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184/189

その183.みんな一人占めしたい。

 その後、アタシは五月蝿い馬鹿兄貴とニヤニヤしている姉妹を何とか落ち着け、状況を教えて貰った。

 聞く所によるとアタシは丸一日寝ていたらしい。

 そして何故病室で二人部屋だったか、それも直ぐに教えて貰った。

 病院の部屋が満室だったらしく、目が覚めるまでは同室にして貰っていたらしい。

 別の理由でアタシとへーじの両方のお見舞いをまとめてしたいから、というアバウトな理由もあったとか。

 ……良くお医者さんが許可したなァ。

 へーじの状態も聞いた。

 何とか命は取り留めたものの、未だ意識が回復していない状態。

 危機では無い、が、油断出来るレベルでは無いそうだ。

 目を覚ましさえすれば回復は速いらしい。

 目を覚まさないのは心配だけどホッとした。


 アタシもその後、状態を見て貰った。

 驚くべき回復だ、とお医者さんは焦っていたけど昔から直ぐに傷は直るタチだった。

 その後、馬鹿兄貴は何かアニメがどうとか言って何処かに消えた。

 美奈歩さんも用事が在る、と一度外に出て行った。

 アタシも一度家に帰る事にした。

 志保は心配して家まで来てくれると言ってくれた。

 へーじはまだ目を覚まさない……。


 アタシと志保は直ぐにへーじの病室へ帰ってきた。

 へーじが、もしかしたら目を覚ましているかもしれないという期待を込めて。

 しかし、へーじはまだ目を覚ましていなかった。


「縁……だ、大丈夫だよ!」

 志保がアタシを励ますように明るく言った。

 そんなつもりは無かったのだけれど……アタシそんな変な顔してた?

 その後、水歩さんと馬鹿兄貴が帰って来た。


「ぐす……カリリン……」

 何故か泣きまくっている兄貴は取り合えずスルーする事にした……。

 

「お姉ちゃん何処行ってたの?」


 志保の言葉に美奈歩さんは軽く笑って見せた後、ウインクして見せた。


「アッハッハ! へーじが起きるまでに最高の舞台を用意しておかないとね?」


 言っている意味はよく解らなかったけれど、水歩さんもへーじの為を思って何かしていてくれたのかもしれない。

 「カリリン……なんで死んじまったんだ……」

 ……取り合えず兄貴は無視する事にした。

 アタシ達はへーじが目覚めるのを待ち続け、そのまま次の日へ。


「ん……」

 鳥の囀る音で目が覚めた。

 いつの間にか寝ていた様だ。

 ベッドに突っ伏していたアタシは軽く伸びをする。

 ベッドにはまだへーじが眠っていた。

 まだ……目を覚まさない。

 

 皆はどうしたか、と辺りを見渡した。

 水歩さんと志保は寄り添うように眠っていた。

 何処までも仲の良い姉妹なんだな、と少し微笑ましくなった。

 

 そういえば、馬鹿兄貴がいない……?


 キョロキョロと辺りを見渡しても、見当たらない。

 隠れる所なんて無い筈だけど……まさか帰った?

 少し考えてから首を振った。

 それは無い。

 兄貴は馬鹿だけど気持ち悪いくらいにへーじを大事にしている。

 まだ起きていないへーじを置いて行くとは思えない。


 では何処に……?


「んーっ!」

「ふぁ……」

 二人の眠そうな声で立花姉妹が起きたのが解った。


 水歩さんがアタシと同じ様に辺りを見渡す。


「……? あれ? さくまっちはー?」

 そしてアタシと同じ疑問に行き着く。

 その時。


「っあー! よっく寝たなー! おい!」

 オヤジ臭い言い方は聞き覚えのある声。

 アタシ達は全員声の方を向く。

 その方向はへーじが眠っている筈のベッド。


「…………は?」


 馬鹿兄貴は、へーじの布団から起き上がってきていた。


 ……アタシの行動は迅速だった。

「こんの!! クッソ兄貴ィィー!!」

 大声を張り上げながら回転回し蹴り。

「へぶぉぁ!?」

 見事蹴りは兄貴の顔面に命中。

 そのままへーじのベットから弾き飛ばされ、ゴロンゴロンと床を転がっていく。

 反射的に動かしたので後から激痛が体を襲った。


「あ、イタタタ……」

 まだ体が完全に回復しきっていないのを忘れていた。

 しかし、反射的に蹴りをかましていたので躊躇うタイミングすら無かった。 


「てっめ! 何すんだッ!!」

 涙目で馬鹿兄貴が怒りの声を挙げる。


「その言葉そのまま拳と共に返すわよクソ兄貴ッ!!」

 アタシはアタシで無理に動いた時の痛みで涙目になりつつ罵声を返す。


「はぁー……ふーん? へぇー? ほぉー……」

 何やら水歩さんは妙な声を挙げていた。

 表情は何時もの笑顔だが目は笑っていなかった……。


「アッハッハ……やっぱ兄弟だねェ~? 人が見て無い所でへーじを独り占めしようとするんだからねェ~? 兄弟揃ってねェ?」

 アタシがへーじの頭を撫でていた時の事だろう。

 何故かアタシにまで棘の様な言葉が突き刺さる。

 どうやら先程の事を水歩さんは案外気にしているらしい……。


 ビシっと馬鹿兄貴を指差しつつ全力で否定する。


「あ! アタシは違いますよ!! こんな馬鹿と一緒にしないで下さいよ!!」

 アタシは慌てて弁解に走った。



「んだコラ!! どういう意味だオラァ!!」


「そういう意味よクラァ!!!」

 馬鹿兄貴の発言に反射的に言葉を返す。


「はいはい、二人共へーじが好きなんですねー、お暑いお暑い」

 そう言って水歩さんは嫌味ったらしくパタパタと手で顔を仰ぐ仕草を見せる。

 ……その仕草に流石のアタシもカチンときてしまう。


「んだよ……お前なんかへーじが眠ってる間にコスプレさせて写真とか撮ってそうじゃねーか」

 馬鹿兄貴もアタシと同じで少しムッとしたらしく、嫌味ったらしく言い返している。

 この馬鹿(兄貴)と同じ様に腹が立ったのは別の意味でまたムカつく。

 でも馬鹿(兄貴)……流石の水歩さんもそこまでしないわよ……。


「あ! それいいかも!!」

 パチン! と指を鳴らしてみせ、正にナイスアイデアといいたげに水歩さんは目を輝かせていた。


「「やるんかい!!」」

 アタシと馬鹿兄貴は素早く同時に突っ込んでいた。

 クソ! また流石は兄弟とか言われるじゃない馬鹿兄貴!


 目の端に、一人溜息を付いている志保が映った。

 馬鹿らしい……と言いたげな溜息だ。

 志保にまでそんな風に思われるとは……。

友人Aからメールがきました。

「流星群今日までだぜ? 見てるか?」


そういや空なんか最近見てないな、と思い、何人かで夜の外に外出。


 見上げた夜空は、満天の星だった。


 田舎だ田舎だ、とバカにしていたけれど、案外田舎も捨てた物では無いらしい。


 一緒に見に行っていた奴は東京が出身らしく。

 えらくはしゃいでいた。


 東京じゃ星なんか見た事が無かったらしく、純粋に感動したと笑っていた。


 忙しいイメージのある東京じゃ、空を見る余裕も無いのだろうか?


 年をとるにつれ、そういう事に時間を割こうとしなくなったのは確かだ。

 そういうのを大事だと思っていた筈なのに。


 友人Aに私は電話をした。


私「星スゲーよ」


友人A「だろ?」


私「……離れてても同じ夜空を見てるって何かカッケーなw」


友人A「何お前キモw」


私「うっさいww」


友人A「まぁ俺は夜空見てないけどな!( ̄ー ̄)」


私「あれ!?∑(゜ロ゜)」



お前が見ろって言ったんでしょーがァァァ!!!

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