表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/189

その168.会いたくて会いたくて

 冷たい雨は、少しずつ止んでいった。

 それはアタシに掛かる雨が少なくなっているのを肌で感じていたからだ。

 

 殴られた頬が熱い。


 人を殴る事には慣れていたけど、殴られるのは久々の感覚だった。

 それはアタシと釣り合う実力を持つ人間がいなかったからだ。


 という事は、兄貴はアタシよりも強いって事になるのかな?


 ……ううん、違う。


 アタシが弱くなってたんだ。

 正義の為に振るっていた拳に迷いなんてある筈が無い。

 今のアタシは、正義を口にしているだけで正義の為に拳を振るっていたわけじゃない。


 迷いの在る拳が、迷いの無い人間サクを倒せるわけが無いんだ……。


 空を見上げる。


 降りかかる雨と、暗い夜空、星を見せない暗雲が見える。

 まるで今のアタシのよう。



 すぅっと目を閉じた。




 本当は解っていた。

 へーじの言葉の通りなんだ。

 偽善だ。

 あたしが正義を口になんてしちゃ駄目なのに。

 只……良い事をしたら許してくれるって思ったから……。

 いつのまにか正義が目的になっていた。

 正義を吠え、アタシは何がしたかった。


 アタシは。

 


 自己満足。

 偽善者。

 表面。

 カッコつけ。

 

 

 あたしに降りかかる言葉。

 ずっと耳を塞いでいた。

 聞きたくなかった。

 自分の行動がきっと正しいと、思いたかった。


 それが、心からの正義じゃ無くても。

 


 でも、解ってしまった。

 今あたしが向かわなければ行けないのはへーじなのに。

 正義に逃げた。

 偽善に逃げた!!


 そこいらの悪人の方がよっぽどマシだ。

 それ以上にあたしは最低だ……。

 最低だ……。


 何が……何が正義だ……。 



「へーじ……大丈夫かナ……」


 零れる言葉は心からの気持ち。

 こればかりは嘘じゃない。

 

 こんなボロボロの姿じゃ、会っても馬鹿にされそうな気がするけど。

 でも会いたかった。

 口が悪くて、ぶっきらぼうで、それなのに時々優しい。

 妙な所で義理固く。

 だけど善人では無い。

 でも悪人でも無い。


 不思議な人。

 


「……………へーじ…」

 掠れる声で、もう一度へーじの名前を呼ぶ。

 誰も応えない事なんて解っているはずなのに。





 ほら、誰も、応えない……。








「何?」






 慌てて声のした方向を向いた。

 いつもの読み取れない瞳がアタシの方を向いていた。

 アタシとも負けず劣らずにボロボロの姿をしていた。

 しかし、アタシを見下ろす様に立つこの人は間違いなくへーじだった。



 包帯だらけの姿に、顔中のアザが痛々しい。

 その上でびしょ濡れで泥だらけだ。


 包帯姿で、さっきまで病院に居たのが解る。


 何で……そんなボロボロで……。


 安静にしてなくてはいけない筈だ、胸を撃ち抜かれてたのに。

 ここから、近くの大きな病院までは遠いはず。

 なのに。


 何でへーじがココに居るの?


 何の為に?

 『誰』の為に?


 アタシをしっかりと見下ろすへーじを呆然と見ていた。


 ねぇ、『アタシの……為に?』



更新が非常に遅れて申し訳無いです。

遅くなった理由ですが、今回は実家に帰っていたから、という意味も在りますが、小説を16回やり直して、ようやく一話作りました。

 ここらへんは昔からずっと考えていた所なので、自分の納得の行ける所まで頑張りたいんです。

 次の話の更新は明日か明後日には出来ると思いますが、何度か遅くなると思われます。

 ここは納得の行くまで直させてください。

 私が一番大切な部分だと思っている所でもあるんです。

 何度書いても納得行かず、何度直しても納得行かず……自分の実力の浅はかさが解ります……。


 取り合えずは、本当に遅くなってごめんなさいでした〜。。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ