
話が逸れました、失礼。
私が言いたいのは、そこにある誰かが見たい筈の物があって見れるなら、見れなくなる前にバッチシ見ておこう、って事ですね!。
そんなこんなで私は今日も夜空を見ます。
東京の方々に、人工の光に負けない星が見える事を祈って。
夜空って写真に映らないから、生で見るしか無いんですよねー……←何度か試した事がある奴。